「フレッシュな殺戮」

友人からの報告を受けて、僕はとある場所に向かっていた。

 内容を聞いたが見てからのお楽しみだとの事だ。

「よくきたな!」
友人が他の人間とプラカードを首から下げている男を取り押さえていた。

 暴行されていたのか、拘束されている男の顔には無数の傷とアザがあった。

 おそらく他の人間から暴行を受けたのだ。

「お前、なんてことを」

「まぁまぁプラカードを読めよ」

 友人に言われるプラカードを読んだ。殺意が湧いた。プラカードにはこう書かれていた。

『私は菜食主義です』
我を忘れそうな怒りが僕を凶行へと駆り立てた。僕は奴らを殴りつけた。

 奴らのせいでこの世界では野菜がなくなってしまったのだ。奴らが全て食べてしまったのだ。
 
 そして、奴らのせいで草食動物が増えて、木々や草花が食い尽くされて、貴重になった野菜もなくなっていった。

 奴らの過剰な行いのせいだ。奴らは特に暴力を持って己の思想を実行したのだ。

 悪逆無道とはこの事だ。許さない。許さない。許さない。怒りの拳を振るった。その度に周囲の人間が歓声を上げた。彼らも僕に同調しているのだ。これは正義だ。正義の制裁なのだ。

 菜食主義者は動かなくなった。正義の勝利だ。我ら肉食派の勝利だ。

 数年後、動物がいなくなった。

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