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2022.8.19 「夏新そば」の特徴を理解しよう

8月19日(金)
8月も後半戦になりまして、興味が「夏新」から、「雪室そば」「秋新」に移っていきます。ただ、まだ「夏新」の意識がある今のうちに、「夏新そば」の特徴をみなさんに理解してもらいたいので、「品種」「収穫量」「品質」の3つの切り口で、少し踏み込んで話をしたいと思います。

※注  プロとアマの境目的な話なので、結構専門的になります!


〇品種について
まず、品種ですが「夏型」の品種をまきます。
具体的には、「キタワセソバ」に代表される北海道で栽培されている品種か、九州で「春そば」という名前で栽培されている品種です。
農作物としての「そば」は、日の長さが短くなるのに反応して、実をつけていきます。日が短くなるのに反応するので、「短日作物」といわれています。
この日の長さに反応することを「日長反応」といい、この反応に鋭いのが「秋型」鈍いのが「夏型」です。
つまり、日長反応に鈍い「夏型」が夏そばに適していて、「夏型」品種は、日の長さよりも温度や日数に反応して成長し、実を付けます。

夏そばに「秋型」をまくと、収穫量が減るまたは安定しないことになります。

〇収穫量について
収穫量については、品種の選定が合っていても、天候次第というのはご存じの通りです。もちろん雨風や霜が天敵ですが、特に夏そばでは開花期に高温に見舞われることが多くその際に高温障害が起きやすくなります。
最低気温が18℃を超えると高温障害で結実率が低くなるというデータがあります。
今年は6月末から異常に暑い日が続いたので、収穫量が落ちた可能性があります。

〇品質について
最後に品質についてです。

・でんぷんが多い
夏の強い日差しで光合成するのでたくさんでんぷんを作ります。できたでんぷんが糖になって転流していって、実の中にでんぷんとしてたくさん蓄積されます。
つまり、夏新そばは秋収穫に比べて、でんぷんが多くなります。
でんぷんが多いということは、味香りはやや弱くなりますが、食感やのど越しが優れる傾向になります。
ただし、成熟期が雨に多く当たったり、夜の気温が下がらずでんぷんが消費されるような環境だと未熟粒が多いロットになるので、逆にでんぷん量が少なくなるので注意が必要です。

・穂発芽リスク
これはいままで我々がたたかってきたヤツですね。
試験データによると・・・
①平均気温22℃以上
②雨が2日連続で20mm以上の降雨

この2条件で著しく穂発芽は増えます。
穂発芽すると、酵素が働いて既にでんぷんが切れてるので、製麺後麺が切れやすく、食感が悪くなります。
多少の穂発芽なら、他の正常な部分が新鮮で力強いので十分カバーできるのですが、その見極めが難しいので細心の注意が必要になります。当社では実際にそば打ちしたり、RVAで品質管理をしています。

・ルチンが多い
そばの代名詞ともいえる抗酸化作用を持つルチンは、日陰に移動して逃げられないそばにとっての日傘ともいうべきものです。夏は日差しが強いので、ルチンの量も増えます。

なお、アミロース比率については、条件によっていろんな結果が出るように思います。いろんな報告がされているので、私の主観も含めてそのうちまとめたいと思います。



以上の「夏新」の特徴をしっかり理解しながら、我々は夏新のパイオニアとして、これからもお客様に喜んでいただけるようご提供し続けたいと思います。


それでは本日もよろしくお願い致します。


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