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ステラおばさんじゃねーよっ‼️83.ドリームキャッチャー 〜離乳食

👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️83.ドリームキャッチャー 〜悪夢除け は、こちら。



🍪 超・救急車



あれからカイワレは多忙のあまり、若森からプレゼントされたドリームキャッチャーの存在をすっかり忘れていた。

仕事部屋の机上にそれを置き去りにしたまま、11月を迎えていた。

11月初日と言えば、カイワレと有名ネコキャラクターの誕生日だ。

その日は何気なく机上を掃除しようと思い立ち、山積みになった原稿や資料を整理していた。

すると資料用紙の隙間から、若森から贈られたドリームキャッチャーが急に姿を現した。

あ、まずいな。若森さんからもらったドリームキャッチャーだ…。

カイワレは少しの申し訳なさと何処にそれを飾るかを考えた。

ベッドの柱の、枕に近い場所が有効な場所だっけ?

ドリームキャッチャーをつかみ、直感でベッドの柱にそれを引っ掛けた。

⭐︎

今夜は、カイワレの誕生日会を家族だけで祝う予定である。

カイワレは、知波に大好物のコロッケカレーをリクエストした。

「本当、太士朗はコロッケが好きよね」

知波は、嬉しそうにカイワレに言った。

「だって、生まれた時から好きなんだも〜ん」

カイワレは甘えたように大げさに、知波へアピールする。

カレーライスとコロッケを作りながら、知波は昔話をしだした。

「あなたの離乳食はコロッケだったのよ」

「え?!そんな脂っこいものを子どもが欲しがるの?」

「さすがに衣は除けて中身だけを与えたわ。本当に美味しそうに食べていたのよ、コロッケのじゃがいもを」

蒸しつぶしたじゃがいもを丸めながら、知波は乳幼児のカイワレを想い出しニヤける。

テレビではちょうど、コロッケ料理の特集番組が流れていた。

レポーターは、フランスシェフこだわりのコロッケを出すレストランをなめらかに紹介している。

「あ!これ観て思い出したんだけど、母さんのSNSのアカウントって、《くろけっと》だったよね。確か、くろけっとってフランス語で…」

とカイワレが訊くと知波は話しをさえぎるように、

「内緒♡」

と舌を出し笑った。

その姿や雰囲気は、元気だった聖を思い出させた。

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