見出し画像

年末〜1月映画感想「首」「PERFECT DAYS」など

映画のレビューをnoteに投稿したいと思っているのだけれど、フィルマークスにも書いているし、何ならInstagramに簡単に書くこともある。
もうこれ以上書かなくていいか。
と、思っていたが、
ここには少し寝かせた後の感想を書きたい、
と思い直し月毎にまとめて書いてみることにした。
とりあえず試験的。

「首」監督:北野武 2023.12.26観賞

「アウトレイジ」シリーズファントしては、戦国時代劇版アウトレイジという噂を耳にしてかなりワクワクしていた。アウトレイジが好きな人には強めにおすすめしたい。
武ワールド全開。待ってました!!大満足。
加瀬亮の織田信長は狂った暴君でやりたい放題の極みだし、北野武演じる豊臣秀吉に西島秀俊演じる明智光秀もぶっ飛んでるし、私は終始ニヤついて観ていたのでした。
たくさんの登場人物の中でもお気に入りは、小林薫演じる徳川家康。狸っぷりが最高だし、するりとかわしながらやり過ごす様も好きだった。武映画に小林薫が新鮮で、武映画ファンも嬉しいキャストだったのではないかと思う。
驚いたのは、中村獅童演じる茂助。清潔感一切なく(というか、とんでもなく不潔)単純で裏切り者、目先のことしか考えていない短絡的な農民を生き生きと演じていた。茂助にしか見えない。作品になくてはならない重要キャラを演じ、独自の雰囲気で色濃く残していた。最低最悪の近くにいたら警戒注意報鳴りまくりの奴だった。
そして!桐谷健太演じる服部半蔵が、大分美味しい役所でカッコよかった!

男色的シーンも盛り込まれまくっていて、ちょいちょい笑わせにきているとしか思えない悪ふざけ的なシーンも多く大いに楽しんだ。
(あ、でも私は結構くすくす笑ったけれど、周囲の人はあんまり笑っていなかったかも)
タイトルに「首」とあるように、スパスパっと首が飛んでいくし、血もなかなかの量。久しぶりの武節を堪能できて、今思い返しても劇場で観てよかった作品。
歴史好きの人が見たらツッコミどころは満載だと思うけど、これはご愛嬌。
武の歴史物がまた見たい。というか、まだまだ作り続けてほしい。
大分お金がかかっていそうな割にあまりヒットしていなくて心配。

北野武には、これからも独自路線を突き進んでほしい。他に同ジャンルがいないタイプの監督だと思う。行け行けーーーー!!

「PERFECT DAYS」監督:ヴィム・ベンダース 2024.1.5観賞


あまりに前評判が良すぎるので、ちょっと斜に構えての観賞だった。鑑賞後の正直な感想も「確かによかったけれど、役所広司ありきでじゃないか。しかもこんなに映えるトイレしか出てこないのもどうだろうか」などと生意気にも思っていた。

が、余韻がものすごい。思い返すのは役所広司演じる平山を通して見る美しい世界の数々。キャストのにくい使い方。ぼんやりさせたままの気になるあれこれ。
何よりも劇中の音楽がめっっちゃカッコいい。本、カメラ、音楽が好きな主人公の世界がとても心地よくこちらにも流れてくるあの感じ。
決して悪い人は出てこず、善人ばっかりというわけでもなく。

日常が流れている。その中で仕事があって馴染みの店があって趣味がある。
時々、家族。

もしかすると、私の日常もこんなおしゃれな映画になりうるのでは??と思えるくらい、何気ない日常を色鮮やかに見せられた。

トイレ掃除のお仕事に関しての感想を色々見た。
反省したとか感謝しなくちゃとか。
私にはその感想が驚きだった。
そうか、多くの人は普段目にする職業の人をそんなふうに見ているのか、と。
寂しい気持ちになった。逆に。

