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身体活動 × 腸内細菌

📖 文献情報 と 抄録和訳

SCAPISの8416人における加速度計を用いた身体活動と腸内細菌叢の関連性

📕Baldanzi, Gabriel, et al. "Accelerometer-based physical activity is associated with the gut microbiota in 8416 individuals in SCAPIS." EBioMedicine 100 (2024). https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2024.104989
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[背景・目的] 身体活動と腸内細菌叢の関係を調べたこれまでの集団ベースの研究は、報告バイアスがかかりやすい自己報告による活動に依存していた。ここでは、Swedish CArdioPulmonary bioImage Studyの横断データを用いて、加速度計を用いた座位(SED)、中強度(MPA)、強強度(VPA)の身体活動と腸内細菌叢との関連を検討した。

[方法] 50~65歳の8416人の参加者を対象に、SED、MPA、VPAの時間を腰装着型加速度計で推定した。糞便サンプルのショットガン・メタゲノミクスを用いて腸内細菌叢をプロファイリングした。多変量回帰モデルを適用し、社会人口統計学的因子、生活習慣、技術的共変量を調整し、多重検定を行った。

[結果] 全体として、SEDの割合が多い人は腸内細菌叢のα多様性が低く、MPAやVPAの割合が多い人は、腸内細菌叢のα多様性が高かった。また、SED滞在時間と微生物叢の種数との関連は、MPAまたはVPAの関連とは逆の方向であった。例えば、MPAは大腸菌量の低下と関連し、SEDは大腸菌量の増加と関連した。

MPAとVPAは、酪酸産生菌であるFaecalibacterium prausnitziiとRoseburia spp.の存在量の増加と関連していた。MPAとPrevotella copriの間には正の関連が認められたが、VPAには関連が認められなかったなど、特定のVPAとMPAの関連には矛盾が認められた。さらに、SED、MPA、VPAはマイクロバイオームの機能的可能性と関連していた。例えば、MPAは高い酢酸合成能と、SEDは低い炭水化物分解能と関連していた。

[結論] 我々の知見は、座りがちな生活と身体活動は、同様の腸内細菌叢種と関連しているが、その方向性は正反対であることを示唆している。さらに、身体活動の強度は特定の腸内細菌叢種に特異的な影響を及ぼす可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

前に、腸内細菌が運動への意欲を高めることを報告した論文を抄読した。

この時、「はあ、腸内細菌というのは運動に影響を及ぼすのだなぁ」と感じた。
今回の抄読文献は、この逆の視点の論文だった。
つまり、運動(身体活動)が、腸内細菌に影響を与えるかもしれない、と。
身体活動の状況によって、腸内細菌の多様性、また種類の特異性があったとのこと。

ある腸内細菌は、運動の意欲に影響を与え運動を促す。
そして、運動をすると腸内細菌の多様性は高く、特定の腸内細菌数が増える。
この正のループが回って、運動習慣が確立していくのかもしれない、と感じた。
腸内細菌、ますます目が離せない。

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