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アルコール依存の私がなぜか断酒した話

依存症人生のあゆみ

私は依存症だ。正確に言うとアルコール依存症だと思っている。そういう傾向が明らかにある。

依存症というのは本人が決めるものでもあり、本人が依存症だと思ったらそれで依存症認定である。(依存症は否認の病気と言われるように本人が依存症を認めるまでが難しいし、認めたらそれは治療の始まりでもあるのだが)その程度はあまり関係なくて、生活に支障があれば治療の必要があるし、周囲から見て治療の必要があっても本人が望まないことも多い。まあ私のように軽く依存だと自分で思っていて適当に付き合っている場合も大いにある。

私は20代前半から毎日飲酒をする習慣があった。若い頃はビール。妊娠してもやめられず少しは飲んだし、授乳中ももちろん。今思えばこの時期アルコールをやめていればウチの子たちはもっともっと賢かったかもしれない。知らんけど。

毎日飲んでいると太るので、30代半ばごろのある時期からは夕食はほとんど食べずに飲んで寝るというルーティンになった。寝つきが悪く、それが辛くて、ベッドに入ってから寝落ちしたいがためにフラフラになるまでビールを浴びるように飲んでベッドに転がり込んでいた。でも寝つきが良いのはいいが睡眠の質が悪くてすぐに目が覚める。そして朝まで眠れない。だんだんと量が増え、朝もアルコールが抜けずに仕事中もしんどい時がちょくちょくあり、これはヤバいと思った覚えがある。

そのうちストレスの対処もできにくくなり、日中も悲しい気持ちに襲われ、「私がいなくなっても世界は回る」などと鬱特有の考えに囚われ、同時に午前中は体が鉛のように重くて動かなくなり階段も登れずしんどい。壁を伝うようにして会社内を移動するのがやっと。そして人と話す、または人前で話す際、滑舌が悪くなり言葉が出てこなくなり始め、さすがに怖くなって自ら心療内科へ飛び込んだ。1年以上毎晩メシも食わずビールを飲んでいたのだから脳はエネルギー不足を起こしいわゆる鬱的症状もそこからきていたことも十分考えられる。

診察を経て、鬱の入り口ということで、ストレスと深く関係しているのでドクターには休職を勧められた。でも私がそれは絶対嫌だとわがままを言ったので、代わりに服薬しながら勤務は継続し、同時にグループカウンセリングを受けることを勧められた。

今考えたらドクターはちゃんとわかっていて、ストレスと言いながら本当はアルコール依存が根っこに関係しているという見立てだったのだろう。グループカウンセリングへの誘導はまさしくそういうことだと思う。

そしてドクターの思惑通り(?)そこで私は自分が家族の問題や依存の問題を抱えていることに気がつかされた。

私は依存症なんだ、と気がついてからはずっとちゃんと自覚している。

その時の鬱症状の経過としては、軽い睡眠導入剤の服薬で睡眠が改善し、しっかり眠ることで脳の状態も良くなり、また仕事に集中できるようになった。眠ることで脳がエネルギーを取り戻し、ストレスへの対処もできるようになった。そして通院も終了となりカウンセリングからも離れていった。

矛盾だらけの健康志向の依存症患者

一方アルコールについては「私は依存症」という自覚はしつつも酒を断つということはせず(できず)「ちゃんとコントロールできているし」という謎の自信のもと飲酒習慣は継続。ビールは腸が冷えて自律神経に影響しアレルギーもひどくなるし体調に悪いと思い、いろいろ考えて焼酎を100%シークヮーサージュースで割って飲んでみるなど健康志向の酒飲みへとシフトチェンジして自己満足していた。

40代半ばも過ぎた頃、最終的に私の酒の趣向はワインに落ち着いた。ワインならポリフェノールも取れるし、アンチエイジングにももってこい。たくさん量を飲まなくても良い気分になれる。ビールみたいに体も冷えない。ワインを飲む習慣のある国の人には心臓疾患が少ないなどの情報あり。都合が良すぎる!!!

寝つきが悪いのが嫌なので、欧米人のように日常テーブルワインを飲むというよりは、やはり寝る前にグラスになみなみと注ぎ、2杯飲んで寝る。寝るまでに酔いがさめるのが嫌なのだ。このワインの時間が至福だった。

ワインと運命のお付き合いを始めた頃、ちょうど末っ子が高校球児だったので毎日練習で遅くなり、夜食や洗濯を終えたらもう夜中。そこからしっかり呑む。朝も早朝5:00には弁当を作って練習に送り出す日々。それでもしっかりワインを飲み、寝る。ワイングラスに2杯というと結構なアルコール量になるのだが、好きだからやめる気は全くなかった。というか、やはりストレスだったのだろう。高校球児の母は本当にハードだ。ワインをやめるなんてとんでもなかった。

