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渋谷ABEMASの快進撃に思う

今シーズンのMリーグもあと4戦を残すのみとなっているが、わがTwitterのタイムラインは今日もM関連の呟きで溢れている。

ただ言うまでもなく、Twitterのタイムラインとは、固有のものだ。世界に一つだけ、同じタイムラインは存在しない。
にも関わらず、そこで2、3同じ意見を見かけるや「みんな同じように考えてる!」と多数の意見であるように錯覚してしまう。
また、書店員として出版社の営業と話している際に「来月、こういう新刊が出るんですが」「あ、これ話題の作者ですよね」とタイムライン上で少数のフォロワーが言及していたという一事のみで「世間で話題になっている」と錯覚してしまうこともしばしばだ。世間ではなく、周囲に過ぎないというのに。

わたしはMリーグではパイレーツ&サクラナイツ推しだが(ちな次位は雷電。このチームはプレミアリーグにおけるリバプールのような位置を担っている)、やはりわがタイムラインではこの2チームへの肯定的な言説が目立つ。申し訳ないが、風林火山やドリブンズのファンにはあまり出会わない。

ところで、Mリーグファイナルのコメ欄を眺めていると、アンチ渋谷Abemas勢が目立つ。判官贔屓の法則により、強いチーム・勝っているチームは反感を買いやすいのは仕方ない。しかし、事はそれだけにはとどまらない。
周知のように、渋谷Abemasは藤田監督が率いている。これは、Mリーグが参照項とするどんなスポーツや団体競技に照らしても不思議な状態だ。むろん、みなMリーグの産みの親である社長には恩を感じているし、麻雀に関わる者にとっては救世主であり、神にも等しき存在であることは論を待たない。
ネット麻雀が浸透してから、牌操作という言葉は当たり前になった。社長が卓の中に潜んでいてAbemasに都合の良いように牌操作しているというものだ。荒唐無稽な陰謀論を、当たり前だが本気にしている視聴者はほぼいまい(ほぼとしか言えないのが怖いところだが)。
今シーズンのはじめにAbemasが驚異的なスタートダッシュを決めた時もそうだった。「勝ちすぎ」「つまらん」「冷める」「牌操作乙」
好き勝手言われたものだ。
しかし松本選手がトップインタビューにおいて、これから必ず負の波がくるので貯金はいくらあってもいいということを言った。それはAbemasが勝ちすぎてつまらないという視聴者の声を受けての弁明、というか、本心だったろうし、当然の危機管理意識だった。実際、このあとAbemasは大量の貯金を吐き出してしまう。

競争馬やアスリートにはピークの持っていき方が重要視される。ダビスタでも、狙いのG1に向けて調教や放牧で調子を整える。チーム制の麻雀においてその工程が必要かどうかは別にして、確かにAbemas(特にショウマツ)は、見事にそのピークを最も重要な局面に合わせてきたのだ。

個人的には、Abemasはむろん強豪で、良いチームだと思うし、ナイスネイチャと言われる連続3位はそろそろ優勝というかたちで打破されると考えている。多井自らヒールを任じているように、かつての巨人軍のような絶対強者は必要なのかもしれない。ならば生粋のアンチ巨人で、ベイスターズファンの自分にとっては打倒すべき存在だ。

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