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BlaBlaCarは積極攻勢に向けて1億ユーロのキャッシュを確保

欧州でライドシェアを展開するBlaBlaCarが積極攻勢に向けて1億ユーロの融資枠を設定しました。
死屍累々な欧州のマイクロモビ業界、勝ち組による救済買収/統合と業界寡占化が進む一つの転換点になりそうです。

1;BlaBlaCarによる融資枠の設定

 4/3にBlaBlaCar(Bla社)は1億ユーロの融資枠を確保したと発表し、買収などを通じた成長資金として取り扱うとする。融資枠は英国/米国/仏国の複数金融機関から確保しており、CEOは[今回の融資枠は好条件で希薄化もない柔軟なツールである]としている

 融資枠は融資実行まで利息がかからないが、CEOは他新興企業の買収に利用すると述べており、昨年以降はマイクロモビリティ本体/周辺の新興各社が調達に失敗しており、そういった会社は企業価値が暴落しておりお買い得

2;事業/財務の状況

 Bla社は非公開企業だが財務情報を一部公開しており、22/04からEBITDAベースで利益を計上。多くのスタートアップが様々な前提条件を捻くり回して収益を主張しつつ本当は損失を計上しているとは逆方向
 CEOは下記のように語って事業進捗/利益計上が健全に成し遂げているとした
 -[事業全体でここ2年は利益を上げており、22年は恐らく最初の2か月を除けば、COVID-19の収束以降はほとんど利益を上げ続けていることを意味する]
 -[2022年度はわずかにマイナスで終わったが、1Qにおける欧州各国の大都市でのマイクロモビリティ禁止の影響が大きかった]
 -[FY22-2Q以降は利益を上げ続け、2023年には収益(売上)が2.5億ユーロを超え、売上高成長率は30%弱となった]

3;事業の状況

 2023年には8,000万人の乗客がBla社のサービスでバス/相乗りを予約利用し、展開地域としてもフランスだけでなく多国に渡る
 インド/ブラジル/メキシコ/トルコでは基本サービスのみで割増料金/予約料金等の導入での収益化はしていないが、今後段階的に追加料金導入を行う
 
 CEOは[ブラジルはユーザー数の点でフランスよりも大きく、来年の相乗り乗車数ではインドがフランスよりも多くなると思う]と述べている
 ロシア事業に関しては他社と異なり事業売却を行わず、売却する意思もないとのこと。ウクライナ戦争が始まった時にロシアには数百万人のユーザがおり、事業売却はロシア拠点の事業者に限定されるのでかえって逆効果とする。CEOは[ロシア事業は全体の5%程度で、完全に分離/独立運営がなされている。これを売却することは結局ロシアを利することになる]と。

4;事業成長の方向

 欧州でBla社は全ての地上交通手段を集約すべく動いており、今年には相乗り/バス乗車に加えて電車切符も追加する予定
 まずは[アプリ上での切符購入]を可能とし、次に[駅からのラストワンマイル相乗りサービス]を連携させる計画
 
 CEOは[電車と相乗りを組み合わせ、ほぼ戸別訪問のような旅を提供できるようになる]と語る

 現在は電車予約せずでのラストワンマイル相乗りの実証実験を行っている
 CEOは[短距離用の相乗りモデルを用意、鉄道駅と目的地を結ぶもの。駅から目的地はたいてい10-40km離れており、そこを狙うサービス提供を行う]とコメント。駅から目的地に向けての人流はあるので、そのドライバーに情報共有/サービス提供情報を送信して提供の可否を確認して実行する

 欧州以外では、バス利用が最大の事業機会となると指摘。インドやブラジルではバスチケットに人々が数十億ドルを費やしているとする。
 CEOは[バス業界は依然として非常にオフラインで細分化されており、効率化が全く進んでいない点は成長の種である]とする

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