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#03【NZ旅行記】女子サッカーW杯ときどき珈琲

サッカーと珈琲をとことん楽しむ旅行記。
#01 はこちら。


マフラーを交換したい!


スペインに4-0で勝った。
みんなカッコよくて最高だった。
WEリーグに所属する選手も活躍してくれた。
ニュージーランドまでやって来て本当に良かった。
選手がファンサービスをするのを眺めながら、勝利の余韻に浸っていた。

人がまばらになり、ハッと気付いた。
大事なことを忘れていた!

試合後に、スペインの女子サポーターとマフラーを交換すること!

試合後に選手がユニフォームを交換するように、時としてサポーターもユニフォームやマフラーを交換する。
最初に選手同士がユニフォームを交換したのは、1931年フランスvsイングランドの試合だったそう。サポーター同士が初めて交換したのがいつなのかは分からないが、1998年フランスワールドカップで、そのような文化があると知った。
日本代表の「炎のユニフォーム」は海外サポーターに大人気で「ユニフォームを交換しよう!」と声をかけられた。しかし、私にとってユニフォームは高価すぎて、とてもじゃないけれど手放すことができなかった。
肌感覚ではあるが、欧州や南米サポーターのユニフォームはパチモンであることが多い。特に声をかけてくる人のそれは、そうである確率が高い……気がする……。「両替お断り!」レベル。

2018年ロシアワールドカップでは、「そのマフラーを売って欲しい!」と言われた。横にいた娘さんが欲しがっていると聞きプレゼントした。そして、周りにいた男の子には無理やりマリノスのユニフォームをプレゼントした。
このような交流はとても楽しいし、ほぼ自己満足だと思うが幸せな気分になれる。

ユニフォーム交換はハードルが高いけれど、マフラーなら手軽に交換できるんじゃないかと考えていた。
7月後半のニュージーランドは寒く、その場で脱ぐのは難しいし、高価なユニフォームは交換を躊躇ってしまう人も多いだろう。しかし、マフラーは比較的安価なので「交換してもいいか!」と思う人もいるのではないかと考えていた。

なぜ、こんなにもマフラー交換に執着しているかというと、カタールワールドカップで夫が他国のサポーターとマフラーを交換しているのを見て、めちゃくちゃ羨ましかったから。
準々決勝のモロッコvsクロアチアで、北京国安サポーターの方と席が隣になり、写真を撮ってあげたり、こちらも撮ってもらったりした。そして、夫は鹿島アントラーズのユニフォームを着ていたので「カシマはACLで優勝したよね。すごくいいチームだ」と褒めてもらい、お互いのクラブチームのマフラーを交換していた。ACL優勝に嫉妬しつつ、いつか私もマフラー交換をしたいと思っていたのだ。

しかし、気付いた頃には、スペインのサポーターはほとんど居なくなっていた。

スペインのマフラーを持っている女性を探す。

いた!!!

スペインのマフラーを首にかけている女性を発見した。

近付こうとした時、女性はマフラーをぐるぐるぐるっと首に巻いた。風も強いし気温も低くなってきていて、もはや応援グッズではなく、防寒具として使っていて、声をかけるのを一瞬ためらってしまった。
私が持っているマフラーは新品だけれど、細長いタオル。全然暖かくない。

しかし、ここは行くしかない。

前のめりになりすぎて、声を発する前にマフラーを差し出し、プレゼントだと勘違いされてしまった。
「違う!違う!違う!そうじゃなーい!」
説明すると……、

「えっ?交換?それと?!」

どうやら、サポーターにおける交換文化を知らない女の子だったようだ。
私も昔は「は?ユニフォームを交換?絶対イヤ!」と思っていたから、その気持ちは分かる。
たしかにスペインのニットマフラーと私のタオルマフラーじゃ両替お断りレベルだと思う。見た目の差がありすぎる。特に冬のニュージーランドでは、圧倒的にニットマフラーが良い。
会話の途中で、こりゃ難しいと判断し、記念撮影の時だけマフラーを交換することで落ち着いた。
お礼を言って別れた。

笑顔で記念撮影
スペインマフラーが逆さまだった……


少し離れた場所から見ていた夫に言われた。

「なんかさ、カツアゲみたいだったよ。あのこのマフラー、大会公式グッズだったでしょ!絶対今日買ったものだよ!」

「たしかに……」
「自分が欲しいマフラー選んじゃダメだよ。交換してくれそうな人に声かけなきゃ」
「そうだね……」
「あのへんにいるサポーターだったら交換してくれるんじゃない?」
夫にすすめられたのは、年季のはいった男性サポーター集団だった。
「だめ!女子サポーターがいいの!」

しかし、スタジアムにはスペインの女子サポーターの姿は見当たらず、諦めるしかなかった。
人生初のマフラー交換チャレンジは、ほろ苦い思い出となった。

反省点はいくつかある。そもそも声のかけ方が最悪だったと思う。いきなり交換しようと近付くのは不審者すぎる。理想は近くの席にいる人と試合中にコミュニケーションをとり、距離を少しずつ詰めて、試合後に記念写真を撮りつつ交換をお願いするのがベターなのではないか。

あとは、なでしこジャパンのニットマフラーがあるといいよね。他国のサポーターが欲しがるようなクールなニットマフラーがあるとベスト!

ウェリントン空港でフラットホワイト

ホテル近くのカフェで朝食をと考えていたが、早めに空港に向かい空港で朝食をとることにした。
成田でのトラブルがややトラウマなわたしたち……。

ウェリントンの街は、歩きタバコの人は見かけなかったが、コーヒーを手にしている人をたくさん見かけた。空港でも、搭乗前のパイロットがコーヒーカップを手に談笑していた。

ハムとチーズが挟んである熱々のクロワッサンとフラットホワイト。
なんでもない朝食だけれど、それだけで至福。

珍道中は、#04 へつづきます。


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