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孝の孤独論(まで至らなかった) 〜齋藤孝の研究4〜

久々にブックオフの大型店舗をパトロールしたら、客層が結構ヤバくて、高齢者の読書家のイメージが固定しないように、俺もちょっとおしゃれしよっ、と思わなくもない時間を過ごした。ただ、目当ての本を探し回っている時間は、まるでありし日のRPGのようで、懐かしさが胸を打ったような気がした。

もちろん探していたのは孝の本で、おそらくは先だっての読書日記によって孝文献が枯渇したので、それを仕入れようと出かけた。家と職場の往復以外に寄り道しない俺としては、寄り道させた孝に乾杯だよ、と1人ゴチる。あんまり、余計なことを言うと、孝の心酔者にボコられるからこれ以上は言わないでおく。

でも俺はそれなりに古書だけど自腹で孝の本を買ってるよ。図書館で予約なんかしねーんだよ。ちゃんとお金を落としておりますので、その点ただの粘着野郎とは一線を画しているつもりだし、孝の本当に言いたいことはわかっているつもり。いや、これからわかるつもりなんだけれども。

で、新宿西口のブックオフなんだが、意外に孝の本が置いてなくて、20分で帰るつもりが1時間も滞在しちゃったよ。いい?新書ワゴンで『50歳からの孤独入門』、これだけしかなかった220円棚。齋藤孝棚ってあるのか探したけど、自己啓発のところにあって、そこの本ってみんな半額越えで、おいおいそういうんじゃねーだろ孝の価値は、と憎まれ口を叩いた。

で、たとえば『文系のための理系読書術』なんかは文庫もあって、それがいいな♡と思って中を見たら、めっちゃ蛍光ペンで線引いてあって、「線を引いたら何度も読み返すつもりなんじゃねーの?」と辿ってみると、孝が以前戒めていた、やたらめったらのペン引きで、孝のことちゃんと読めてねーな、と棚に戻した。そんで、単行本で探したら200円のもの(文庫は350円)があったんで、ラッキーと思いながら脇に挟んだ。でも、改訂とかしてたらどうしよう、とか思ったけど、思想を散種している孝だから、きっとそんなに改訂しないよね、と単行本を買うことにした。だって、ピンクの蛍光ペン、マジで気が散るんだもん。

今回期待は、新潮文庫の『孤独のチカラ』だよね。森博嗣にも孤独論はあって、あれは意外に感銘を受けたんだけれども、孝の孤独論、これは楽しみ。50歳のそれとどういうふうに内容の異同があるのか、そういうことも確認しながら、孝の本を読みたいよね。ハピハピハッピー。なんかチラ見したら、これまた線が引いてあったけど、それはそれでいいやと思って脇に挟んだ。

あと、孝の場合、読書論、日本語論、教育論、身体論がメインのフィールドだけど、『原稿用紙10枚を書く力』は、俺も欲しいなって思って、買ってみた。いや、マジで。今までマジじゃなかったんかい、と思われそうだけど、当たり前じゃん、マジでこんな企画立てないよ。齋藤孝を全部読む。これって太宰治ならいるけど、孝はいないでしょ。だからやってるんですよ。でも、『原稿用紙10枚を書く力』は真面目に買ったよ。孝じゃなくても買ったよ。きっと。

あと、集英社文庫の『人生は「動詞」で決まる』。あ、なんとなくこんな感じかな?って想像して、答え合わせするための読書。絶対、孝のことディスってるでしょって思われそうだけど、前回の岩波新書の『読書論』の内容には、そんなに異論はないよ。そんな孝がどこでAIに乗っ取られたのか、それが知りたいだけなんだ。Hey!Siri!
そんなこと俺に教えてくれよ!やっぱりディスってるじゃん?ちゃんと読めよ、俺は孝のことを愛そうと決めたんだって。

福田恒存の太宰治論の中にこういう一節がある。

対象に惚れ抜くことー太宰治の場合、それはことに必要なのだ。彼の表現がキザに見えるのは、彼がキザな性格の持ち主だからではなく、他人が彼をキザとみなし、そうした他人の目を彼の神経が感受するからにほかならない。彼は自分の苦悩の真実を信じてくれる他人の存在を予想できず、それ故にうろたえ、はにかみ、それが極まってポーズになるのだ。ぼくたちは彼を信じ切ればいい。愛し切ればいいのである。でーぼくは決心したー太宰治が照れ臭くて言えないようなことを、その代理にばかづらして言ってやること。

いい文章だ。かけねなく。

だから、その姿勢を孝に振り向けてみようと思ったんだよ。何が出てくるかわからない。パンドラの箱を俺は開けるよ。意外に希望しか出てこないかもしれないね。書いてあることはさ、加藤諦三さんと一緒で、人を元気づけようと必死なんだよ。それはわかってる。

『50歳からの孤独入門』、あ、これはいいね。この本書いた時孝は57歳だったわけだけど、自分が50代に入って悩んだ時のことを話すって言ってる。孝の経験聞きたいなって思った。20代はラスコーリニコフのような生活だったみたいよ。確かに東大文一で、法曹界の道を断念して、東大だけど教育の院に行くって、東大の正規ルートでは敗残の部類かもね。でもさ、アンタそれって、ラスコーリニコフになるようなものかいな。アンタ、宮本輝をみんなに読めって言ってたじゃない。

ただ、嫉妬に狂うという悪徳があったというのは事実っぽいね。東大の院でて、明大の助手に33歳でなる。この間の人生が知りたいね。小説でも書いてくれないか、孝。でもさ、俺だって33歳で中途の採用だよ。ただ、そうか時代はバブルだから、確かに就職氷河期の俺とは違った、嫉妬感はあったかもね。すまん、孝、長くなったので一旦やめる。

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