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ピクミン4のゲームレビュー「ピクミンは段取りゲーだ!」

すごい久々のnote記事です。

最近、ピクミン4をプレイしたので、そのレビュー記事です。

ピクミン4について

ピクミン4は、2023年7月21日に販売されたSwitch用のゲームソフトで、前作ピクミン3から約10年ぶりの新作となったゲームです。

基本的なゲームシステムは、主人公がピクミンとよばれる生物を上手に使ってお宝などを集めていくシミュレーションゲームです。

私自身は、ピクミン1とピクミン2のみプレイ済みで、かなーり久々にピクミンシリーズに触れました。

大体30時間くらいプレイして全てのコンテンツを遊んでプラチナまで到達してからのレビューとなります。
そこで、かなりいろんなことに気付いたので、レビューします。

(なお、一部ネタバレを含みます)

開発陣の決意

まず、一番にあげられるのは開発陣のピクミンに対する新たな決意でしょう。久々の新作ですから、かなり強い気持ちをもって開発していたことを伺えるような作品になっています。

それは、明確に「ピクミンとは段取りゲー」であるというコンセプトを(今までの作品より)強くユーザーに意識させる内容でした。

開発のインタビューでも以下のようなことを書いており、開発初期からそういう「段取り」というものの意識は開発陣にあったんだと思います。

(前略)
同じ遊びを何回も繰り返すうちに
自分ならではの技を見つけて、
効率が上がり、スコアも上がっていく。

そうしてピクミン1、ピクミン2、ピクミン3として「段取りのゲーム」として続いていく中での「ピクミン4はどうあるべきか、そしてどう見せるか」というのが開発陣のとっての重要な使命だったのでしょう。

そうして改めてピクミン4は「段取りのゲーム」であるということを前面に押し出した、そういうゲームになっていると思います。

具体的には、チャレンジモードやミッションモードなどで押し出していた効率を求めスコアアタックをするモードを、ピクミン4では本編に組み込んで、サブ要素として扱うことをしていません。(ダンドリバトル、ダンドリチャレンジという名前で)

そして、主人公やキャラクターのセリフには「ダンドリ」という単語を頻出させ、ユーザーに意識させます。

さらには、ストーリーの核である「オリマーを助ける」という文脈においてもオリマーを救うと「ダンドリがよければ、、、」というセリフを見ることができます。

つまり、ゲームのメカニクスとしても「段取り」を取り入れ、世界観にも「段取り」を強く詰め込んだといえるでしょう。

そして、一番肝となる部分は「時間を巻き戻す」ことができるという点です。

段取りをつける時、プレイヤーは「どうすればいいか?」を考えながらプレしています。そしてうまくいかないとき、一旦最後までやりきっちゃうか、ゲームを物理的にリセットすることが今までのゲームでは普通でした。

たとえるならRTAという分野で、失敗したから走り直す、みたいなものです。

この「時間を巻き戻す」という世界観を超えたメタなシステムによって、プレイヤーは気軽に「段取り」というものに取り組むことができます。

これは、開発からの「巻き戻してもいいから効率的な方法を探して試してほしい」というメッセージとも受け取れます。
このメッセージは「ピクミン4は段取りゲームである」という強い意識がないと実装することは厳しいのではないかと考えます。

難易度

じゃあ、その「時間を巻き戻す」ということによって難易度が下がっているんじゃないかという意見もある気がしますが、今までのピクミンシリーズに比べて簡単になっているとは思いませんでした。

そして、こういう機能があると「巻き戻さないでやりたい!」という気持ちになり、プレイヤーはより段取りを意識してプレイするようになります。

そのバランスが絶妙で、巻き戻しなしでは難しい難易度であると感じました。
ピクミンシリーズの中でも今までのハードルを越えた傑作といって過言でもないでしょう。

今後

しかし、ここまでやってしまうと、ピクミン5というものの販売はないんだろうなと感じてしまいました。

それは以下の2つの要素から感じました。

・夜の行動というシステムの導入
・光ピクミンという種類の導入

今までのピクミンは昼の行動のみで、夜は原生生物が狂暴になるということで不可侵のエリアとなっていました。
しかし、今作では夜の探索ができるようになっており、タワーディフェンスのようなモードで遊ぶことができるようになっています。

そして、その夜の探索では光ピクミンという超最強のピクミンを登場させています。
光ピクミンは「燃えない、溺れない、痺れない」そして「放っておいたら自然に戻ってくる」という機能を有しています。
さらには光ピクミンをまとめて放つ攻撃を持っていることにより、かなり強い存在として使うことができます。

これによって、かなり新しい概念を導入することが難しいのでは?と感じます。
ゲームは今まで触れていなかった要素を遊べるようになる、もしくは、新しい要素を遊べるようになることで拡張していきますが、夜という過去20年増やしてこなかった要素に触れるようにしたのは、今後の選択肢がかなり減ったように思います。

しかも、光ピクミンという今までのピクミンの存在より完全に上位概念をもってくることで、今後の新しいピクミンの種類を増やすのが厳しくなっていると感じます。

種類を増やしても、「結局、光ピクミンが最強だしな、、、」という窮屈にぶち当たりますし、この存在をもし昼にも使えるとなるとより他のピクミンの個性がかすんでしまいます。

以上の理由より、ピクミン5の販売はかなり難易度を高めていると思いました。また15年後かな、、、、



というわけで、また更新します。

札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。