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奈良県にある慈光院を訪ねました。初めての訪問です。玉ねぎを丸ごと茹でた料理とお庭が有名とは前から聞いていました。大和郡山から法隆寺までタクシーに乗った時、運転手さんに時々人を乗せて行くが、何があるんでしょうねと聞かれ、気になっていました。その運転手さんは素敵な人で、慈光院から法隆寺に近づくカーブで、「ここが私の一番好きな風景なんですよ」と教えてくれました。そこはカーブの後半から、先ず法起寺の塔が見え、それから法隆寺が現れるという確かに素晴らしい景色でした。

狭い道を通っていくとは聞いていましたが、車幅ギリギリの上石畳のため左右に揺さぶられて、脱輪しないかと心配しながら、駐車場に着きました。
山門をくぐってから、風情のある茨木門に至るまでは石畳が続きます。どんなところなのだろうと期待が膨らむ様な設計がされています。石の配置や曲がり方、そして生垣と景が計算されているのです。

側溝の石のラインから中央の石畳に伸びる斜めのラインが奥へ誘う動線を作っています。

直角に曲がった先にこの茨木門が現れました。

茨木城の門を移築し、茅葺き屋根にしたそうです。私には大阪冬の陣前後の片桐家の運命を感じてしまいます。


大名であり、茶人である片桐石州という方は綿密な方だとお見受けしました。茶の湯の美意識の一つのたどり着いた道ということでしょうか。

乾燥のためでしょうか。面白いオブジェになってます。しげしげ眺めていたら、「それは虫が出ないように一度茹でてあるのですよ」と声をかけていただきました。


受付をして廊下を進み、お庭が見渡せる座敷に至ると、今までとは全く印象の異なる景色が目に飛び込んで来ます。
大和盆地の絶景が広がっているのですが、それを借景にして、良く手入れされた左程大きくないお庭が、光と溶け込んで一体化して見えるのです。
天井を低く取り、横方向の広がりを重視した錯覚のせいかな。非常に解放感があります。



当日は目まぐるしく天気が変わる日で、狐の嫁入りなどがあり、庭園にかかる光の変化はいろいろでした。しかし曇天から雨天、晴天と変わる度、お庭は違う面を見せます。四季を通じ400年の間、ここを訪れた人は何を感じて、来ては去って行ったのでしょう。

左の奥に茶室があります。庭から回り込むのが正式な入り方なのでしょうか。
右上の道路と車が見えるのが本当に残念です。
現代のモダンアートとしても通用します。重要文化財だそうです。


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