まいにちが　なつやすみ。

なつやすみの　はじめのひ　

いつだって　とくべつ

むしむし　眠れない夜　

団扇から流れてくる　凪いだ風

冷たすぎる　プールの水

消毒液のにおい

水に浸かり　重力を感じる身体

ともだちと　ほおばる　

おおきなアメリカンドッグ　

ケチャップたっぷり

まるいお盆の上の　三角の西瓜

テレビから流れる　ナイター解説

わくわくが　とまらない　

盆踊り　着慣れない浴衣　

その夜　金魚になる

足の皮がむけても　脱ぎたくない下駄

しぼんだヨーヨー

色をちりばめた　チョコバナナ

いつも食べきれない　りんご飴

電気を　つけずにはいる　水風呂

いつまでも　暗くならない　夕方

段々と暑くなる　静かな朝

今日も晴れ

毎日つづく　そうめん

山の奥の　田舎の家

襖をあけると

すべてがつながり

空間は　おおきなひとつとなる　

アマガエル　すべてが小さい造形

目の前に広がる　西瓜畑　天国

井戸で　ぷかぷか浮かぶ　胡瓜たち

五右衛門風呂　おそる　おそる　はいる

トイレは　家の外　

真夜中に　ギュッと目をつむる

煙草をふかし　

ほとんど口を開かない　おばあさん

いつも遠くを見ている

土間にある台所

おおきな　まるい　ちゃぶ台

掘りごたつで　かくれんぼ

約束しないで　あそぶ　ともだち

まっくろになるまで　あそぶ

ひとりでも　あそぶ　

昼寝から　目覚めると　一面の橙色

汗ばんだ　からだ

たいくつ　たくさん

たいくつ　しらない

わたしの　なつやすみは　つづいてる

まいにちが　なつやすみ