月星真夜(つきぼしまよ)

風を感じながら走るのも、異国の香りや風景を自分の中に刻むのも好き。けれど、そんな冒険の…

月星真夜(つきぼしまよ)

風を感じながら走るのも、異国の香りや風景を自分の中に刻むのも好き。けれど、そんな冒険の合間には、図書館で本のページをめくる音や、美術館で絵画に向かって深呼吸する静けさが、私の心を落ち着かせてくれます。日々の中にある小さな奇跡を、いつも感じられる心を持っていたいです🍀 ̖́-

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ウサギの自己紹介

こんにちは!元気いっぱいのウサギです。 いつも読んでくれてありがとうございます。ここで自己紹介をさせてくださいね。 私はいつも何か新しいことを見つけては、ワクワ…

好きなものを探しに

その日、ウサギとカメは神田古本屋街をぶらりと歩いていた。靖国通りに面しているその場所は、時の重みを感じさせる書店が静かに軒を連ねていた。二人が足を運んだのは、ブ…

謎をよぶ デ・キリコ展

国際子ども図書館を過ぎたウサギとカメは、やがて東京都美術館に到着した。正面玄関のエスカレーターを降り、二人は「デ・キリコ展」の世界に身を委ねた。 ジョルジョ・デ…

猫の街の散歩道

その日、ウサギとカメは千駄木駅の階段を上がると、団子坂を背にして足を進めた。よみせ通り商店街のレトロなお店に視線を走らせながら通りを右に曲がると、狭い路地にはす…

東京タワーに登るなら

その日、ウサギとカメは東京タワーのメインデッキに立って、広がる都市のパノラマに心を奪われていた。空は青く澄み渡り、遠くには海をまたぐレインボーブリッジがくっきり…

神楽坂のうさぎ

かくれんぼ横丁の余韻が覚めやらぬうちに、ウサギとカメは赤城神社の鳥居をくぐり抜け、奥へ続く階段を一歩ずつ登っていった。スタイリッシュな拝殿に到着すると、狛犬たち…

たった一つのハートを求めて

古くからの和菓子屋や、行列ができる飲食店が目を楽しませる神楽坂の通りを、ウサギとカメが人波を縫うように歩いていた。二人が脇道へ足を踏み入れると、周囲の喧噪が一瞬…

日本紅茶に魅せられて

その日、ウサギとカメは神楽坂の「la kagu」の店内を彷徨っていた。2階へと続く階段を登ると、そこには日本茶の世界が広がっていた。4月に摘まれたばかりの「手つみ紅茶…

沖縄への幻想旅行

その日、ウサギとカメは、祭りの賑わいに包まれたラ・チッタデッラにいた。「はいさいFESTA」の会場は、沖縄の離島から持ち寄られた品々で色とりどりに飾られており、二人…

1つぶのおこめ

その日、図書館に辿り着いたウサギは、窓際の閲覧席でページをめくっていたカメのもとへ急いだ。彼女は静かにカメに問いかけた。「心を澄ませるような本が読みたいんだけど…

未知のファンタジア

広い無人の道路の左側に、カメの車がそっと止まると、ウサギは助手席から軽やかに飛び降り、目を見開いて建物を見上げた。そこにはライトに照らされた建物が、まるで空から…

タローのダンス

その日、ウサギとカメは不思議な力に引かれるかのように、表参道の岡本太郎記念館を訪れていた。降り続く小雨を置き去りにして、二人はそっと傘を閉じ、館内に用意されてい…

主役が餃子なら…

まるで夏のような熱気が、涼しい風に変わる夕刻に、ウサギとカメは駒澤大学駅にそっと降り立った。駒沢オリンピック公園へと続く小道では、賑やかな声が響き渡り、人々が楽…

モダンガールライフ

ウサギとカメの目の前には、「ホテル雅叙園東京」の百段階段がひっそりと続いていた。1935年に出来た雅叙園で現存する、唯一の木造建築を仰ぎ見ながら、ウサギは小さく呟い…

鯉のぼりを見上げて

その日、つつじを見るために訪れた根津神社は、境内に足を踏み入れるのも一苦労なほど人で溢れ返っていた。二人は人混みをかき分け、やっとの思いで遠くからつつじの花を眺…

ふしぎなたけのこ

その日、ウサギは駅へと続くいつもの道を軽やかに歩いていた。道の両側には若葉がきらめく木々が立ち並び、風が穏やかに吹いていた。彼女はその風に長い髪を揺らしながら、…

