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川内倫子写真展ー京都国際写真祭ーKYOTOGRAPHIE 2024

京都の岡崎、平安神宮の巨大な鳥居の近くにある「京都市京セラ美術館」が、今現在ものすごい豪華なラインナップの展示であることをご存じでしょうか。
「金曜ロードショーとジブリ展」
「村上隆もののけ展」
「KYOTOGRAPHIE ー川内倫子・潮田登久子・川田喜久治ー」

この3つの展示が!なんなら5つ!
ひとつの美術館で開催されています今。
無理ですよ、一度になんて。
頭パンクします。
【参考情報】ジブリ展については、土日のチケットは会期中完売状態です。

展示会場となる「京都市京セラ美術館」は、2020年にリニューアルに大成功して、岡崎の新たなカルチャーを生み出す場として定着しています。

・・・新旧ミックスのラビリンスが誕生した。

と私は初めて行ったときに思いました。
「旧」を食い尽くさず良き部分だけを際立たせる「新」。これぞリニューアルの先進事例!お見事。

太陽光がまわり、天を仰ぎたくなる開放的な空間。登って降りてが楽しい階段やスロープがいくつも。エントランスはその名も「ガラス・リボン」、かなりのこだわりが見て取れる設計。
京都が世界に誇る美術館ここにあります。

【小噺】
えっ、名前に「京セラ」ってついちゃうんや。と思った京都の人は多いかもしれませんが、京セラが再整備費用50億円出資したうえでのネーミングライツ取得と知り、なんと素晴らしい企業なのだと再認識いたしました。

京セラ美術館が好きすぎて、前段が長くなりすぎていますが、この記事はKYOTOGRAPHIEのレビューにしようと思って書き始めたのでした。

今回はプロアマ問わず、カメラや写真が好きな人はおそらくみんな知ってる「川内倫子」さんの展示について。

川内さんの写真は、日常に幻想というフィルターがかかったようなイメージ。そこに確かにある日常も、本当は儚く曖昧なもの、そして世界は美しい。彼女の写真は私の目にそう映る。

川内倫子 CuiCui+as it is 展

川内さんは、ローライフレックス、というドイツ製の二眼レフカメラを愛用されています。私はカメラの機材について詳しいことは分からないけれど、一度ローライフレックスで撮影してもらったことがあって。

あれ、いつのまに撮ってたの?
そう思わせるのは、特有の撮影方法、構えるのではなく首から下げて覗き込んで取る、方法だったからだと思います。機材自体も愛らしい。ロゴが特に。

そんなカメラを相棒に撮影されている川内さん。

「なんかおしゃれでいい感じ」の写真ではない深み。胸の奥に語り掛けてくる重み。川内さんの意志。

目に映っているけれど、見えていないものの存在に気づかせてくれる。
自分にはない視点を教えてくれる。
蜘蛛の糸すらこんなに美しいんだってこととか。

川内さんの作品

展示は、Cui Cui という家族の13年の記録と、as it is というご自身の娘さんの子育ての記録。写真と映像で綴られる展示空間は、川内さんの人生にお邪魔させてもらうようにデザインされています。

ちなみに、展示空間デザインをする人のことを、セノグラファー、と言う事を最近知りました。
いろんな専門家が自身の持ち場で最高の仕事をすることで、表現者の表現が一般の人に届くんだなぁと、特にKYOTOGRAPHIEでは強く感じます。

KYOTOGRAPHIEは、それこそメインとなる13会場に加えて、KG+という100以上の展覧会が京都市内あちらこちらで開催される写真祭なのですが、アーティストごと、会場ごとに別世界が繰り広げられるのです。
当たり前なのかもしれないけれど、その背景に関わる人の多さ、力量、熱量を思わずにはいれません。

顔の見えない多くの人々のおかげで、まざりっけのない「川内倫子の作品」と対峙できるありがたさを感じながら、2時間ほどゆっくりと鑑賞しました。帰る頃には、川内さんの娘さんが、なんだか近所の可愛い子、みたいな親近感が芽生えたのが楽しかったです。

会期は2024年5月12日まで。超絶おすすめしたいです。

おわり

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