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ストレッチ万能論Ⅱ。最大筋力, 筋肥大に及ぼす影響

📖 文献情報 と 抄録和訳

慢性的な静的ストレッチが最大筋力と筋肥大に及ぼす影響:系統的レビューとメタ回帰を用いたメタ分析

📕Warneke, Konstantin, et al. "Effects of Chronic Static Stretching on Maximal Strength and Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis with Meta-Regression." Sports Medicine-Open 10.1 (2024): 45. https://doi.org/10.1186/s40798-024-00706-8
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[背景・目的] 最大筋力と筋量の増加は、トレーニング介入の中心的な目的である。最近の研究では、ストレッチの慢性的な適用が筋肥大の誘導に効果的である可能性が示唆されている。そこで、本システマティックレビューでは、慢性的な静的ストレッチング後の筋力および筋量の変化に関するエビデンスを統合することを目的とした。

[方法] メタアナリシスを伴うシステマティックレビューを実施するために、3つのデータベースを検索した。ヒトにおける静的ストレッチング後の筋力および筋量を調査した、縦断的(2週間以上)デザインの無作為化比較試験を用いた研究を対象とした。研究の質は、PEDroスケールを用いて2人の調査者が評価した。

[結果] 合計42の研究、1318人の累積参加者が同定された。
■ 最大筋力
・ロバスト分散推定を用いたメタアナリシスでは、ストレッチを介した最大筋力の増加は小さく(d = 0.30 p < 0.001)、ストレッチの持続時間と介入時間が有意なモデレーターであった。
・より高い伸張時間(≧15分)は、筋力増加(d = 0.45, p < 0.001, 95% CI 0.29 to 0.62, τ²=0.0, 14研究、30ES)を誘発し、有意な平均ES差(p = 0.01)を伴う小さな、有意ではない効果(d = 0.21, p = 0.06, 95% CI -0.06 to 0.44, 22研究、55ES)を明らかにした短い伸張時間(<15分)とは対照的であった。

■ 筋肥大
・すべての研究を含めると、ストレッチングによる筋肥大効果は小さいが有意であった (d = 0.20)。
・長時間のストレッチ(≧15分)の効果量は小さかったが有意な効果(d = 0.28、p = 0.005、95%CI 0.12~0.44、τ²=0. 0、7研究、17ES)
・有意差はなかったが、短い時間(p=0.29)と比較すると、有意な効果は認められなかった(d=0.13、p=0.14、95%CI -0.05~0.30、τ²=0.0、12研究、28ES)。

[結論] 慢性的な静的ストレッチングは、筋力の向上と筋サイズの増大を目的とする場合、筋力トレーニングの代替となる可能性がある。用量反応関係が存在する可能性があるため、より高いストレッチの持続時間や頻度、および長時間のプログラム期間については、さらに詳しく検討する必要がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、ストレッチングが筋力・筋パワーも増大すると結論したメタ解析を抄読した。

その際、「ほお、ストレッチングも筋力や筋パワーに影響を及ぼせるんだ!」と思った。
今回の抄読研究は、その効果を及ぼすために必要な条件について示してくれている。
その条件とは、『少なくとも15分間はやった方がいい』だ。

リハビリ前のストレッチにおいて疎かにされがちと思うのは、強度と持続時間だ。
どうしてもウォーミングアップの印象があるので、雑談をしながら「サラッ」と行われる場合が多いと思う。
だが、このストレッチングで筋力や筋肥大に効果を及ぼそうと思えば、15分間しっかりやる必要がある。
15分間というと、通常のリハビリ時間においては「とても長い!」印象だ。
自主トレーニングで促すか、介入時間自体を少し長くするか・・・、そこは検討したい。
とにかくも、ストレッチングを前菜的なイメージで捉えるのはやめて、最大効果を発揮する介入にする心意気を持ちたい。

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