季節の声に耳を傾ける。
三月には三月の音がある。
三月には三月の空気の匂いがあるように。
渡る風や鳥の声。
草木が芽吹く時の、かすかな破裂音。
猫のハミング。
これからくる季節は、恩寵に満ちている。
花の咲く瞬間に立ち会いたい。
寒さに耐えて握っていた手を開く季節。
解放された心も光を求めていて、
自分もたしかに自然の一部なのだと
感じることができるのだ。
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お知らせです。
日本左利き協会さんのホームページで掲載中の
ショートストーリー【後編】が
公開されました。
『静かな夜が降るまえに』【後編】
(♢から後の部分が
今回公開されたところになります)
ふと何か文字を読みたくなったときに、
ここを思い出していただけると嬉しいです。
短い作品ですので、すぐに読みきれます。
この文章を書き始めたのは12月でした。
ほとんどすべて書き終えて
あとは寝かせて推敲、という1月に、
能登で地震が起こりました。
立ち止まって考えなければならないことが
いくつかありました。
その時
最初に書き上げていた後編の内容が、
自分の気持ちにそぐわないように
感じられたので、
急遽書き直すことにしました。
痛みのある物語だとしても、
少しでも救いや光のあるものにしなければ
いけないような気がしました。
(当初は主人公の女性が過去を思い出す
ヒリつく設定でした。
いつかそちらも公開できたらと思います)
あなたが手にしているものが
古ぼけたものに見えたとしても、
別の誰かにとっては新鮮に映ることもあります。
新しいものに作り変えてゆく勇気さえあれば、
別の輝きを放つのかもしれません。
春に芽吹き、花を咲かせるためには、
冬の寒さが必要だったのだと知ること。
それはかけがえのないものたちへの
愛情を再確認することでもあると思います。
明るい光溢れる季節を迎えられますように。
文章を書いて生きていきたい。 ✳︎ 紙媒体の本を創りたい。という目標があります。