〈lovers in tokyo〉🗝
いつだって周囲を見渡したら素敵な女性はいる
誰もが自分だけを愛してくれる人とつながっていたいけど、時に愛する人と誰かを比べ試したりさせる。あの日比べられるのが苦手な私は、その愛の貫きから逃げた。
愛された記憶がある身体をもって
いつものコンビニの中で待ち合わせれば
「綺麗だ」
いつも言ってくれてた言葉と変わらない笑顔の奥の大きな黒目に釘付けになった。半年ぶりに買い物をすませホテルへつながる下り坂を2人で見つめる眼差しも、あの日々と変わらずに静かに溶け混んでいる。
今が記憶の中にある愛された過去を穏やかに追い抜く瞬間だった。
広く大きく角ばった背中を見上げる私を時折振り返ってくれるのが嬉しかった事や、ドキドキする気持ちも変わらずに感じたり、見慣れていた肩掛け鞄の後ろ姿が大好きだった事も思い出した。
「もう離さない」
「離れない」
「約束だよ」
愛し合う人々が口ずさむ言葉にも、
抱きしめられた瞬間も、嘗て愛された体は震えてた。出産後暫く男性と体を重ねていない事に慣れてしまったり、初めての時も肌が気持ちいいと褒めてもらえた心境とか、女である身体についてを理解できずにいた気付きの部分も、彼と体感した衝撃を塗り替えないまま密着すれば、その振動は更に奥深くに響いていく。
指先が再び見えない糸で繋がれば
未来の約束など見えなくても
やがての別れがちらついても
あなたにとって
また会いたい人になれていた事に心弾みました
katz maneki🗝
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