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沼津でリモートワークをしている話

最近リモートワークの普及に伴って地方移住しましたという話をよく見かけます。
私もその波に乗ったというわけではないのですが、実は昨年の夏、東京から沼津に引っ越しておりました。
近況報告も兼ねつつ、同じく地方移住ちょっと気になっているよという人のために参考として諸々どうだったのか書いてみたいと思います。

筆者の状況

  • IT 企業勤務、ソフトウェアエンジニア

  • 配偶者あり

  • 車の免許なし (ここ重要)

ことの始まり

いろいろとライフイベントを経て、ぼちぼち資産形成とかも考えていかないとなぁという状況で費用を見直していて、東京の家賃高すぎない…?となったのがきっかけだったと思います。
感染症の流行に伴い一気に普及したリモートワークですが、特に IT 企業では一過性ではなく不可逆の変化となりつつあり、これは地方移住も真面目に考えてもいいかもな、ということで動き始めた次第です。
その他移住という大きな決断をするに至るまでいろいろと事情はあったのですが、ここでは割愛します。

移住先の選定

ソフトウェアエンジニアということで基本フルリモート勤務が可能な職種ではあるのですが、人生何があるかわからないので、週一くらいでは東京のオフィスに出社可能な位置に居たいという思いがありました。

せっかく移住したのに満員電車で数時間かけて出勤となるのも嫌ですし、じゃあ新幹線通勤しかないなということで、必然的に以下の候補地に絞られました。

  • 軽井沢エリア

  • 三島エリア

どちらも東京駅まで新幹線で 1 時間前後でアクセス可能なエリアです。

軽井沢は前職の上司が住んでいて毎日新幹線通勤していたので、将来的な選択肢としてありだなとは思っていました。しかし、いろいろと住んでいる人の意見を漁ってみると、さすがに車なしの生活は厳しそうな印象です。

じゃあ三島かなということで、三島周辺の情報を漁り始めました。

長泉町

三島は特に駅北口方面に位置する「長泉町」という町が、近年住心地がよいということで人気らしいです。IT 界隈でも移住しましたという方をちらほら見かけます。有力候補として、実際に視察に赴いてみました。

ただ、長泉町も車なしでの生活は厳しそうでした。
実際訪れてみると、長泉の中心部はここだけ東京と言われても信じるくらいには発展していて、非常に魅力的なエリアでした。
しかし、三島駅北口には広大な工場地帯が広がっており、この工場しかない道を駅から 20 分ほど歩くとようやく長泉の中心部に辿り着く、という徒歩民にはなかなか厳しい立地になっています。

私の所感ですが、町としても電車利用は想定せず、新東名等を使った車でのアクセスを前提としてまちづくりを進めているように思います。
現地の不動産会社の方に話を聞く機会もあったのですが、車を持っていないというのはさすがに考えられないといった口ぶりでした。

三島広小路

なるほど長泉町は厳しそうということで、次点で三島駅南口エリアを見に行きました。
こちらも長泉と同じくらい人気のエリアで、開発も局所的にはかなり進んでいる印象です。

居住地として十分に選択肢になりうるとは思ったのですが、道路状況的にやはり車社会という印象でした。
主要な道路は常に交通量が多く、そのためか入り組んだ歩道のない生活道路を車がびゅんびゅんと行き交っています。
今後、道路の整備に伴って改善されていく可能性はありますが、現時点でここに引っ越すのはどうだろうか…うーん…といった感じで、三島広小路を後にしました。

そして沼津へ

前置きが長くなりましたが、ようやく沼津です。

沼津は JR 東海道線三島駅の隣の駅です。
東京へのアクセスは三島に比べると多少悪くなることもあり、当初は候補地として考えていなかったのですが、三島が上記のような状況だったのでダメ元でついでに見に行きました。

実は沼津には某サンシャインの聖地巡礼で何度か来ていたのでそれなりに土地勘はあったのですが、移住目線で改めて街を歩いてみるといろいろと気づきがありました。

半分冗談で大都会沼津などと言われたりもしますが、なんだかんだで沼津は静岡県東部の中心都市。過去にはデパート撤退といった寂しいニュースもあった一方で、道路は整備されており、駅周辺には生活に必要な主要施設が揃っています。それなりに「都市」としての機能が維持されているという印象です。

また、市政の状況を調べてみると、駅周辺の再開発事業によって徒歩民に優しいまちづくりを進めているとのこと。

駅の高架化はニュースにもなっていました。

ということで、「沼津ありじゃない?」となった我々は、最終的に沼津に移住することを決めました。

引っ越しと手続き

将来的に定住することも見越しての移住ですが、もろもろのリスクを考えてまずは賃貸で検討。現地の不動産会社さんで Google マップの評価が高いところがあったので、そちらで物件を探して、よさげな賃貸マンションに決まりました。
賃料はやはり東京の相場に比べると数万円安いです。これはかなり大きい。
また、もろもろの細かい手続きはオンラインでできたのがありがたかったです。人類の進歩を感じる。

