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粉雪の楽しみ方【2155文字】 #会員制の粉雪 #会費制の粉 #毎週ショートショートnote

粉雪の楽しみ方 


↑の別バージョンです。
コレを削って設定変えて
400字にしました(笑)
お時間ある方は、どうぞ♡



合法ドラッグ、アロマ、
グミとイタチごっこで
検挙してきたが、
今度は粉雪が出てきたと噂が
入ってきた。

俺は、ため息を吐いてから
こんなにも蔓延している事実に
ウンザリしていた。

いかにもなビルのテナント。
まだ規制のかかっていない
シーシャの店舗の
上の階に会員制の粉雪が楽しめる
店があると情報が入った。

怪しまれない様に
若い男女の刑事に
カップルとして入店してもらい
「粉雪」を手に入れ
科捜研へと送るのが
今回の仕事になる。

俺は車で待機して
2人を送り出した。



ベテランの佐伯刑事に
腕を組まれて、憧れと緊張で
心拍数が上がる。

インターホンを押し
顔を確認した後に僕達は
入店した。

佐伯刑事は派手な格好で
従業員と話している。
会費を払って会費制の粉雪を
楽しむ仕組みになっているようだ。
かなり、厳重なセキュリティに
緊張してきた。


僕は新入社員で、こういった事は
初めて。という設定だ。
実際、初めてなのだが。
いつものきっちりとした
スーツ姿から、ハレンチ(古い)な
格好をしている
佐伯刑事にもドキドキしている。
先輩のスカート姿!
しかもあんなに短い丈に
ガーターベルトが見えそうだよ。
と内心かなり焦っている。



店員に案内されて2人で
個室に通してもらう。
向かう最中に、
フロアのテーブルの上にある
粉を確認した。
やはり『会員制の粉雪』は
蔓延しているようだ。


「初めてなのに、運がいいねぇ!
今日『真っ白』あるよ。
どうする?普通のにする?」

顔中ピアスの店員が
聞いてくるが、
佐伯刑事が手早く注文してくれた。
『黄色』と『真っ白』と
聞こえたので、2つの
サンプルを持って帰ればいい
のだろう。


テーブルの上の
水を飲もうとしたら
先輩に止められた。

「やってからの方がいいわよ♡」
その言葉に、
ああ…僕は今、悪い世界に
いるのだと、
冷や汗が背中を伝った。



炭酸水と一緒に運ばれて来た
『粉雪』
確かに、色が違っている。

「3倍くらいまでいけるけど、
まずは初回だから、
普通のにしてみたわ」
いかにも慣れてます。
と演技する先輩に『黄色』を渡された。

先輩は
テーブルに
紙ナプキンを敷いて
『真っ白』をパケから
サラサラと落としていく。


僕も真似して粉を落としていく。


「いきなり吸わないでね、
むせちゃうから」
そう言われ、先輩の様に
粉雪に顔を近づけた。

そして、顔を近づけている
ようにみせて、
手の中のカプセルに
『粉雪』を入れていく。

僕も緊張しながら
先輩の真似をしていく。

器用にカプセルに粉を
入れた先輩が僕の手を握る。
ふりをして、僕の手から
カプセルを受け取る。

鞄から、メイク道具を
取り出し、
メイク直しに見せながら
素早くカプセルを隠した。


この粉どうするんだろう?
やっぱり吸うのかな?
なんて、テーブルの粉を
見ながら、
ゆっくりと嗅いでいく
甘い香りがする。
なんだろう、懐かしいような香り。


粉を吸い込むことなく
漂う香りに懐かしさが
こみ上げてくる。

先輩が炭酸水を小瓶に
移しかえてから
手渡してくれた。

震える手で、受け取り
先輩同様に、小指の先手に
『粉雪』をつけた。

舌の先に乗せる。
舌先が一番敏感に味を感じ取れると
聞いたことがある。

痺れる感覚がして
僕の記憶が蘇る。

先輩を見ると、
小指を咥えて堪能していた。

うわぁ。色っぽい。

こちらに、気づいた先輩が
ニヤリと笑った。

僕は粉と緊張で喉が乾いた事もあり
ドリンクを一気に煽った。

それからは、
僕も真似して小指についた
粉を舐め取り、小瓶を傾ける。
動作を続ける。

脳内で再生される
懐かしい思い出。
なんだろう。
再度小指に粉を絡めて
口内へ運ぶ。


確か、子供の頃に
禁止されたアレだ。
僕は夢中に、なりながら
『粉雪』と小瓶を往復した。



手についた粉を舐め取っていた
子供時代とは、違う。
僕は今子供の時にできなかった。
『ハッピーなコーン』の『粉』のみを
堪能している感じだ。
小瓶の炭酸水はラムネ。


つい夢中になっている姿を
みていた先輩が
声をだして笑っていた。

受付に戻り、
「梶君は、会員になる?」
と聞いてくる先輩に
首を左右に素早く降る。

クスクス笑う先輩が
店員と会話してから、
扉を開けてもらった。


カコンカコンと
先輩のハイヒールの音が
響きながら、階段を降りて
太田刑事の車に向かう。

後部座席に座って
やっとまともに息が
できるようになった。

佐伯刑事は、メイク道具に
隠したカプセルを袋に入れてから
太田刑事に渡した。

「ご苦労さん」
「疲れたぁ~、早くメイク落としたい」
「似合ってるぞ、新人時代みたいで」
「ちょっ!私の黒歴史
暴露しないでくださいよ!」
「梶、大変だったな」
「梶君がパートナーで良かった♡」

なんて2人に言われ
照れてしまったが、
それからも普通に会話をする
2人についていけなくて僕は、
ぐったりと体をシートに埋めた。


後日、報告が上がって来たが
違法薬物は検出されず
苦い顔をする太田刑事に
報告書を見せてもらった。


「お手柄とはならなかったが
お前・・が担当してくれて良かったよ」
そう太田刑事に言われ嬉しくて
「はい!今後も頑張ります!」
とつい敬礼をしてしまった。


奥のデスクで、佐伯刑事が
クスクスと笑っているような気がした。





数ヶ月後
『会員制の粉雪』に
違法薬物が混入されたと報道があった。

そして太田刑事が逮捕された事で
僕の周りは慌ただしくなった。



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