ボードゲーム考察:ナナワリさんの「マドリーノ」という作品が面白い

こんにちは

今日は、少しまたテイストの変わった記事を書きます。
ボードゲーム紹介です。


ナナワリとは

ボードゲーム製作者です。個人的にすごい好きな製作者なので、語っていきます。

「ポラリッチ」「マドリーノ」「みもじ」「ワードン」など。「ポラリッチ」で2019年度のゲームマーケット大賞キッズ賞を受賞しました。



マドリーノとは

その中でも今回勝手に語るのはマドリーノという作品。

2019のゲムマ春に販売された作品で、

あなたは建築士となり
小出しな上に無茶な顧客要求に従いつつ
間取りを自由(?)に描いていきます。
出来上がった間取りはきっと先鋭的で斬新!!
あなたのプレゼンが、間取りの魅力をさらに引き出します。

という間取りを作成するボードゲームです。

実際に僕も買って遊んだことがありますが、すごく面白いのです。サイコロを振ってその目に対応した部屋のパーツをルールに沿って配置していく。
そして部屋をプレゼンしあう、というゲーム。

やってみるとすごく盛り上がるし、創意工夫が出る間取りが出来上がります。


面白さの根源

この面白さを考えていきます。

この面白さの根源は「プレイヤーの生活に密着している」という「共感性の高さ」だと思います。

「プレイヤーの生活に密着している」というのは、つまるところほぼすべての人間は家に住んでいる、部屋に住んでいるという事実です。そして、新しく1人暮らしをする/新しく家を買う時には、必ず間取りを見ているという事実です。

題材がプレイヤーにとって非常になじみの深いテーマである。だからこそ、マドリーノにおいてプレイヤーは部屋の想像がしやすい

プレイを進めていくうちにできる間取りは、結構へんてこなものだけど、「アソビの中にあるリアル」を感じることが出来る。例えば、トイレは入口近くに、風呂場は部屋奥に、とか。
プレイヤーが実際に住んでいる部屋や理想の部屋の投影を意識的に(もしくは無意識的に)行っている

しかも、「なんでこんなナナメの壁あるんだ」みたいなアソビで作った間取りに近いものに実際に住んでいる人も居たり、という「アソビの中にあるリアル」も存在している。

これらの「アソビの中にあるリアル」は、つまるところ「間取り=部屋」というプレイヤーにとって非常になじみの深いテーマである、ことから起因すると思います。

特に、部屋の不満の中でも「間取りへの不満」って結構ランキング上位なので、そういう意味でも間取りは人の生活に密着してると言えると思います。


これって考えると、「人生ゲーム」と同じ現象だと思うのですよ。
あれも、要はすごろくなわけですが、それを人生のイベントに照らし合わせて作られている。だからこそ、ただコマを進めていくだけで、その人らしさ(堅実なのか奇想天外なのか、など)が出てくる
ゲームというアソビの中にリアルが介在してくる

人生ゲームが今でも人気でテレビで取り上げられるのは、こういうリアルさだと思います。

こういうプレイヤーのリアルさを引き出してくれるのは、共感性が高いということだと思います。そして、共感性が高いと、自分へ向けたゲームである=自分事感(このゲームでいうと、自分の部屋である)という感覚も強くなります。

だからプレイヤーは自然と、出来上がった自分の間取りを見せて評価し合いたくなる感想戦が盛り上がるのも、この共感性の高さが所以だと思います。ゲームの面白さ以外にも、「アソビの中にあるリアル」を語らうことで面白さが増える。

ナナワリさんのマドリーノは、テーマの選定/ゲームシステム/その結果出来上がるもの/感想戦、全ての要素において面白さが凝縮し散りばめられている。(もちろん、他のゲームも面白いですよ!)


ちなみに、共感性が高い他のゲームで、最近のものだとTACTICAL GAMESさんのイッツファイブピーエムでしょうか

街を作りそこをぶらつく、というテーマ感もプレイヤーへの共感性が高く、「自分が作ったこの街」そして「そこへ遊びに行く」という自分事(じぶんごと)感が強く引き起ります。

ナナワリさんの新作のRISE OF THE METROもマドリーノ同様、共感性が非常に高いゲームだと思います。


まとめ

プレイヤーの生活に密着したテーマだと、プレイヤーのリアルがゲームに現れて「アソビの中にあるリアル」が表出する。

それは、プレイヤーの生活に密着している=共感性が高いから生まれる。

共感性が高いボードゲームは、面白さがゲームだけじゃなく、その前後に語らったり共有する面白さが存在する。



以上です。たぶん、推敲します。すいません、あと勝手に語ってすいません。


札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。