ガス

都市ガスは通っているのですが、賃貸だとプロパンガスが多めという印象です。許すまじ。やむなく契約しましたが、高いので基本的に電気を使うようにしています。

電気

東京電力管内です。東京からであれば通常の引っ越し手続きで足りると思います。

水道

インターネットから利用開始の手続きができた、はずなのですが、今見るとページ開けないですね…
とりあえず水道局に電話するとよいと思います。

インターネット

NTT 西日本の管内です。NTT 東日本管内に住んでいる場合は、プロバイダを変えない場合でも別契約として手続きが必要です。めんどくさい。
ニュースにもなっていた大規模なシステム障害にちょうど巻き込まれまして、しばらくコワーキングスペースに通うことも覚悟しましたが、なんとか開通に至りました。

引っ越し

何度か利用させていただいている某りんごとゴリラの業者さんに今回もお願いしました。長距離の引越しは初めてでしたが、いつもながら仕事がスマートでありがたい。
引っ越し当日、荷物を業者さんに預け、部屋を空にした後、鍵を返却、その足で新幹線で移動、ホテルに一泊して次の日荷物受け取りといった感じで、正直かなり疲れました。都内の引っ越しのときは多少荷物を残しても自分で運べばいいやという余裕があったのですが、長距離になると一発で部屋を空にしないといけないという縛りがあるので本当に大変でした。

転入手続き

市役所に赴いてもろもろの手続きをしました。
そもそも利用者が少ないからか、それほど時間もかからず終わったと思います。

ちなみに、移住者への補助金もあります。
我々が引っ越した時点では、沼津の企業に就職した人という制限付きの補助金しかなかったのですが、テレワーク移住支援補助金という制度ができていました。やったね。

沼津での生活

地方移住とは書きましたが、個人的な感覚としては「引っ越し」したという感覚が近いです。
日常生活においては特に東京にいた頃と変わりなく、たぶん神奈川とかに引っ越すのとそれほど変わらないんじゃないかなと思います。

以下、沼津での生活の様子です。

スーパー

徒歩 10 〜 15 分圏内にスーパーやドラッグストアなどがあります。
さすがに東京と比べると微妙に距離もあるし数も多くはないのですが、日々の買い物で困ることはないです。

駅前のしずてつストア・駅ビルのアントレをよく利用します。レタスやトマトなどの静岡県産の新鮮な野菜が美味しいです。あとスーパーに売ってる寿司が普通に美味い。沼津産シャインマスカットも安くて美味しかったので見かけるたびに買いました。

沼津駅南口。写真右手のイーラにだいたいのものは揃っている。再開発で広場ができるらしい。

北口にはイトーヨーカドー (イシバシプラザ) があったのですが、先日閉店してしまいました。北口民は現状買い物が大変そうですが、跡地には大手流通業者が入るとかなんとか。

また、沼津にはパルシステムもあります。東京にいた頃から利用しているのですが、パルシステムがあればそんなにしょっちゅう買い物に行かなくても困らないので本当に助かっています。栄養満点の冷凍食品に感謝。

飲食店

大都会沼津、やはり飲食店は多いです。テイクアウトのできるお店も多いので、リモートワーク中のランチによく利用させていただいています。
市が推しているからか、PayPay が使えるお店も多く便利です (個人的には QR よりタッチ決済が普及してほしいお気持ちもありつつ)。
出前館や UberEATS もあるので、食事を用意する余裕がないときにたまに利用しています。

カフェやスイーツ店、定食屋さんなどが立ち並ぶあげつち商店街。たぶん沼津で最も賑わっている商店街。

道路事情

前述の通り比較的道路は整備されています。歩道も広くて歩きやすい。
が、これは住み始めてから知ったのですが、沼津は交通事故率が実は高い。車同士が衝突して車がひっくり返っていたり、横断歩道で人が轢かれたり。

軽く調べてみたのですが、静岡って車保有台数あたりの事故発生件数は全国一位になってるらしいんですよね。
その静岡県の中でも、沼津や隣町の清水町は上位に入っているらしい。

