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短歌 新作8首 『老人環の青』

歳月とともに変わってゆく人。街。社会。
人生が終わるときは、変化が終わる瞬間でもある。
そのとき隣にいるのは誰だろうかと想像する。
そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

老人環の青  鈴掛真

空洞に君を取り込み強酸で末節骨からゆっくり溶かす

喪失は案外美味で新説のガストロノミーを提唱しよう

グールドの変奏曲は声色を思い出すにはテンポが速い

真実を映す鏡は俺が無であるならどんな目で笑うだろう

息絶える最後の春も見つめ合い老人環の青に溶けたい

夢の中だったら君を選ばないかもしれないから7時に起こして。

鶯が鳴くたびに門へ駆け出して行くパブロフの犬になりたい

海水が堤を越えて冬の無い国になったらまた会おうRegards,

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