それぞれの100円から30万円

一番安い宝くじは、1枚100円。
100円くじは、いつでも売っているわけではないから、常時売ってる宝くじで一番安いものは1枚、一口、200円。
次が300円。ごくごくたまに、1枚500円なんて強気な金額設定のくじも発売される。
(これはあまり売れない。)

この国で、一番還元率の悪いと言われているこのギャンブルくじを、通りすがりにフラッと買う人もいれば、生活の一部に組み込み、必須なものとして買う人もいるわけでして。

宝くじは、発売70周年だそーな。
私が生まれたときから発売はされていたけど、子どものとき、宝くじなんてものは知らなかった。と思う。
なので、小学生が親に
『宝くじ買いたいー!』『宝くじ買って〜!』『宝くじ買おうよぉぉ!』なんて言っているのが耳に入ると、目を向けてしまう。
へぇ〜。
『このスクラッチは、一等が300万円だって!でも全国だから確率は… こっちは、地域限定の一等100万円だって!どっちにしようかなぁ…』そんなことを言っている子どもがいた。
ふぅ〜ん。
この子は、、、なかなかのお子だな。

無邪気な子どもにくじを選ばせる親。
邪心のない子どもに選ばせれば当たると思っている親がかなりいる。
あの人たちは当たっているのかなぁ?

最近、ラフな格好の若い男の子がよく買いに来る。
服装、見た目に目立つ要素はとくにない。彼の特徴といえば、いつも何かをくちゃくちゃ食べているということ。
パンやコンビニのチキン、アイス、などなど。
彼はスクラッチしか買わない。
大抵のスクラッチは10枚入り2,000円。
それを一度に、数万円分クレジットカードで買って行く。(この若者は何者だ!?)
『学生さんですか?』
『そうです』
『大学生ですか?』
『日本語専門学校、中国から来ました』
(富裕層のご子息ってやつ?!ふ〜ん。)

『はい、お次の方どーぞ〜!』毎日のように買いにくるおじさん。
毎回、ナンバーズを一口200円。

スクラッチを買うか、買ったものを調べに来るかの富裕層ご子息は(勝手な想像)とうとう買ったスクラッチを、削らずに、封さえ開けずに持って来るようになった。
(おいおーーーい!スクラッチ買う意味は?よ!削るのが面倒くさいの?)
そしてまた、クレジットカードで数万円分買っていく。(貴族かっ!)

ベビーカーに赤ちゃんを乗せた若夫婦。
今どきな身なり。やんちゃ風な旦那さんは、とくに迷うこともなく、ササッと選んで10万円ほどの宝くじをクレジットカードで買っていった。

若い女の子。熟考している。1枚100円のくじを1枚購入。
いつも同じ服装で、杖をつきながらゆっくり歩くおじいちゃん。
いろんな硬貨をミックスした200円をトレーに置き、ロト6を一口買う。

近辺では有名な、老舗店の大旦那。毎月決まった日にご登場!
なんやかんやといろいろな種類の宝くじを購入。
総額約30万円也。現金でポン!

持つ者、持たざる者。
富めるもの、貧しきもの。

仕事中、私の頭の中では、こんな言葉が浮かんでは消えていく。  
少額しか使わないから貧しき者。とはいえない。
けれど、歪んだ見方をしてしまう私。それは私自身の歪みなのか、木を見て森が見えていないというやつなのか…

『ちょっとちょっと、今のお客さん見た?格好いいし、何この香り?いい匂〜い』
『ホントだ〜やっぱ違うねぇ。いい男は香りもいいんだ』
『うん、カッコよかったねぇ。カッコいいけどさ、ケチだったらどうする?』
『ケチかぁ…』

『うそでしょ?あの二人が?親子じゃないの?母と息子じゃないの?違うんだぁ、信じられない!』
『年の差カップルなんだって〜、どこで知り合うんだろうね〜』
『いいよね〜』
『いいよね〜って、どこが?どういいの?あなた結婚してるじゃん』

『ほら、あの人!あちこちで女の人に声をかけては奢ってるんだって!』
『金ならある!っていつも言うけど、じゃ、なんで宝くじ買ってるんだろうねぇ』
『なんとなく買ってるだけらしいよ〜』
『そうなんだ〜』
『いいなぁ…』
『どこが、どういいの?』
『なんか楽しそうじゃない?誰も傷ついていないなら別にさ、奢って嬉しい、奢られて嬉しい、win-winでしょ?』
『でもさぁ…』

下世話に盛り上がってしまう店員たち。

持つ者、持たざる者……のことは?
何処かに消えちゃった!

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