いろいろと要因はあると思いますが、今後の市の対策に期待したいところです。
ひとまずは横断歩道を渡るときも車の存在には気をつけようと思います。

災害事情

沼津に住むとなると気になるのが災害です。
海には津波のリスクがあるし、狩野川は氾濫が怖いし (昨年の大雨の際は狩野川放水路の活躍もありギリギリ耐えていましたが)、北に目を向ければ富士山の溶岩流。
そんな災害リスクに溢れた土地なので、賃貸契約の際もハザードマップを提示された上で「あなたの住む場所はここですよ」といった旨の説明があります。

一応今回の引っ越し前にハザードマップを確認して安全なエリアを選んではいたのですが、住める場所は限られているなぁという印象です。
沼津市として駅前のコンパクトシティ化を進めているようですが、これには上記のような災害事情があるのかもなと思います。

定住するとなったら新築マンションを買いたいと思っているのですが、居住可能エリアの狭さを考えると建設のペースもあまり上がらないかもなぁ…いや再開発が進めばあるいは…というのが最近の悩みです。

ごみの分別

「沼津 移住」とかで調べると必ずと言っていいくらい言及されているのがごみの分別の厳しさ。かなり厳しいということは聞いていたのですが、たしかに厳しい。東京であれば「とにかく全部燃やせ!燃えなかったら埋めろ!」くらいの大雑把さがあったような気もするのですが (そんなことはない)、かなり細かい分別を求められます。東京の感覚で来ると最初はかなり戸惑います。
ごみ出しのルールも地域によっていろいろとあるので、24 時間ごみ出し可能な集合住宅を選ぶのが無難かと思います。
新しい中間処理施設を作るらしいので、もしかするとこれによって多少マシになるのかも…?

気候

海辺の街あるあるらしいのですが、とにかく風の強い日が多いという印象が強いです。ちょっと歩けないレベル、子供だったら吹き飛ばされるんじゃないかというレベルで強風が吹いていることもあります。
ただ、風があるおかげで夏は比較的過ごしやすいように思います。市内には、かつては皇族の避暑地として使われていた沼津御用邸という施設もあります。
冬は普通に寒いです。東京と同じくらい。
また、風の強さとも関係があるかもしれませんが、低気圧で頭が若干重いなぁという日も多いような気がします。気圧に敏感な方は注意したほうがいいかもしれません。

治安

比較的良いんじゃないかと思います。
沼津出身の方いわく、一昔前は特に駅前などはかなり危険な雰囲気だったらしいのですが、綺麗に整備され、そういった雰囲気はなくなってきたとのこと。
ヤンキー文化みたいなものは若干残っていそうな雰囲気は感じますが、もはやラブライバーに制圧されてしまったような感じです。
とはいえ、さすがに夜に出歩くのは街灯も少ないのでやめておいたほうがいいかなと思います。

週末の過ごし方

家でパソコンカタカタしていることも多いですが、感染症対策に気をつけつつ、沼津や三島・伊豆の観光地をだいぶ開拓しました。東京にいたときはどこへ出かけるにも混雑した電車に乗り込んで大量に人が行き交う駅を経由しなければならなかったのですが、沼津に来てからはこれがないので気軽に遊びに行くことができます。
住んでこそいないものの、三島の源兵衛川沿いをふらっと歩きに行くことは多いです。熱海や伊東も電車で行けるのでたまに行っています。

源兵衛川。水が綺麗です。
ベアードビール。沼津港を眺めながら静かにクラフトビールを嗜む休日、プライスレス。
少し足を伸ばして御殿場アウトレットへ。服などはここで買う。
東伊豆は電車に乗ってふらっと行きたくなる。

これからの沼津

現時点でも想像以上に住みやすい街だなぁと感じているのですが、これからの沼津にもいろいろと楽しみなことがあります。

まずは上でも言及してきたような駅周辺の再開発事業。高架化はかなり先になると思いますが、駅前の広場や道路の整備は既に始まっています。より住みやすい街になることに期待です。

次に、ウーヴンシティ。これは裾野市の話ではありますが、御殿場線の始発駅である沼津も、ウーヴンシティへの玄関口として何らかのよい影響があるんじゃないかと少しだけ期待しています。

沼津はよい街です。約一年この街で過ごして、個人的にも沼津を盛り上げるためのなんらかの貢献ができたらいいなぁと思い始めてきました。
とりあえずは、たくさん稼いでたくさん納税しようと思います。

まとめ

  • 沼津に引っ越しました

ここ数年でいろいろと社会状況が変わって、人生の選択肢が増えたという方もいらっしゃると思います。選択肢の一つとして、この記事を参考に沼津での暮らしを検討していただけたら幸いです。
特に移住は考えていないという方も、是非観光で遊びに来てください。
この note でも観光地の紹介などしていきたいと思います。

香貫山からの風景。海と山と街が調和した美しい景色を見て、改めて沼津に来て良かったなぁと思いました。

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