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#20:「お金の健康診断」と金融リテラシーという基礎代謝(老後資金についてあれこれ考える)

昨年転職したことがきっかけで、老後資金をいくらどのように準備する必要があるか、真剣に考え始めた。その直接のきっかけはiDeco

転職先には、前職の企業年金を受け継ぐ受け皿がなく(たぶん雇用形態にもよるのだが)、iDecoに移管して個人運用が必要だとのこと。制度内容もよく分からず、退職時に前職の人事部から渡された冊子に沿って、その管理団体が運用するiDecoに移管手続書類を書き始めた。

書類をどう書いて良いか分からないところがあり、念のためiDecoで検索すると、なんと運用手数料がこの管理団体より安い移管先があるらしい…これは危険。ちゃんと色々知らないと簡単に損しそう、でも面倒くさいなぁーということで、試行錯誤した結果を書きたいと思う。

(かなり長くなりました。お暇であれば)

□資産運用の相談先

まず最初に困ったのは、こういう資産運用の悩みはどこに相談すれば良いのか分からない。銀行、保険、証券。どの窓口にも相談すれば各金融商品を売りつけられることは目に見えてる。でも、ネットの膨大な情報を精査するにも時間や手間がかかる。(結果的に広告記事も多い)最小限のお金※と労力で、この際、しっかり整理したいと決意する。(※少しくらいお金をかける方が、結果的には(無料に固執して選択を間違えるよりも)効率的だと考えた。)

□お金の健康診断

でも高い顧問料を払って相談する資産はない。そこでたどり着いたのが「お金の健康診断」(回し者ではありませんw)チャットで相談を書くと、完全無料で何人かの専門家からチャット上で回答があるらしい。

試しに質問を書いてみると、早速いくつか回答があった。まあ薄々気づいていたが、より深く相談するには、ここから絞り込んで個別面談に進む必要がありそうだ。

しかし、最初はチャット上だけなので、こちらの素性や個人情報を晒す前にフィルタリングができるのは良い。やり取りでアドバイザーとの相性も少し分かるし、また全員に纏めて同じ質問すれば比較できたりもする。

また予め、次の相談ステップ詳細を直接聞けたので、納得して先に進めるのも良い。なお大半が相談無料だが、中には有料もあり、それらを実際に使い分けて相談を進めたので、各回答者の所属や特徴別に整理して記録する。

□ケース1:独立系FP/IFA

まずは、IFAという独立系のフィナンシャルアドバイザーの個人や会社。IFAという言葉を正直知らなかった。独立系なので、どの金融機関にも紐付かない。ということは、相談時の顧客手数料で稼ぐのかと思いきや、彼らの収入は、提携証券会社からの手数料らしい。

顧客が提携の証券会社にIFA口座を開くことにより、その口座での証券取引や顧客資産額に応じた一定金額が、証券会社からIFAに支払われる仕組み。そのため、IFA口座開設を顧客に促す営業行為の一環である相談料は無料となる。収入源がIFA口座ということなので、必然的に最後は株式や投資信託を売りつけられるが、今回は、これまで後回しにしていた積立NISAを始めたかったので敢えて流れに任せた。

ただこの相談で一番良かったのは、自分では整理しきれないマネープランが可視化されたことだ。プランには、現在の収支、保険等を含む資産状況、将来の資金需要と準備計画とひと通り必要な内容が揃っていた。個人のFPでも同じプランは出来上がると思うが、組織的な対応(各金融分野の専門家との連携と相談等)により、幅広い領域をカバーしてくれるのがよかった。

□ケース2:保険系アドバイザー(無料)

一概に保険系が良くない訳ではないが、たまたま今回は巡り合った人は相性が良くなかった。チャットのレスポンスは良く、オンライン面談までは良かったが(話した内容は参考になったが)、保険商品を提案するゴールが見え隠れする話の流れになりこの人とは取引しなかった。

突き詰めると、マネープランのカバー範囲が中途半端で(不動産投資が分からない、年金は試算しない等)、保険商品の必要性にも納得感がなく、これから長期間、信頼関係を維持するパートナーとしては少し物足りなかった。それにしても保険とはつくづく分かりにくい商品だ。

□ケース3:不動産系アドバイザー

個別事情もあって(投資用マンション保持)、今回はチャットも返信していないが、上記以外のパターンとしては、不動産による資産運用を得意とするアドバイザー数名からも声かけがあった。今回はリアクションしなかったが、バランスよく相談するには良い相手かと思う。あと投資用マンションはちゃんと選べば悪くない投資先だとは思う。(これはそのうち別に書く)

□ケース4:個人FP(相談有料)

本業は保険屋さんのようだが、FPとして相談を有料と返答してきた数少ないパターンである。しかも1時間で10,000円。割としっかり取る。

逆にしっかり有料提示があったので、自信があるのだろうと思った。他のアドバイザーと相談後に、その論点整理と商品を問わないフラットな助言を求めて相談した。他での相談結果や提案された金融商品の情報を全部事前にメールで送り情報を共有した上で、1時間の中でギュッと相談出来た。結果としては、シンプルにこの人には相談して良かった

