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九州の知財判例

こちらでは九州の企業・個人が関わった知財判例を紹介していきます。

【商標法】≪すしざんまい事件≫
令和2年(行ケ)第10107号(知財高裁R3.4.14判決)

原告Ⅹは有名なチェーン店「すしざんまい」を運営する企業、被告Yは九州地区において「寿司ざんまい博多店」等の宅配すし店チェーン店を運営する企業でした。

被告Yは以下の商標権をもっていましたが、原告Xはこの登録商標が無効であると主張しました(商標登録無効審判)。この審判では被告の商標権が無効であると判断されたため、被告Yがこの判断(審決)の取消を求めて訴訟を提起しました。

被告の有する商標権(商標登録5556223号)
「ざんまい」
第30類 すし
登録出願日:平成24年9月13日
登録査定日:平成24年12月26日

原告Xは、被告Yの「ざんまい」商標が自社の「すしざんまい」の表示と類似しており、顧客が原告Xの店舗であると混同するとして、被告Yの「ざんまい」の商標登録が無効であると主張しました(商標法4条1項15号)。

裁判所は、原告Xの「すしざんまい」の表示は被告Yの商標出願・登録時にすでに著名(全国的に消費者に広く知られていた)であったと認め、被告Yが「すし」の商品に「ざんまい」の商標を使うことは、消費者に被告Yの商品が原告Xに関係する商品であると勘違いさせる可能性があるとして、「ざんまい」商標を無効としました。

【感想】
被告Yとしては商標登録できたことで安心して「ざんまい」の文字を店舗名に使っていたと思いますが、結果として登録が無効になってしまいました。
商標の利用料を請求された場合、反論として相手の商標の無効を主張することがあります。
有効に登録された商標でも、あとで無効になることがあるという一例でした。

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