ワインはオシャレである。外国産のどこそこ地方の葡萄から取れるアルコール。米でも麦でもなく、葡萄なのだから、そりゃおしゃれだ。年数によって味も変わる。赤色とか白色とか中間のピンク色とか。多種多様で無限に楽しめる。味わいもそれぞれ違い、不思議な魅力にあふれている。アルコールを摂取している罪悪感など全くなくて、ワインの種類を研究したり試したりして一時期はワインソムリエを目指そうと本気で思ったほどワインを愛していた。

しかしある時ふと思った。寝る前に飲む。私のこの呑み方では、寝てから肝臓が無茶頑張ってアルコール分解をしている。それが自分でも良くわかっていた。私の肝臓は寝てから震えていた。これ、本当なのだ。このままでは体が悲鳴を上げるのでは・・・ワインと結婚したいほど愛する一方で健康志向の酒呑みは体感で危機を感じ始めていた。

しかし人間ドックでも肝臓の値は良好なので止める理由がなく、いつまでこんなことやってるんだろうと自分に突っ込みながら寝酒のワインを継続してきた。

私の場合の依存原因とは

結局私は「ええ加減」ができないのだ。呑むにも、ちょうど良い量、良いタイミングってのがわからない。だから全ての用事を済ませて寝る前に、フラフラになるまで呑んで寝る。健康志向の酒呑みにシフトチェンジしたつもりが、全く変わっていない。依存症の所以だ。

そういう傾向は仕事でも日常でもあって、何事にも極端なのだ。やる時は他のことを投げ打って夢中になってやり尽くす。それで他のことに支障をきたして初めてハッとする。そこまでやり尽くして極めないと気が済まない。他者の評価を気にする傾向もあるので、これと思ったら賞賛を浴びるまで、結果を出すまでやらないといけない。バランスってのが大きく欠けている。

私の場合その性格特性には家族関係と育ちの問題が起因しているが、今回はそこは置いておいて、とにかく依存には認知特性や性格・行動特性が大きく関わっている。つまり依存しやすい人というのはいるし、そういう人は何にでも依存する傾向があると思われる。依存には環境・遺伝子的な要因や脳内物質も関わっているとも言われている。(ちなみに私の父親はガチのアルコール依存症だった)まだまだ謎の多い依存症という病気であるが、私的には自分を分析すれば簡単なことだ。私は明らかに依存症であり、そうなる特性を持っている。

ガルシア効果による想定外の断酒

そんな私だが、数ヶ月前に酒はキッパリやめてしまった。断酒は決意したわけではなく、自然と要らなくなった。

実は昨年、旅先でビールを350ml2缶呑んだ。ワイン党とはいえ、ビールも飲むし、基本はなんでも良い。旅先でワインを調達するのは困難なこともあるので、コンビニで可愛らしく2缶購入。いつもの許容量内の量で全く問題ない。

ところが次の朝方目覚めてから頭痛と吐き気に見舞われ、えらいことに。今まで毎日飲んできて、なんでかここにきて大した量でないのに二日酔い??と思ったが、本当に二日酔いかどうか、原因はわからない。だってそんなに呑んでない。とにかくこの朝から3日間、吐き続け、頭痛に苦しめられ、死ぬかと思った。旅先だったので、移動しなければならず、本当に辛い思いをした。新幹線、駅構内、乗り換えて電車内、吐きっぱなし。新幹線では乗務員さんに親切に個室を用意していただいたが、どうにもならず、ちゃんと自宅に帰れたのが今でも奇跡だと思っている。

胃腸炎か脱水症状か、何か別の原因があったのかもしれない。わからないのだ。その1週間後、体調が十分戻った頃に再度ビールを飲んだ。今度は350ml1缶を恐る恐る。やっぱりダメだった。また次の日に吐き戻し、前回と同じように頭痛に苛まれ死ぬかと思った。それきり酒は一滴も飲んでいない。怖くて飲めない。

依存症がそんなことでアルコールをキッパリ断てるのかよ、と思うし、自分でも疑っているのだが、マジで全然飲めないのだ。心理学には「ガルシア効果」という言葉がある。味覚嫌悪学習、まさしくソレである。

実はこのガルシア効果を利用したアルコール依存症に対する治療方法がある。嫌酒剤を飲み、飲酒すると吐き気を催すなどしてお酒に嫌悪感を示すという方法である。私の場合、なんらかの偶然が重なってこのような治療を天然でおこなってしまったようだ。12ステップもすっ飛ばして一足飛びに止めた。正直酒はもう見るのも嫌だ。

というわけで、想定外であまりハッピーではないが、今断酒継続中である。

とはいえ依存症の傾向がある私はアルコールでない何かにまた依存することは十分に考えられる。今更仕事ではないだろうし、ギャンブルには興味がない。お金がかかるのでドラッグも手を出せない。買い物か、今のところ推しに魂をささげているので、それが代替行為となっているのかもしれない。ショッピングや推しに課金しすぎて生活がままならなくなったらまた治療しなければならないと思っている。

※ここに書いた依存症についての知識や情報は私個人特有のケースです。依存症の症例もなりやすい方の特性も同じとは限らないので、その点を踏まえて笑ってお読みください。また妊娠・授乳中に飲酒するのはもってのほかです。私の真似は絶対にダメです。

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