婚活ちゃん

お兄さん話し長い!
お兄さんの瑣末な話、興味ないよ…
お喋り過ぎるお客さんの相手はしんどい。
接客業だからお客さんに合わせてこちらも話すけれど、プライベートでこのテンションで話されたらうんざりするだろうな…
やれやれ、顔にうんざりを出さないように気をつけなければ!
好きな人の話しはいつまでも聞いていたいのに、興味ない人の長話しは、校長先生の長話しくらいの拷問…と思いながら相槌を打ちつつ聞いている。

やたらにお喋りな男性と寡黙な男性だったら、
私は寡黙な男性の方が好きだなぁ…なんてことを思っているところに、婚活ちゃんがやって来た。

婚活ちゃん。私は自分の中で彼女をそう呼んでいる。
婚活ちゃんは、30代前半。結婚願望有り有り。
結婚相手を真剣に探している。
『待ってても、誰も来ないからね!自分から動く!!』
言葉に偽りなく、婚活ちゃんはアクティブに、未来の旦那さんを見つけるべく行動している。
マッチングアプリはもちろん、街コン、相席カフェ、お見合い、結婚相談所、友人知人に、いい人がいたら紹介して!という声かけもしていると言う。

『お姉さん、結婚だよ!絶対に妥協したくないよ!』というセリフを何度聞いたことか。(笑)
職場は女性ばかりで出会いがないらしい。
大柄で、朗らかで、よく笑う。
いかにも、良いお母さんになりそうな女性だ。

小雨の降るいつもより暇な日、婚活ちゃんが来た。
『いい人いないなぁ…あたしの旦那さんはどこにいるんだぁ?一生懸命探してるのにさ…
そうだ!お姉さんもいい人知ってたら紹介して下さいよ』
と言って、スマホを取り出すと『あたしの理想、理想じゃなくて条件はですねぇ…』と、ツラツラ条件を挙げていく。

『優しくて、短気じゃなくて、下品じゃなくて、自分より背が高いは絶対!年齢はマイナス2歳くらいから、プラスは10歳以内かな。
顔はとくに問わないの。フィーリングが合って、頭が良くて、面白い人で、ご飯をいっぱい食べてくれる人。
そして、これも絶対なんだけど、あたしに依存してくれる人!かな…』

彼女の条件の中で私の印象に残ったのが、旦那さんになる人の面倒をみたい!なにもかもやってあげたい!と言っていたことだった。
『面倒を見るってどういうこと?』
『あのね、なんでもしてあげたいの!着替えとかさ、靴下履かせてあげるとか…なんでも!あたしがいないとダメになっちゃうような、あたしに依存して欲しいの。お姉さん、分かる?』
『ごめん、あんまり分からないや〜 できることはしてあげたいけど、だって靴下は自分で履いた方が早いじゃん(笑)』
『お姉さん、分かってないなぁ…それくらい、あたしに全て身を預けて、身を委ねて欲しいんだよ〜』
『えーっ、めんどくさ〜』ワハハッ
『見つけるまで頑張るよあたしは!』
『そっか!頑張れ〜』


婚活ちゃんが嬉々としてまたやって来た。
『いたいた、お姉さん!お姉さんに会いたかったんだよ!!』
『どうした?とうとう見つかったの?』
『違う違う、そっちはまだだよ、ありがとうございます!お姉さんから買った宝くじ当たったよ!!』
『そうなの?すごい!おめでとう!どれが当たったの?いくら?』

当選で、まとまったお金を手にした婚活ちゃんは
『お姉さん、せっかく当たったからさ、まずは自分磨きすることにした!その方が理想の旦那さんを見つけたときに、あたしを気に入ってもらえると思って。(笑)お姉さんに報告したかったのにぜんぜん会えなくて、やっと会えたよ〜』
『そうだったの?私も嬉しいよ〜!ありがとう!』
『じゃ、行くね!タクシー待たせてるから!』
『タクシー?』
『タクシー待たせてるの!あちこち買い物してるんだよ!セレブでしょ〜あたし。ワハハハッ』
逞しい。婚活ちゃん逞しすぎるよ〜。


話しは変わってとある日。
同世代くらいの男性が選んだクジ券を発券している最中、『お姉さんカワイイねぇ』と言われた。
(えっ?私のこと??いやそんな…照れるなぁ…(笑))
『今って、そんなカワイイ指サックがあるの〜?初めて見たよ』
『はぃ?え?指サック?あぁ、これのこと?今はいろんなのがあるんですよ〜 カワイイですよね!』
指サックって…(笑)
クジ券、お札を数えまくる仕事に指サックは必需品。まさか指サックを褒められるとはね。
いろんな人が居るものだ…。



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