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半導体製造に不可欠なScribe lineに切り込む

割引あり

はじめに

 今回は半導体製造における最も重要で、かつ最も謎の多いScribe Lineに関して切り込んで行こうと思います。そもそも存在を知らない人が多いかと思いますが、これがないと半導体製造するできません。かなりノウハウが集約されているところですし、深く知っている人もいないので、なおざりになっている場合が多いですが、このScribe lineを詳しく知っていると、即戦力どころか引っ張りだこになります。
 今回はノウハウの部分は触らず、一般的にScribe lineがなぜ重要なのかと、どのようなものが置かれているのか等を解説していきたいと思います。

自己紹介

 日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
 半導体に関する記事等はこちらに集約しておりますので、ご参考までにリンクを貼っておきます。一部有料ですが作者のお茶代と思ってください。


Scribe lineとは

 まずは、Scribe lineを知らないとう人が大半だと思いますので、こちらをまずは説明しようと思います。一言で言うと、”チップ間の余白”です。なーんだ余白なら適当に使っておけと思いますが、そんな勿体無いことはできません。この余白の部分に各社がどれほどノウハウを詰め込んでいることだか!!
 なぜ余白にノウハウを詰め込むかと言うと、チップにしたときにScribe lineの大半部分はなくなるからです。なのでノウハウを入れても最終的にはなくなるのでこの余白はかなり使い勝手がいいです。
 問題は、形も残らないしノウハウだらけなので汎用性がなく、地味な仕事なのであまり率先してやりたがるエンジニアがいないと言うところです。まぁその分人員削減の対象ともなりにくいですが、転職も厳しいかもしれませんね。

 では具体的にどのような部分をScribe lineというかに関して図を用いいて説明したいと思います。

One shotの図

 大抵の場合、露光装置の制限により最大露光サイズ(One shot)が規定されます。その中に最大何個チップを埋め込めるかをSimulationします。その場合にチップとチップをピッタリと面一で詰めてしまうと、チップを切り分けるのが困難になるため必ず隙間を開けます。この隙間がScribe lineとなります。図では水色の部分ですね。
 みてわかりますように、Scribe lineの数はチップサイズやどのようにチップを配置するかで決まります。またScribe line幅を狭くすることでチップをOne Shot内に多く配置することも可能になります。

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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。