すずめ六花

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最近の記事

[短編小説]秘密の友達

疎外感から抜け出すために合唱団に入ることにした麗奈。歌うのは上手くない。練習あるのみ。放課後の個人練習で出会った少女は…。↓↓↓

    • [短編小説]おいてきぼり

      しばらくnoteをお休みして、こんなことしていましたよの一部。 児童向けって、どこで書いたらいいか悩ましい気がします。 そもそも、児童向けに書けているか怪しいのですが。 よかったら覗いてみてください。

      • [掌編小説]ポラリスとルシオ(改訂)

         北極星が輝く夜、厩舎で一頭の母馬が産気づきました。  生まれたのは、白い美しい仔馬でした。  馬丁は喜んで上役に報告すると、仔馬はお姫様の十二の誕生日祝いに贈られることになりました。  お姫様の仔馬はポラリスと名付けられ、大切に育てられました。  立派な若駒になったポラリスは、お姫様を背中に乗せるのが好きでした。  お姫様は、ポラリスを可愛がり、馬丁によく世話をするよう命じました。  ポラリスは、お姫様を降ろすと、ロバのルシオと過ごしました。  ルシオは働き者で心の優

        • [掌編小説]銀の指ぬき

           マイアはおばあさんとふたり、田舎で暮らす女の子です。  おとうさんは戦争で遠くの国に行ったきり帰ってきません。  おかあさんはマイアが小さい時に病気で亡くなってしまいました。  マイアは、それでも元気に暮らします。大好きなおばあさんが一緒でしたし、右手の親指には、おかあさんがはめていた銀製の指ぬきをいつでもはめていましたから。  少しくらい辛いことがあっても、指ぬきを太陽にあてて輝かせると、心が温かくなりました。それでマイアは、いつでも笑顔でいられました。  そんなマイ

        [短編小説]秘密の友達

          幸福な疲労感のなか やっとこさ おやすみなさい

          幸福な疲労感のなか やっとこさ おやすみなさい

          [掌編小説]とってこい

           昔々、ある若い領主様が狩りを終えて岐路に着きますと、白い仔犬が怪我をして蹲っているのに出くわしました。哀れに思った領主様は、子犬を拾って館へ連れて帰りました。  「儂の獲った猪肉じゃ。精が付くぞ」 領主様は手ずから子犬に餌をやりました。 よく見れば、子犬はしっかりした脚の、ころころ太った良い仔犬でした。  領主様はこの仔犬をたいそう気に入り、拾(じゅう)と名付けて可愛がりました。  拾はすくすく育つと、大きな大きな犬になり、領主様と狩りへ出かけるようになりました。  

          [掌編小説]とってこい

          [掌編小説]パンケーキ

           男は恋をしました。  恋心は大きく膨れて、ついには漏れ出し、決壊しました。  溢れた恋心は川となって、いつしか相手に届きました。  男は恋人を好きでした。  好きで好きで、得意のパンケーキを振舞います。  男は恋人をテーブルに着かせると、キッチンへ向かいます。パカパカと卵を割って、ファサファサと粉を振ります。トロトロに溶けたバターを入れて、シャカシャカとボウルの中でビーターを回します。  いい香りがしてきました。アツアツのフライパンがシュワシュワと鳴っています。お気に

          [掌編小説]パンケーキ

          [掌編小説]生贄騒動

           昔々、大きな湖のほとりに大きな村がありました。  大きな湖には、竜神様が住んでいて、人々はお社を建ててお祀りました。  村人は作物の出来が悪かったり、病気が流行ったり、都合が悪いことが起こると、竜神様に捧げものをして、どうにか鎮めて下さいとお祈りをしました。そうして、どうにかこれまで村は続いてきたのでした。  さて村には、歳の近い仲の良い姉妹がおりました。  姉のハツは聡く、世話好きで、少しきつい物言いをする娘でした。  妹のフタはおっとりとして、華やかで、甘え上手な娘

          [掌編小説]生贄騒動

          [短編小説]サク・ワンダーランド

          1 眠りにつくまで  離婚を切り出したのは私だったが、あちらもそのつもりだったのだろう。返事はスムーズなものだった。驚きもしなかったということは、私が同じ考えだということもわかっていたんだろう。  早々に出した離婚届。もう私の名前は「前山サク」だ。名前は戻っても、戻らないものばかり。お腹の傷も少し不自由になった足も。  結婚して3年。思いのほかの量の荷物の取捨選択は、今の私には本当に重荷で、体も頭もくたくたになる。くたくたのぐだぐだのままベットに横になって、とろとろと眠れ

