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#233:インフルエンザの日々

我が家は、先日インフルエンザに感染して強制停止となった。

いざ、強制停止すると現実世界で支障は出る。しかし、少し引いた目でその状態を眺めると、強制停止したからこそ、流れが変わって良い展開となった点もありそう悪くないと気付いた。


息子発熱

夕方37.5度の熱が出た息子は、翌日病院の検査であっさりインフルエンザA型を告げられた。

普段風邪さえ引かない中学生の息子に熱が出た時点である程度は覚悟していた。幸いにして、夫婦ともに未だ在宅勤務が選択できる仕事のため、その週は外に出ず仕事をした。

息子の熱もピークを過ぎると、ゴホッゴホッという咳はまだ残るものの、次の週に迫った期末試験に注目が集まってきた。…といっても、あくまで注目しているのは親の方で、当の本人はあまり触れたくない様子。

そんな目に見えぬ攻防とともに、珍しく平日に家族全員で家に居る生活が3日ほど続いた後、ようやく週末が訪れた。

週末は私が発症

土曜日の朝、少しリアルで怖い夢を見て汗をかいて目が覚めたら熱が38℃になっていた。

ちなみに夢の内容は覚えていない…息子はインフルエンザになった夜、近所のスーパーから誰かに追いかけられる怖い夢を見たらしい。

インフルエンザ当日は自分の誕生日でもあり、なかなか象徴的な44歳の幕開けだなと感じた。

土日の発熱外来は電話がつながらず、確定診断と薬を受け取ったのは日曜の夕方であった。

熱は薬ですぐ下がったが、喉の痛みや咳や鼻水はなかなか途切れず悶々とした日々。

なぜか発症しない強靭な妻だけ、少し不満気に我々の看病と買い出しを担当してくれた。とはいえ、妻も頭痛などの症状はあり、ただ熱だけは何度測っても高く出なかったようだ。

家族の絶不調

そんな皆が絶不調な時、家族3人でリビングに寝転がり、何をするでもない昼間。

冬になり陽が低くなり、我が家のリビングにはこの季節、陽だまりができる。家の植物はそれに勘違いして、季節外れの新芽を出すほどに。

我々家族も何をするでもなく、陽に当たりながら一緒にアニメ(スパイファミリー)を観たり、別々の本を読んだりゲームをしたり。

不調を言い訳にして、全身脱力のダラダラした日々を過ごした。そうする中で、陽の暖かさは人を癒すのだなーと改めて感じた。

滋味ある言葉

映像コンテンツや音楽に疲れやすく、この期間はなるべく本を読んだ。

ただビジネス書や新たな分野の知的好奇心を揺さぶる本などはあまり響かず、エッセイや小説など少ない言葉に何かしらを含んでいるようななるべく薄味の本が沁みた。

その中でもひとつずつの言葉に滋味を感じる、ゆっくりと咀嚼できる明るい本が良かった。

例えば、向田邦子さんのベストエッセイとか。

ぼんやりした頭で読んでも、良いものはすっと入ってくる。ひとつずつが短いのも助かった。

弱ってる時は、本当に必要な栄養素が何なのか自ずと分かるようになるみたいだ。

インフルエンザになった直後、息子にも私にも妻が作ってくれた卵とじうどんのように。

回復と成長

数日そうして家でおとなしくしていると、まだ喉は痛いが少しは体調が戻ってきた。

先んじてインフルエンザに罹った息子は、既に日常生活を取り戻しつつある。

何とこの期間によく寝たせいか、少し背が伸びてる。気のせいかと思いつつも、いつも身長を測ってる柱に立ってもらったら、前回からまだ2週間しか経たないのに2,3センチ伸びている。

インフルエンザになっても、普段より睡眠を長く取ることにより成長に繋がるのだから、中学生の成長とは凄まじい。

何かがおちた

この歳(44歳)にもなると、残念ながらそのような成長は望むべくもない。

ただ何だかすっきりとして、それまでに背負い込んでたものが少しおちた気もする。

果たして何を背負い込んでたかは定かではないが、焦りや不安なども混じる如何ともしがたい何かだったような。(敢えて深く追求しない方がよい気がする…)

陽だまりと滋味ある言葉などにより、インフルエンザの菌とともに解きほぐれたのだと思う。

この展開も含めて、またインフルエンザの日々にもたらされた安らかな家族の日々に思いを馳せると、時にはこのような強制停止も良いなと感じた。

長文を読んでいただきありがとうございます。

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