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本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』を読んで。(ネタバレ無し)

私は今日、本屋大賞の『成瀬は天下を取りにいく』を読んだ。
表紙や帯からどんだけ凄い主人公なのだろうと読み始めた。
私は去年の一月から、自分の小説を書くばかりで他の人の小説をnoteで読むくらいしかしてこなかった。紙の本で小説を読むなど一年以上なかったことだ。そして、久しぶりに読んだのがこの本屋大賞受賞作だ。
私はnoteの小説は途中で飽きたら辞めてしまう。しかし、紙の書籍を買うと、最後まで読むことにしている。今回も本屋大賞受賞作だから最後まで読んだ。
しかし、前半、あまり作品に引き込まれなかった。noteの小説ならば辞めていただろう。
しかし、1550円払って買った本だから最後まで読んだ。まあ、面白かったが、「これが本屋大賞か?」と疑問に思った。noteに書かれている小説の中に並べたとき、そこまで飛び抜けているとは思えなかった。具体的に言うと「掴みが弱い」というところだった。主人公の成瀬のキャラがこの作品の肝になると思うのだが、そのキャラが際立っていない気がした。もっとキャラが際立つエピソードが欲しいと思った。
いや、優れた小説だとは思う。しかし、際立って良いとは思えなかった。
私は本屋大賞を毎回読んでいるわけではないが、過去に読んだもので、印象に残っているものは、小川洋子『博士の愛した数式』、恩田陸『夜のピクニック』『蜜蜂と遠雷』、和田竜『村上海賊の娘』、百田尚樹『海賊とよばれた男』くらいだろうか。ときどき、一位よりも二位の方が私の好きな小説だったりする。大賞だからいいわけではない。人には好みがある。
で、『成瀬は天下を取りにいく』は物語として筋の起伏というべきものが足りないような気がした。面白い作品なのだが、「じゃあ、どんな話なの?」と質問されたときにあらすじを答えづらい気がする。私は小説を書くとき、「どんな話なの?」と聞かれたときに説明しやすいように物語を組むようにしている。「どんな話か」が上手くまとまらない話だと読後から記憶に残らなくなってしまうからだ。
『成瀬は天下を取りにいく』は、私には「天下」がなんのことかわからなかった。
私がストーリーで優れていると思う物の例で、映画だが、北野武監督の『キッズリターン』を挙げてみたい。あれはふたりの若者が、それぞれボクシングチャンピオンとヤクザの親分を目指すのだが、ふたりとも失敗し、再び元に戻る、という構成になっている。これは非常にわかりやすく記憶に残る。映画と小説は違うと言う人もあるかと思うが、小説でもわかりやすく記憶に残る作品が私は好きだ。これは私の頭が悪いからかもしれない、よくわからない。

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