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シェアサロン経営のはじめかた 【その1.】 きっかけはスタッフの退社相談。

はじめに、なぜ私がシェアサロンの経営を始めることになったのか。
その経緯からお伝えしようと思います。

シェアサロンを始めることになったきっかけは現nuu(株式会社suns)社長、上原(narumi)からのとある相談。


若かりし頃の上原社長


私が経営している雇用・教育サロンSOCO/AO/SUN/ACA(現在は SOCOとACAの2店舗)で数年働いてくれていた上原。

「ご相談があります」

ある日彼女から申し出があり、その言葉を聞いて私は心臓をギュッと掴まれるような感覚になった。

なぜなら、当時社内では退社が続いていて、
ご相談=辞めたい。
そんな構図が常態化していたから。

まだコロナの影響が色濃い頃。
スタッフそれぞれの考えや価値観を束ねることが難しく、言語化できない不安や迷いが蔓延。

いや、コロナは言い訳に過ぎない。
これは、私自身が明確なビジョンや方向性を示すことができないまま、現実から目を背けていたため起こった問題。

当時の私は、思想や情熱を見失い、経営者として何を目標とすべきかよくわからなくなっていた。
自分自身がカラっぽの空洞であるため、組織をグリップする力を喪失し、退社するスタッフが続出していたのだ。

その頃の私には、退職を思いとどまらせる言葉の力も、想いも、勢いも残っていなかった。
だから「ご相談」の最後通告に怯えていた。


実際に上原に会って話を聞くと、内容は以下のようなものだった。

出産・育児を経て、働き方への意識が変わった。
それまで平日はサロンワーク、休みはモデルハントや撮影と、美容師として忙しく働いてきた。
出産後も時短ではあるが復帰し、今までどおりバリバリやるつもりだった。
でも現実は、子供が急に熱を出したり、仕事を終えてお迎えに行って、夜ご飯の支度をして。
自分の時間がほとんどない毎日。
目の前のことをこなす日々を繰り返していくうちに、気づいたら心も身体も疲弊していて、以前のような働き方がきなくなっていることにモヤモヤを感じてきた。

そんな中、周りでフリーランスとして独立する人の話を聞く機会が増えて。

歩合が80%で出勤は自由。
いろんなことから解放されて、フリーランスとしてシェアサロンで自由に働きたい。

そう思い、退社を決意した。

上原とはアシスタント時代から共に働いてきたので、人柄の良さはもちろん、仕事における優秀さを理解していた。

失いたくない。どうにか退社の意志を覆し、引き続き一緒に働くことはできないだろうか?
そう思って私の口から咄嗟に出た言葉が

「シェアサロン立ち上げるからそこの社長やってくれない?」

その言葉を聞いて、彼女に驚きの表情が浮かぶ。
しかし、少し考えたのちにすぐに返答が返ってきた。

「普通のシェアサロンで働くよりも、理想とするシェアサロンを自分の手で作れるならやってみたい」

そう言ってくれて、一緒にシェアサロンを立ち上げることが決まった。

これがnuuスタートのきっかけ。
きっかけ、というよりは上原の退社の申し出を受けて、なし崩し的にスタートしたのがnuuである。



私は昔から美容室(美容師)とは、思想やクリエイティビティがあるべきだと思っている、サブカルを拗らせためんどくさいタイプ。
創造性のあるものや思想の宿ったものが心から好きだ。

ハタから見ると気概があってカッコ良さそうに見えるかもしれないが、マーケットではあまり評価されない(売れない)、そんなマイナーな裏道を好んで歩いてきた。

そんな私から見て「シェアサロン」という事業モデルは、理論上勝算が高そうな事は理解できるが、情熱を燃やして取り組めるテーマだとは感じられなかった。

ほしいのは、心躍らせ胸を駆り立てるような題材。
マーケティングデータや工学的な解析を超越したもの。
思想があり、反逆的で、馬鹿げたもの。

つまり、私の目から見てシェアサロンは経済的合理性としての意味は見出せるが、それ以外に個人的な理想郷はないように思えたのだ。

当初は特に強い意志をもってはじめたわけでもなく、依然として私自身空洞のまま。

上原に残留してもらうための策として取り急ぎパッチを当てにいっただけで、これから始めるビジネスモデルと真剣に向き合う心構えはまだなかった。

唯一残ったのは上原と一緒に事業を始めることで何か新しいことが生み出せそうだ、という予感だけ。
だけ、ではない。その予感が確信であり本質であるような気がした。

好むと好むまいと、人生はゲームだ。
何か新しいアイデアがあるのであれば、飛び込んでみる。
その中で自分に見合った楽しい夢を見つけて、一心にそれを追いかけてみよう。
リスクも見返りも、すべて自分の中に見出さなければならない。
すべては自分でそれらをどう形づくり、どう自らに納得させるかである。

さて、本題。
シェアサロンをやることは決まったが、実際に作ったことはない。
では、どうやって経営をスタートすればいいのか?

私と上原の試行錯誤が始まった。

つづく


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