三浦友和が良いところを掻っ攫う役所でよかったし、平山とのやりとりにも癒される。アオイヤマダちゃんとか石川さゆりとか、もうセンスの良さを見せつけられたようなキャストチョイス。
大分上映回数減っているけれどまだやっているので、気になっている人はぜひ劇場鑑賞をおすすめしたい。あの大画面で美しい日常を心で感じてもらいたい。
私のように斜に構えまくりの人も、気持ちはよーくわかるけれど、ぜひ。

「ムーミンパパの思い出」監督:アイラ・カーペラン 2024.1.22鑑賞




77分という短さ。それでも非常に睡魔に何度も襲われた作品。
現代アニメに慣れすぎたのか、と少々寂しい気持ちも湧かなくもなく、最近のアニメとのテンポの差を非常に痛感した。
パペットアニメらしい可愛さ満点。ムーミンのつかみどころのない性格に、ああこういう子だったなあと苦笑。ムーミンって決して勇敢で真っ直ぐな優しい良い子ってわけじゃなくて好きだ。
この短い時間の中に主要キャラはほとんど登場して結構な忙しさ!みんな次から次へと登場しては去っていく!そんなに急がんでもいいじゃないか!
スナフキンの気ままぶりにも安心。ママは家族思いだし、スニフは相変わらず余計なひと言が多い。ミィはマイペース。いろんな個性があって、みんなそれぞれ。
ママの料理の出番が少なかったのが仕方ないとは言え寂しい。
(タイトルの通り「パパの思い出」なので仕方ない)

夫がムーミン好きなので、付き合う形で朝一鑑賞。小さいお子様たちもたくさん観に来ていたが、私と同じく睡魔に襲われていないのか気になった。
「楽しいムーミン一家」世代の私としては、あのオープニングが恋しい。

スナフキンとミイの髪の毛が剛毛で櫛も通らなそうでちょっと笑える。
でも一番笑ったのは、序盤のムーミンの尻尾!誤魔化し方が不器用すぎて一番笑った。
流し見しながら、洗濯物畳んだり料理したい作品。

「雪山の絆」監督:フアン・アントニオ・バヨナ 2024.1.26鑑賞

1972年、ウルグアイ学生ラグビーチームの乗せた旅客機がアンデス山中に墜落した遭難事故の話。1993年イーサン・ホーク主演の「生きてこそ」は未見。興味があったがエピソードの壮絶さを知り、鑑賞を尻込みしていた。

監督が映画『インポッシブル の監督だと知り、恐々、おっかなびっくり、鑑賞。
歴史的大事件で、その壮絶さの象徴として有名な「生き延びるためやむなく人肉を摂取した」というエピソードを監督がどう扱うのか、そこが自分の中でも大きなポイントだった。
「インポッシブル」でも証明されているように、事故の描写は言うまでもなく臨場感があり、観ている者を恐怖の中に一気に引き込む。「怖い」の一言。恐怖って頭を真っ白に、真っ黒に、一色にするんだなと想像させる。
墜落シーンは海外ドラマ「LOST」(懐かしい!)を思い出した。おっかない。

寒い日に見たのもあるが、画面からひしひしと伝わる凍えそうな寒さが絶望的な気持ちにさせた。何度も何度も襲われる災難に、ストーリーは知っているものの気の毒の極みで終始顰めっ面。どこまでも真っ白な雪景色は孤独と絶望の象徴のようだった。

問題の「人肉」に関してはぜひ映画を見てほしいのだけれど、やんわりとしたところに落ち着いており、個人的にはがっかりした点でもある。
「仕方なかった」「究極に追い込まれた環境での選択だった」というの描写は、もちろん外せないのはわかるのだけれど、今この題材を扱うからこその今一歩踏み込んだ表現を、監督の思いを感じたかった。

間違いなく、登場人物の彼らは自ら動き救出に繋がっている。
命の尊さと儚さの両方を突きつけられた作品。
基本的に墜落箇所から動かないし、ひたすら耐えるシーンが多い。
それなのに144分中、ダレることなく観られたし緊迫感が良い塩梅で散りばめられているバランスの良さはさすがだと思った。

私はNetflixで鑑賞。これ、寒い日に劇場で見たらより臨場感高まって心身ともに疲弊しそう。

二月も色々見たので、感想をまとめる予定。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?