ウサギの自己紹介

ウサギの自己紹介

こんにちは!元気いっぱいのウサギです。
いつも読んでくれてありがとうございます。ここで自己紹介をさせてくださいね。

私はいつも何か新しいことを見つけては、ワクワクしながら飛び込んでいます。「退屈」という言葉は私の辞書にはありません。時に人は私をちょっと無謀だと思うかもしれませんが、私にとって毎日は楽しい冒険なんです。

夜明けって素敵だと思いませんか?
新しい一日が始まるあの瞬間、目覚める世界の

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好きなものを探しに

好きなものを探しに

その日、ウサギとカメは神田古本屋街をぶらりと歩いていた。靖国通りに面しているその場所は、時の重みを感じさせる書店が静かに軒を連ねていた。二人が足を運んだのは、ブックハウスカフェ」という絵本専門店だった。

「ここよ!」とウサギは言いながら、透明なガラスのエントランスを風のように駆け抜けた。カメはその場の空気を味わいながら、ゆっくりと後を追った。二人を出迎えたのは、香り高い特製カレーやさまざまな飲み

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謎をよぶ デ・キリコ展

謎をよぶ デ・キリコ展

国際子ども図書館を過ぎたウサギとカメは、やがて東京都美術館に到着した。正面玄関のエスカレーターを降り、二人は「デ・キリコ展」の世界に身を委ねた。

ジョルジョ・デ・キリコ。その人物は謎に包まれている。時に画風を変え、さらには自らの作品を偽作だと訴え、裁判にまで発展させた画家だ。デ・キリコの作品は、まるで時空が歪んだかのような、不思議な雰囲気を纏っており、二人はその深遠なる謎に向かった。

「デ・キ

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猫の街の散歩道

猫の街の散歩道

その日、ウサギとカメは千駄木駅の階段を上がると、団子坂を背にして足を進めた。よみせ通り商店街のレトロなお店に視線を走らせながら通りを右に曲がると、狭い路地にはすでに人々の波が溢れかえっていた。

谷中銀座に入るとすぐ、ウサギは前を向いたまま、隣に歩くカメの袖を引っ張り、「カメくん、何か視線を感じる?」と囁いた。「僕も感じるよ。気のせいじゃないね」とカメが応じた。二人が同時に視線を上げると、猫が屋根

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東京タワーに登るなら

東京タワーに登るなら

その日、ウサギとカメは東京タワーのメインデッキに立って、広がる都市のパノラマに心を奪われていた。空は青く澄み渡り、遠くには海をまたぐレインボーブリッジがくっきりと浮かんで見えた。

「それにしても…」とウサギが話し始めた。「今日は外階段が使えないなんて、どうして前もって確認しなかったのかしら」彼女の声は元気がなかった。一方で、カメは安堵の息をついていた。「外階段が使えない日で、本当に良かった」

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神楽坂のうさぎ

神楽坂のうさぎ

かくれんぼ横丁の余韻が覚めやらぬうちに、ウサギとカメは赤城神社の鳥居をくぐり抜け、奥へ続く階段を一歩ずつ登っていった。スタイリッシュな拝殿に到着すると、狛犬たちが、時空を越えてきたかのような、どこか神秘的な面持ちで二人を迎え入れた。

カメは蛍雪天神の前で足を止めると、「ここに祀られているのは、学問の神様、菅原道真なんだね」と独り言を漏らした。「こっちよ!」少し先を歩いていたウサギから、彼に声がか

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たった一つのハートを求めて

たった一つのハートを求めて

古くからの和菓子屋や、行列ができる飲食店が目を楽しませる神楽坂の通りを、ウサギとカメが人波を縫うように歩いていた。二人が脇道へ足を踏み入れると、周囲の喧噪が一瞬で遠のいた。

今、二人の目の前に広がっているのは、まるで迷宮のような複雑で入り組んだ横丁の細道だった。それは「かくれんぼ横丁」と呼ばれていた。足元に石畳がどこまでも伸びており、二人はその上を慎重に歩いた。

「ねえ、ウサギさん。さっきから

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日本紅茶に魅せられて

日本紅茶に魅せられて

その日、ウサギとカメは神楽坂の「la kagu」の店内を彷徨っていた。2階へと続く階段を登ると、そこには日本茶の世界が広がっていた。4月に摘まれたばかりの「手つみ紅茶」の試飲を勧められたウサギは、さっそく紅茶を手に取った。

葉をほどこし、微かに香るその優しい匂いに、彼女は「ほんのりいい香りね」と言い、小さく一口含むと、その柔らかな香りが口の中でふわりと広がった。「紅茶というより、どこか日本茶のよ