1番良かった点は、他のどの無料アドバイザーもその先の商品提案に向けた利益誘導をしていることが、フラットな立場の有料相談を受けて改めて分かった。無料相談で作成する資産状況や将来計画を立てる時点で仕掛けが紛れ込んでおり、素人のコチラにはなかなか気付けない。

あくまでファクトベースか、少なくとも自分の意向を反映して作ったはずの計画だと信じ込んでいた。端的に言うと、いつの間にか必要以上の老後資金を準備する計画になっていた。

□マネープランの罠

どのアドバイザーと相談しても、最初に老後資金にいくら必要になるかは試算する。ただし、実態としてその試算方法やマネープランの範囲は、アドバイザーによって全てバラバラだ。共通部分もあるが詳細のアレンジはバラバラであり、そのアレンジに利益誘導が隠されている

それにしてもなぜ誰もそれに気付かないのか。たぶん、他の家庭のプラン作成を見たことがない、もしくは仮に他の家庭の情報が拾えても、試算の元になる収支状況や家族構成、資産状況が各家庭でバラバラであり、自分のマネープランとは単純比較できないからだと思われる。要するに、素人には検知できない世界なのだ。

少し話がズレたが、有料相談により、夫婦共働きで子ひとりのウチの場合、国の税制優遇制度を夫婦でフル活用して資産運用すれば、老後資金の大半が準備できるということが分かった。(もちろん家庭により事情は違うと思うが)つまり、敢えてそれ以上の資産運用は不要だったという結論になる。途端に拍子抜けした。

□マネープランの確認ポイント

自らの経験を踏まえて、敢えて素人目線でマネープランの確認ポイントを書いてみる。まず過剰な老後資金がゴールになっていないかということだと思う。

本当にそれだけも老後資金は必要か。

未来の予測は誰にもできない。だからこそ、ここに(業者側の)商品販売に繋がるヒントが潜んでいる。相談者に怪しまれないため、あからさまに不安を煽ることはしないが、相談者側の不安を察知することは抜かりない。

つまり、相談しに行く時点(不安を抱えている時点)で、既に心理的には何かしらの商品を買いに行っているのと同じ状態である。ましてや、相手はプロであり情報の格差は歴然。

次に自分たちが無理なくできる投資範囲か、がポイントだ。その最低限のベースを踏まえて、仮に余剰資金があれば、追加の投資を個別判断で行えばよいとのこと。その当たり前と言えば当たり前のことを身銭を切って改めて学んだ。

□相談して感じたこと

やはり最低限の金融知識を得ること、複数の専門家からの助言を元に自分の頭で納得して資産運用を考えることは大事だと改めて分かった。

ある程度、老後資金の準備方針が立つと、お金以外の生活や仕事の選択肢が広がる、要するに色々とチャレンジする選択肢が考えられるような感覚を持った。(また転職した場合に、どのくらいの年収まで下がっても大丈夫か、とか)

そして、お金のことを常日頃からあまり気にしなくてよいという状況により、かなりストレス軽減になったことが良かった。(例えば今月使い過ぎたなー、貯金額は足りてるのかなー等のお金にまつわる悩みや揉め事が激減!)

こんなことならば、早めにしっかりと相談しておくべきだった。苦手なことを後回しにする性格…。夏休みの宿題をギリギリまでやらずに、2学期直前に慌てて追い込みをかける性格が、こんな歳になっても災いしています。

□金融リテラシーの欠如

少し前に、某有名なネット掲示板創設者が「なぜ日本人は、NISAやふるさと納税すらやらないの?」という趣旨で発言している記事を見たのだが、まあそれは正論だと思う。この低レベルの金融リテラシーで40歳を迎える自分のような(しかも恐ろしいことに金融業界でいる…)大人がゴロゴロいる、、、ある意味、日本ならではなのかもしれない。

せめて、誰でもふるさと納税、NISAや積立NISA、iDecoくらいは知っておいて使いこなすべきなんだろうなとは思いました。そして、その最低限の金融リテラシーは、誰に対しても教育の必要があると思ったり。

最初は上記のサイトを参考にリンクをつけたものの、どうやら以下のnoteの方が役立ちそう。息子にも然るべき歳になれば勧めようと思う。

□蛇足

それにしても、「お金の健康診断」とは絶妙なネーミングです。すると差し詰め、金融リテラシーは基礎代謝なのかと思いました。

『いくら糖質制限しても「基礎代謝」がないと痩せない』=『いくら節約生活しても「金融リテラシー」がないと家計は楽にならない』

‥‥今回はそんな話でした。(蛇足ですいません)

長文お読みくださりありがとうございます😭

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