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コーヒーに含まれる成分が骨格筋の若返りに効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

トリゴネリンはNAD+前駆体であり、加齢に伴う筋肉機能を改善する

📕Membrez, Mathieu, et al. "Trigonelline is an NAD+ precursor that improves muscle function during ageing and is reduced in human sarcopenia." Nature metabolism (2024): 1-15. https://doi.org/10.1038/s42255-024-00997-x
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✅ 前提知識
■ トリゴネリンとは?
・植物に含まれる天然化合物トリゴネリン
・トリゴネリンは、特にコーヒー豆に多く含まれる
・他にもスパイスのフェヌグリークや大麦、トウモロコシ、大豆、タマネギ、トマトなど植物に含まれる
■ NAD+とは?
・ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの略
・NAD+はミトコンドリアの機能に不可欠な分子
筋肉が老化→ミトコンドリアのエネルギー生産効率が低下→その主な理由はNAD+が減少すること

[背景・目的] ミトコンドリアの機能不全とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの低下は、骨格筋の老化とサルコペニアの特徴であるが、これらの欠陥が局所的な変化に起因するのか、あるいは全身的あるいは食餌的な合図によって媒介されるのかは不明である。

[方法・結果] ここで我々は、ニコチン酸と構造的に関連する天然アルカロイドであるトリゴネリンの循環レベルと、NAD+レベルおよび複数の種における筋肉の健康状態との間に機能的な関連があることを報告する。ヒトでは、血清トリゴネリン濃度はサルコペニアで低下し、骨格筋の筋力およびミトコンドリアの酸化的リン酸化と正の相関がある。我々は、天然由来の同位体標識トリゴネリンを用いて、線虫、マウス、健常人およびサルコペニア患者の一次筋管において、トリゴネリンがNAD+プールに取り込まれ、NAD+レベルを増加させることを証明した。トリゴネリンはGPR109Aを活性化しないが、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ/Preiss-Handler経路を介して代謝される。線虫では、トリゴネリンはミトコンドリアの呼吸と生合成を改善し、サーチュインを必要とするNAD+依存的なメカニズムによって加齢に伴う筋肉消耗を軽減し、寿命と運動能力を向上させる。雄マウスにトリゴネリンを摂取させると、筋力が増強され、加齢に伴う疲労が抑制される。

■ トリゴネリンは, 筋肉老化者で低下している

■ トリゴネリンは, 筋肉量, 身体パフォーマンスと関連

■ トリゴネリン投与×NAD+

[結論] 以上のことから、トリゴネリンの栄養補給は、加齢に伴う筋力低下に対する治療可能性のあるNAD+増強戦略であることが明らかとなった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、コーヒーは死亡リスク、疾患リスクを低減し、健康上の利得があることを学んできた(関連note参照)。
これらの学びはマクロな関連性の知識であり、その水面下に潜む仕組みの理解を伴わなかった。
今回抄読した文献は、その仕組みの1つを示しうるものかもしれない。
コーヒー中に含まれる「トリゴネリン」という成分が、筋肉老化と関連し、さらにトリゴネリンの投与が筋肉老化により減少するNAD+を増加させた。

すなわち、この文献の結論にあるように「トリゴネリンの栄養補給は、加齢に伴う筋力低下に対する治療可能性のあるNAD+増強戦略であることが明らかとなった。」わけだ。

コーヒーを飲む
→トリゴネリン↑
→NAD+↑
→骨格筋老化↓
→死亡リスク, 疾患リスク↓, 健康利得↑

このような関係性があるのではないか、ということ。
これまでもコーヒーは飲んでいたが、今日からは、『筋肉のためにも』コーヒーを飲もうと思う。

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