喪失体験をした人に連絡をするべきか 訪問介護士@オーストラリア

今、大学院の勉強の中でグリーフケアも学んでいますが、喪失体験とは死別のことだと思っていましたが、死別だけでなく、身体機能を失うことも喪失体験の一つだと知りました。

つい先日、妹から以前大変お世話になった先輩が、体調を崩し、生死の境をさまよって回復したものの、片目を失明したらしい、と聞きました。私は居ても立っても居られず、連絡をしようとしましたが、一旦立ち止まって考えることにしました。連絡をすることが本当にいいことか?、と。

なぜ自分は一瞬連絡を取ろうとしたのか、と考えた時「あなたは一人じゃないよ!」と伝えたかったから。喪失体験をした人は孤独を感じてしまうものなので、一瞬連絡しようと考えました。でもそれは自己満足ではないか?と自問自答しました。そして、相手の立場から考えた時、日頃連絡を取ってない人から、体調を崩したと聞いたからと言って突然連絡が来て、嬉しいだろうか?かえってつらい思いをさせてしまうのではないか?などなど、3日間考え続けました。そして「連絡をしない」ことにしました。

それはなぜか。本当に身近な人だったら、素直に気持ちを吐露できるかもしれません。回復する病気なら希望は見えますが、一生片目が見えないという体験をした人が、少し距離のある人から連絡をもらったところで、負担にしかならないと思ったからです(これはあくまでも私自身の結論です)。連絡をくれて嬉しいという気持ちもあるかもしれませんが、返事をするのが辛かったり、どこまで伝えたらよいものかと悩んだり、いずれにしても当事者の心をざわつかせてしまうでしょう。今は、絶望や後悔や様々な感情が沸き上がってくる頃ではないかと想像しました。自分の気持ち、身体の状態と向き合っている時には、近くにいてくれる人が支えになるのであり、私じゃないな、と思ったからです。でも、きっと多くの人から連絡をもらった方が嬉しい人もいるでしょう。ただ、その方の性格を考えた時、社交的でいつも人に囲まれている方なので、一見多くの人から連絡をもらった方が嬉しそうな方ではあるのですが、内面ではきっと計り知れない喪失感を感じて、放っておいてほしいと思っているのではないかと思ったからです(想像でしかありませんが)。

なので、私は毎日その方のことを思って手を合わせたり、レイキを送ったり、自分だけでできることをすることをしています。何が良いとか悪いとか、本当にわからないもの。あの時に連絡をしておけばよかった、と思うこともきっと人生にはあると思います。毎日「する」「しない」の選択も繰り返しですね、何事においても…。

少し前にも、数年に1回会う程度のお友達が亡くなったと聞き、その旦那さんにカードを送ろうか悩んだことがありました(旦那さんには数回会ったことはあります)。これも結局、送りませんでした。癌を患っていたことは知っていましたが、ここ数年は会いたいなと思いつつもお会いできておらず、旦那さんも誰かからもわからないようなカードをもらったところで戸惑うだろうな、と思ったからです。周りの人の対応において、何が良くて何が良くないのか、今でも全然わかりません。喪失体験をした当事者じゃないと、その気持ちはわからないからです。気持ちを聞いてほしいと言う人と、ただ側にいてほしいと言う人と、放っておいてほしいと言う人と…亡くなった方との関係性、当事者の性格、それ以外の人との関係性などなど、様々な要素が絡み合って、「これをすればいい」という絶対的なものはないからです。

「連絡する/しない」ではなくて、ただただ相手のことを思っている、ということもきっと大事と思って、そうしているだけの私。でもこれって相手からしたら何もしていないのと同じなんですよね。言葉にしないと伝わらないこともあります。そんなことをここ数日グルグルと考えては、また元に戻る感じです。皆さんは喪失体験をした方に対して、どのようにしていますか?

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