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沖縄への幻想旅行

沖縄への幻想旅行

その日、ウサギとカメは、祭りの賑わいに包まれたラ・チッタデッラにいた。「はいさいFESTA」の会場は、沖縄の離島から持ち寄られた品々で色とりどりに飾られており、二人の馴染み深い、石垣島や宮古島の風を感じさせた。空気はタコライスやソーキそばの香りで満たされ、その一方で、海の波が寄せるかのように、貝殻で作られた繊細なアクセサリーが店頭に並べられていた。

中央噴水広場に立つと、二人の耳に三線の音色がゆ

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1つぶのおこめ

1つぶのおこめ

その日、図書館に辿り着いたウサギは、窓際の閲覧席でページをめくっていたカメのもとへ急いだ。彼女は静かにカメに問いかけた。「心を澄ませるような本が読みたいんだけど」カメは一瞬考えをめぐらせた後、彼女の意図を尋ねることなく、黙って手元の絵本を差し出した。

絵本を受け取ったウサギは、彼の隣にふわりと腰をおろすと、ページをぱらりと開いた。そして魔法に掛かったように、夢中でページをめくり続けた。最後のペー

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未知のファンタジア

未知のファンタジア

広い無人の道路の左側に、カメの車がそっと止まると、ウサギは助手席から軽やかに飛び降り、目を見開いて建物を見上げた。そこにはライトに照らされた建物が、まるで空から降ってきたかのように、漆黒の夜空に浮かび上がっていた。

「まるで映画の一場面のようね」とウサギは夢見るように言った。「ウサギさんが見たことのない光景でしょ?」と、カメは彼女の横で言いながら、ゆっくりと建物を見上げた。

その日、図書館の閉

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タローのダンス

タローのダンス

その日、ウサギとカメは不思議な力に引かれるかのように、表参道の岡本太郎記念館を訪れていた。降り続く小雨を置き去りにして、二人はそっと傘を閉じ、館内に用意されているスリッパに履き替えた。そして、ゆっくりと、絵画が待っている2階へと向かった。

「岡本太郎にダンスって、なんだかイメージがなかったけれど…」ウサギはそう言いながら、目の前の絵をじっと見つめていた。絵の中の色彩は激しく、それでいてどこか憂い

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主役が餃子なら…

主役が餃子なら…

まるで夏のような熱気が、涼しい風に変わる夕刻に、ウサギとカメは駒澤大学駅にそっと降り立った。駒沢オリンピック公園へと続く小道では、賑やかな声が響き渡り、人々が楽しそうに行き交っていた。二人が目指している CRAFT GYOZA FESの会場に到着すると、そこは餃子を堪能する人々で溢れ、さらなる賑わいを見せていた。

「今日は暑かったから、この時間に混んでいるのかしら?混雑が予想された昼間は避けてき

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モダンガールライフ

モダンガールライフ

ウサギとカメの目の前には、「ホテル雅叙園東京」の百段階段がひっそりと続いていた。1935年に出来た雅叙園で現存する、唯一の木造建築を仰ぎ見ながら、ウサギは小さく呟いた。「ここを登り切ると一階に着くの?不思議な建物ね」

隣に立つカメが静かに口を開いた。「ここは、目黒駅から行人坂を下りて来た場所。急な斜面に沿って建てられているから、99段の階段で繋がれた七つの部屋が、時間を縫うように斜めに連なってい

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鯉のぼりを見上げて

鯉のぼりを見上げて

その日、つつじを見るために訪れた根津神社は、境内に足を踏み入れるのも一苦労なほど人で溢れ返っていた。二人は人混みをかき分け、やっとの思いで遠くからつつじの花を眺めて楽しんだ。その混雑から抜け出し境内を後にすると、二人は思わず深い息をついた。「ふう、やっと一息つけるね」とカメが言うと、ウサギは「本当だわ」と安堵の笑みを浮かべた。

千駄木駅に向かって歩いてきた二人は、「団子坂 菊見せんべい総本店」の

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ふしぎなたけのこ

ふしぎなたけのこ

その日、ウサギは駅へと続くいつもの道を軽やかに歩いていた。道の両側には若葉がきらめく木々が立ち並び、風が穏やかに吹いていた。彼女はその風に長い髪を揺らしながら、こんもりと繁る竹林に差し掛かった。

ウサギはふと足を止めて、竹林を見つめた。彼女の目の前のたけのこは、数日前に見た時よりもずっと大きくなっていた。「こんなに早く大きくなるものだったかしら?」と彼女は心の中で問いかけた。その小さな疑問は、静

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