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黒いソファの効能。


これまで使っていたソファがヘタってしまったため最近買い換えた。

某家具屋のチェーン店に出向いて選んできた、一人がけのソファベッドである。何種類かの色と生地の選択肢があったので、グレー基調のツイード柄(布製)を注文してきた。が、
果たして10日後に我が家に届いたソファは黒いビニルレザー製だった。

配送員の方が目の前で手際よく梱包を開封していく様子をワクワクと見守っていたわたしは、姿を現した黒いソファに目を疑った。いや、目を疑う前に自分の記憶を疑った。あれ?黒いソファを注文したんだっけ?

モダンでアーバンなタワマンのモデルルームならともかく、ラフな庶民派スタイルの我が家の居間に置かれた黒いレザーソファは否応なく浮いていた。
とはいえ、お待たせしました!と、組み上がったソファの隣で威勢よく挨拶しているお兄さん方に「注文した色と違います」なんてとても言えなかった。後からお店に連絡するなんて甚だ面倒だし、仮に返品交換となればさらに10日はかかるのだろうし、再納品時にはもう一度お兄さん方を家にあげないといけない。

考えれば考えるほど色々面倒で、そのまま我が家へ迎え入れることにした。


こうして黒いソファは我が家のリビングに収まった。ビニルレザーのソファを使うのは多分これが初めてだと思うのだけど、ひんやりすべすべとしてなかなかどうして心地良い。そして黒いから汚れが目立たないし、液体をこぼしてもさっと拭き取れてダメージが少ない。
また、二つ折りに畳み込まれている座面を伸ばして、背もたれをリクライニングさせると完全なフラットになりベッドとして使える。現在これがわたしの寝床でもある。
このソファを毎晩ベッドとして使用するためには当然ベッドを広げるだけのスペースを確保しておかねばならない。おかげでソファ周辺には物を置かなく(置けなく)なり、自然と部屋を散らかさないようになるという素晴らしい副次効果が付いてきた。

しかも馴れとは怖いもので、届いた当初は嫌というほど浮いて見えていたあの異質感は今ではもうまったく感じない。

注文ミスによって我が家へやってきた黒いソファは、期待していなかった分メリットばかりが際立ってまんまといい感じで我が家に馴染んでしまった。

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