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編集部ピックアップ『小さな世界が壊れても』

全7796文字 ヴェルデ国の収監所で働く俺は『思想犯』の先生に、食事を運ぶ──

著:七澤アトリ(ななさわあとり)

”思想犯”の先生と、主人公の交流

収監所の小間使いとして日銭を稼ぐパルマの仕事は、幽閉されている”思想犯”に食事を運ぶこと。その思想犯は、”先生”と呼ばれている。
次の春には処刑される先生は、牢獄で墨を使って文字を書いている。物静かで端正な先生に、パルマは自分でも気づかないうちに心を惹かれていく。

異国の文化を愛したことで、思想犯にされた先生。先生と対話するたび、パルマの内面が自由な方へ変化していく様子と、反対に先生の処刑の日に近づいていく様子が、丁寧に描かれていて切なくなった。
パルマは先生のことを狂人と思いながらも、先生が書いた文字を捨てることができず、懐に忍ばせ、処刑時に先生の頭に被せる袋を作る。
ラスト、パルマに力が湧いてくるところに希望があった。

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