短歌 新作7首 『好きと呼ぶには遠すぎる』
時間。距離。沈黙。心。
離れて暮らす僕たちは、あらゆる空白をなんとか埋めようとして、やっとの思いで視線を合わす。
たとえそれが短い間でも、もしもこれが最後の機会であったとしても、また会える日を心待ちにしながら。
そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
好きと呼ぶには遠すぎる
まだ誰も開けたことない鍵穴を壊してくれる言葉が欲しい
ただひとり取り残されて泣き止まぬ迷子のように降りしきる雨
俺たちは同じ手枷に縛られている単体と見なせるはずだ
ともだちになんて今更戻れずに意外と薄い虹彩の色
肩越しにNetflix観ていたい地球が終わる最後の夜も
宿命は変えられなくてまだ君を好きと呼ぶには遠すぎる街
来年の最初の蝉が鳴く声を君と聞けたら何もいらない
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