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#96:イナしてる?(方言?)

「おい、2年!イナすな、コラァ!!」

過去の記憶を呼び起こして自らの話の引き出しを整理、タグ付けするシリーズ。事実ベース、教訓なし、これって何の話?となる恐れあり

3年に上がりキャプテンになった高田先輩は、頬を赤く染めて声を張り上げてる。

…いやいや、アンタら2年の時、3年に隠れて、すげ〜イナしてたやん。

2年全員、同じことを心の中で呟くが、表面上は「はい!」とデカい声で従順に返事をする。

通常の意味

体をかわす、適当にあしらう、あたりが通常の意味としての「いなす」だと思われる。

(例)相手の剣先をいなして、反撃に転じる

(例)その営業はしつこいので適当にいなして世間話しておけば良いよ

まあ例文が正しいかは別として、世間一般ではそのような意味かと思う。

我が中学時代の意味

方言に近いのか(関西)、それとも我が中学のスーパーローカル用語なのかは分からないが、それとは少し違う意味で使っていた。

冒頭の高田先輩の用法通り、気を抜く、手を抜く、適当にやってる状態が「イナしている」に当たる。まあ適当にあしらうという本来の意味とそこそこ近い。(案外、方言ですらない?)

とにかくサッカー部で、こぼれ球を寄せ切れず相手ボールにしたり、長距離走る練習で実力より手を抜いてると、この檄が飛んできた。

まあ改めて違う言葉に置き換えると、サボるに近いかもしれない。両方とも言われてたかもしれないが、イナしてる方がより舐めてるような、メンタル的に弛んでる印象が残っている。(このニュアンスはもう個人的な感触だが)

イナしがちな中学生

当時は、あからさまなサボりと真剣の間に、監督、コーチや上級生にはバレてしまう、絶妙なイナしてる状態があった。

ただ体力的にシンドイからイナすだけでなく、反抗期真っ只中の中学生たちは、反発や相手を舐めてる等から、よくイナしたプレーをした。(そういう意味では、舐めてるというニュアンスも多少入っていたような気もする)

なので、先輩より足技が上手い奴に限ってよくイナしたプレーをしていた気がする。ある意味挑発的な要素も混ざっている。足技もなく、というか、キーパーの自分は全くイナしようのないポジションだった。同級生のフトシやハギ、一年の西田や吉田たちが(みんな上手い)、イナしたプレーするのをどちらと言うとヒヤヒヤしたり、苦々しくみていた記憶がある。

最近イナしてないか?

社会人になり40歳を過ぎて、周りを見渡しても高田先輩はそこに居ない。当たり前だ。

いや、社会人になりたての頃は、いい加減な仕事の仕方(イナしたやり方)をしてると、割とガツンと怒られた。たとえその場は気付かれなくても、うまく自分で後からフォローも出来ず中途半端な仕事が自らにシッペ返しをした。大きなトラブルになり、自らのイナした仕事の形跡が明らかになって冷や汗をかいた。

仕事面では、そんな手痛い失敗も糧にして、ある程度の試合運びできるようになった。多少のペース配分、メリハリをつけた仕事の進め方。

さすがにこの歳になると、上手にイナせる。そして、それはある程度は必要だとも思う。

しかし、肝心のこぼれ球が目の前に転がる時、自分は全力で取りに行けるのか。毎回ではないが、あれは必死に競らないといけないという場面がある。仕事に限らず、私生活においても。

オレは、そこでも最近イナしてないか?

いま思い返すと、頬を赤く染めた高田先輩は3年生に上がり、キャプテンになったことにより使命感と責任感がみなぎっていた。

去年はダラけた2年生だったのに(高田先輩は元々そうじゃなかった気もするが)、他の調子に乗るタイプの先輩達も含めて、キャプテンの言うことはしっかり聞いていた。

そう、年齢問わず、何にコミットしてるか。

そして何かを成し遂げるには、イナした状態では成り立たないと思う。

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