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〈lovers in tokyo〉📍

よく行く街はその時々で顔色を変える

東京で何の変哲もない埋もれる部類に鎮座するタイプの自分は、素知らぬ顔してハプニングに巻き込まれない裏道の歩き方に詳しい玄人にはなれなかった。

生涯最後のキスは誰と?

そのことに捉われて生きているつもりもないけれど、満員電車に乗り込む際にこの手の疑問を抱く私は変態なのだと実感するこの頃。

人に塗れ
人に紛れ

学舎に向かう朝の駅のホームの自分の目線には、当時喫煙しながら電車を待つ人々の手元の煙草が丁度小学生の自分に並んでいたり、今も見知らぬ人々同士で押し上げられるように目的地に降り行く身が、誰に触れていこうとも誰にも知られずにあることも、全ての真実はやがては煙の様に消える薄ら色の記憶めいたものであるように、異常に写るものも愛しき日常の一部である。

酔っ払った帰り道に証明写真のBOXで写真を撮って帰って、翌日切り取られた自分がまともかどうかなんてどうでもいいの。

東京の夜の街に朝の光が差し込む頃、乱れた髪をセットして襟を正してドアを開けるも良し、ぐだぐだなまま羽毛に包まれて得体の知れない夢の続きを見ていても大丈夫だよ。

但し、異様なまでの光景にはパラレルトウキョウって付箋を貼って、ファイリングして生きる習慣をお忘れなくね。

学生時代にホストクラブにはまった友達が、いつしか誰かに注射を打たれて変わり果てた姿になってしまったと聞いた夏、当時私が付き合っていた彼の事を今で言うストーカーしていた女性が突然私の目の前に現れ手首を切った。
その後恵比寿の街に引越をして、暫くは名前を変えた生活を余儀なくされた彼の飄々とした横顔と少し撫で肩なスタイルが大好きだった。

自分ではない誰かを愛す君を想う夜のように
数多の憂いが行き交う時を重ねれば
いつか手も振れずに
それが最後に会えた日だったとなるかもね

わたしなら
死ぬ間際、誰を思い出す?

あなたの記憶に残る私であれたらいいな





katz maneki📍

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