          [短編小説]サク・ワンダーランド

          [短編小説]猫と涙 ~猫の困りごとシリーズ~

           雨の強い日、僕はマルになった。  黒い体に白い丸斑があるからマルだそうだ。  どうして自分一人、公園のドームのなかにいたのか、今ではよく思い出せない。近くでカラスがカーカー鳴いていた気がする。  はっきり覚えているのは、ガチャガチャ鳴るランドセルの音。氷のように冷え切った体を、しびれるほど暖かい手が包んでくれたこと。ふわふわのタオルで、びしょ濡れた体を拭いてくれて、ぬるめたミルクで僕のお腹を満たしてくれたこと。  そして、傘を公園に置いてきたって、ママに叱られてたこと。

          [短編小説]猫と涙 ~猫の困りごとシリーズ~

          [掌編小説]歌声

           むかしむかし、ひとりの娘が泉のほとりで歌っていました。  その歌声に、大小の獣は集まってきて、食うもの食われるものの別なく、うっとりと静かに耳を傾けているのでした。  そこへ狩りの帰りか、王子が共を連れて通りがかりました。  王子が声を辿っていくと、娘を取り囲む獣たちの様子に驚き、感激して、娘を城へ召し上げることにしました。  娘は嫌がりましたが、あっという間に捕まって、馬上へ抱えあげられてしまいました。お供の者たちは、王子を諌めましたが、王子は聞き入れません。  娘は

          [掌編小説]歌声

          [掌編小説]美しい鏡

          ある町で 醜い老婆が 美しい細工の鏡を 売っていました この鏡に毎日映すと みるみる顔が美しくなるといいます 誰もが興味を持ち 歩みをとめますが 誰もが老婆をみて 立ち去っていきます そんな中 一人の娘が 鏡を買いました その娘はけして 美人というわけではありませんでしたが また 不味い顔というわけでもありませんでした 老婆は娘から 少なくないお金を 受け取りますと 露店から 姿を消してしまいました 娘は 毎日かかさず 鏡を見ます はじめのうちは どんどん自分が 美し

          [掌編小説]美しい鏡

          [掌編小説]キャンディメイカー

          ぼくは キャンディメイカー プロの あめしょくにんさ ドロップ タフィ ヌガーに バタースカッチ マシュマロ キャラメルも おとくいさ キラキラかんぺきに しあがった ぼくの かわいい キャンディたち セロファンまいて リボンをむすんで さあ おみせに ならんでおくれ うりこのレディに ウインクをきめたら さあ かいてんだ きょうも せいきょう せんきゃくばんらい ありがとう わあんわあん へいわを やぶる こどもの さけび キャンディメイカーは ハッピーメイカ

          [掌編小説]キャンディメイカー

          [掌編小説]さとり

           むかしむかし、山に足を踏み入れれば妖怪に出くわすころ、「さとり」という妖怪に出会うのも珍しくなかった。知られた話では、こちらの考えを読んできて気味が悪いが、人間が「さとりを捕まえてやろう」と考えると、さっさと逃げてしまうそうだ。  さて、現代。さとりも何代か続いて、変わったのも出てきた。おおかたのさとりは黒い長い毛を生やしているが、このさとりは茶色い毛色をしていてだいぶん小柄だ。知らないものが見れば大きな猿のよう。しかし見てくればかりでなく、このさとり、人間のところへ行く

          [掌編小説]さとり

          [掌編小説]りんご

          もりのなかの りっぱなりんごのきに あかくてきれいな みがなりました たくさんなった みのなかで ひときわ ぴかぴかのりんごがひとつ ちょっぴり ちいさなりんごがひとつ たくさんのりんごは もりのとりやけものに よろこんでたべられて たねをとおくに はこんでもらいました あたらしいだいちで あたらしくめをふくのをゆめみて ちいさなりんごは じぶんはまだすっぱいからと だれにもたべさせず のんびりきのえだに ぶらさがっています ぴかぴかのりんごは わたしはこんなにきれいだか

          [掌編小説]りんご

          [掌編小説]カラをかぶったひよこの話

          なんだなんだ ヒヨヒヨと にわかにさわがしくなったぞ あたたかくて どくんどくんと しずかだったせかいが おわる ああ もっとここにいたかった コツコツと せかされる ぱりっとそとにでると ぼくは とりのひなだった まぶしい ぼくは なんだかたよりないきもちがして あしもとにおちていた おおきなカラをかぶった きょうだいたちが はずせはずせと つついてきたけれど ぼくはしっくりきているきがして カラをはずさなかったんだ かあさんどりがいうには ぼくたちはじべたのとりだから

          [掌編小説]カラをかぶったひよこの話