ちいさなことばたち。「ここにいるよ。」

私は、ここにいて
あなたは、そこにいて

いつも不思議になる

同じ時制の上なのに

暮らしも
経験も
感情も
あらゆることが
まったく違い
それらが
時間の軸の上を流れていく

このことが

子どもの頃から不思議でならない

そして

きっと不思議だと思ったまま
死んでいくのだろう

僅かに重なる時間に

あなたの存在を感じる

私はここにいて
あなたはそこにいる

それで十分なのだ

おそらく
勘違いでなければ
私に贈られたであろう歌を
繰り返し
繰り返し
聴く

何処か
切ないくらいに美しい曲を
そっと栞を挟むように仕舞う

私は
ここにいるよ