特定健診の実施率の高い都道府県は,透析導入率が低い
📖 文献情報 と 抄録和訳
日本では特定健診の受診率が高いほど透析導入率が低い
[背景・目的] 以前、日本のコホート研究で、健康診断に受診しないことは透析導入リスクの上昇と関連することが報告された。本研究では、この関連を都道府県レベルで検討することを目的とした。
[方法] 5つの全国オープンデータを用いて、日本の全都道府県(n = 47)を対象とした生態学的研究を実施した。特定健康診査の受診率(SHC受診率)、慢性腎臓病(CKD)の推定有病率、および各都道府県の腎臓内科専門医の割合と、透析導入率の都道府県別標準化罹患率(SIR)との関連を構造方程式モデリングを用いて検討した。
[結果] 都道府県別のSHC参加率は44.2%~65.9%であり、都道府県別のSIRおよびCKD有病率と負の相関を示し、腎臓内科専門医比率と正の相関を示した。SHC参加率は、都道府県別のSIR(標準化推定値(β)=-0.38、p=0.01)および都道府県別のCKD有病率(β=-0.32、p=0.02)に有意な負の影響を及ぼした。SHC参加率を通じて、腎臓内科専門医の比率は都道府県別SIRに有意な間接的負の影響を及ぼした(β=-0.14、p=0.02)。このモデルはデータによく適合し、SIRの分散の14%を説明した。
[結論] この調査結果は、集団レベルでのSHC参加率を高めることの重要性を支持し、人々に健康診断を受けるよう促す可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
健康診断というのは、とても面倒に思われる対象だが、他方、とても貴重な健康を顧みる機会のように思われる。
健康を主観的な定規(最近、なんか体調が悪い。どこかが痛いなど)だけに頼ってモニタリングしようとすることは誤った判断かもしれない。
なぜなら、その頃には病状は結構進んだところまで行ってしまっている可能性が高いから。
よく、理学療法介入中の患者さんの転倒予防のための心構えの際に話すのだが、「倒れはじめは助けやすく、転ぶ直前にはほぼ助けることは難しい」。
重心が少しだけ変異した状態ならば、軽い介助の力で戻すことができる、だが転ぶ直前にはとても重量も大きく、速度も大きくなっているので、助けられない。
早期発見、早期対応、である。
透析導入においても、その側面があるらしい。
健康習慣の乱れ始めに何かに気付けることは、透析導入率を下げるのかもしれない。
病院に入院中の患者さんの中には、生活習慣が乱れがちな人が、一般集団よりは多いかもしれない。
退院支援として、健診を受けることを進めることも、長期的な健康維持にとっては重要なことに思われた。
理学療法士×保健師のコラボは有用そうだ。
⬇︎ 関連 note✨
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び