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史実を離れ、史実に帰る:ドラマ評「SHOGUN 将軍」

真田広之製作主演の「将軍」を見ました。
いやぁ〜、すごかったですね〜。
全10話たっぷり楽しませてもらいました。
最後の3話は一気でした。


賛否いろいろ言われていますが、美術やキャラクターの所作については本当によくできています。
もちろん「?」みたいなところもなくはないんですけど、ドラマの時代劇に比べたらはるかにマシです。
前半はその美術や人々の動きを眺めているのが1番楽しいと思える位でした。
それだけ僕自身が現代人として、日本の伝統から距離を置いているってことなのかもしれませんけどね。


ストーリーについては、まぁ「どうかなぁ」ではあります。
というか、僕たちは真実としての関ヶ原とその前後っていうのを知っているので、それがノイズになります。
徳川家康があんなにかっこいいかなぁ。(松潤よりかっこいいですw)
石田三成が偉そうすぎ。(5奉行じゃなくて、大老になってるし)

入り口のところでまずここに引っかかりました。
史実にインスパイアされた物語ですからね。
そこら辺は史実を忘れると言う一手間が日本人の場合は必要と言うところでしょうか?


まぁ、いくらなんで策を複雑にしすぎてるだろうっていうのもあるでしょうかねw。
「紅天」
主人公が巡らせ、細川ガラシャにインスパイアされた鞠子と言うキャラが実行する陰謀が物語のメインになるんですが、ちょっと複雑すぎるし、裏がありすぎます
ここらは日本というより、中国の印象が強いんじゃないかなぁ
ちょっと「三国志」か「キングダム」みたいでした。


鞠子といえば、このキャラクターが按針に惹かれるっていうのが1番ようわからんと言えばようわからん。
何か按針自身も「物語上、必要なキャラなんかなぁ」って感じもするしw。
最も按針がいることで、当時のイギリスとポルトガルの世界的な対立の中に位置する日本と言う立ち位置は見えてきて、ここはかなり面白かったです
もうちょっとここは深めて欲しかったくらい


史実の流れとは全く違うわけですが、考えてみれば「関ヶ原の戦い」の本質をとらえているとも言えると思います。
結局のところ、あの戦いは、家康と三成との間で、「いかに自分たちの陣営を多くするか」がポイントだったし、実力で、遥かにまさる家康に対して、三成が権威と淀君(秀頼)を利用しようとしていたっていうのも確かでしょうからね
本作の三成は、司馬遼太郎の「関ヶ原」なんかに比べると、ずいぶんと欲深いように見えますが、見方によってはこのようにも見えるって言う面はあるのかもしれません。
三成の掲げた「豊臣政権の維持」と言う「正義」は、当時の人々お題目のようにしか思えなかった可能性もあります。
豊臣政権自体が見方によっては織田政権の簒奪によって成立しているのだともいえますから。


最終回まで見て「関ヶ原の戦い」が正面から描かれていないことに違和感を覚えたり「シーズン 2」に期待したり…と言う意見もネットなんかで見かけます。
「シーズン 2」があったら面白いなとは思いますけど、原作がここで終わっているのはわからなくはないですね
「関ヶ原」の本質は既に終わっているとも言えるわけですから、
そう思うと、この作品の余韻はそれはそれで良いように思います


僕は昔のリチャード・チェンバレンの「将軍」は見ていません。
だから比較のしようはないんですけど、真田広之の「将軍」がかなり気合いが入ったものなのは確かだと思います。
そして相当の部分で成功している。
お金がかかってるのをまぁ確かですが、それに支えられた熱意があるのも間違いないです。
これぐらいの感じで大河ドラマをやってくれたら
…ていうのは無理なお願いですかな。
さすがに予算が違いすぎますかw。



さて、ちょっと司馬遼太郎の「関ヶ原」や「城塞」を読みたい気分になっています。
史実を離れたファンタジーを十分に楽しんでもらったのを、少し史実のほうに戻ってみようかなぁと言う感じで。
もっとも、司馬遼太郎の小説もまたファンタジーと言う見方もあったりもするんですけどw。

#ドラマ感想文
#SHOGUN
#将軍
#真田広之
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