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芝居で経験した挫折はむしろ宝になった、という話

再会

3月
演劇部時代の恩師と後輩と、偶然タイミングが合い飲みにいくことになった🍺

食事の前に🍽カラオケへ行き、最後はみんなであの頃励まされた「終わりなき旅」を熱唱。

シンプルな歌詞だけれど、あの頃より深く響く歌詞。

「胸に抱え込んだ迷いがプラスの力に変わるようにいつも今日だって僕らは動いてる 
嫌なことばかりではないさ
さあ次の扉をノックしよう
もっと大きなはずの自分を探す終わりなき旅 」

今は心からそう思える
そしてそんなふうに伝えたい

当時の想いを継ぎながら小さなカラオケルームでそんなことを思っていた

今想う、舞台を諦めた自分へ。夢を諦めたあなたへ。



傷を負ったものは強い

そんなフレーズをよく耳にすると思う。

私もそう思う。

胸に多様な痛みがあるひとこそ、相手の気持ちをより理解し共感することが出来るから。

その過去に向き合っていればいるほど、
相手への癒しにもなりうる

痛みがわかるものは、癒す力を、そして人生を再構築するための力をも持っていると感じるのだ

個人的な話をすると、私は心の底からどんなことがあっても芝居の世界で食べていくと決意していた時期があった

けれど、“自分とは何か”を探究していたわたしは、知らぬ誰かの言葉を発することに苦痛を見出すようになった。

それでも、今なお
私は芸術を、芝居を愛している

それは、商業でも自己アピールの手段でもない、表現としての純粋な表現としての芝居であった。

当時の自分にとっての「芝居」
今の自分にとっての「芝居」


当時私が好きだった芝居は、今思えば「手段」としての芝居だった

「私らしくいることがプラスになる場所」

「他人と自分の個性のギャップから人や人生の様々な見方を学べる場所」

「ここにいることが許される場所」

初めて自分が自分であっていいと思えた場所だった

芝居は、奥底で眠っていた核となる自分自身を起こしてくれた。

それがゆえ、私は芝居の道で食べていくことが自分の最高形であると感じていた。

文学座の最終選考では、この演劇部での経験をつづった作文を書いた。

✼••┈┈••✼

私の中に、原点にして最高傑作の上演作品がある

決して上手な芝居ではなかったけれど、
あれを超える芝居はきっとこの先も作れない

3.11と明治三陸大津波を題材にしたその芝居のために、私たちは岩手県へと赴き、

42mもの津波を産んだ群青色の海の前で稽古をした

人数も少ない弱小演劇部だったけれど、

穏やかな海の前でせめぎ合う激しい感情と共に、

全身全霊でぶつかり合ったあの稽古は大きな宝となった

文学座の最終面接では、パフォーマンスではなくその作文を賞賛いただき、少しガッカリした記憶がある。(笑)

けれど、今思えばそれこそが答えだったのだと思う


私は、「自分自身でいることが許されていた場だったから」演じることが楽しかった

それに気付かないふりをしてしばらく商業芝居を志した。

「自分自身でいること」から乖離していかねばならないシビアな芝居の世界で

ときには糸が切れ初対面の🏫同級生の前でわんわん泣いてしまったこともあった(笑)


そして、初めて自分の本心と向き合った時に

これ以上この世界に足を入れるのは無理だ、と感じ、芝居で食べていくという目標に終止符を打った。

楽になった

もう芝居のためにピアスをあけることや眉を剃ることを控えたり

猫背になっている自分の姿をふと見つけた時嫌悪を抱いたり

言葉を噛んでしまった瞬間に自分を腹立たしく思ったり

自己アピールをすることを負担に思ったり

審査員に鼻で笑われる心配をしたり

金銭面の不安を抱えたり

美形の友人や整形した知り合いが成功していくのを見て、

虚しさを感じたりしなくていいのだと、そう思った時 楽になった

そして現在へ

芝居に向き合ったことで、私は私を知った

他人と自分の違いを知ったことによって、自分という生き物を知ることができた

物事の全てには意味があると学んだ

原因を、要因を、そしてそこにある感情を探し、
つむぎ、考え、表現することで

人を、世界を面白いと思える
ようになった

もっともっと感じようと、知ろうとした

私が私でいることが作品の彩りになる

あの人があの人でいることが作品のスパイスになる

こんなに素敵で、理にかなっていて、面白いことがあるだろうか

そうして意見を出せるようになった
自分のアイディアを話すことが当たり前になった
自分に少し、自信がついた

Lives are connected like this


こうして私は、この経験を・考え方を教育の世界へ運んでいった

そう考えると、全ての経験が、シナリオが、
人生という舞台の中で上手く繋がれているのを皆さんも感じてくれるだろうか。

ネガティブな過去を経験したからこそわかる強烈な痛み

それがあったからこそ芝居で培った経験・考え方を、

彼らに押し付けることなく、ただ自然とそこにあるように与えたいと思った

全ての経験が無駄でなく、意味を持って巡っている

全てのひと、物事には出会うべくして出会わされている

あの頃、私が本当に得たかったものー愛情ー は、

巡りめぐって、生徒たちから、沢山与えてもらったように感じる。

先が見えないあなたへ

どんなことも無駄ではないよ、ということをあなたに伝えたい

歩んできた全ての道のりは、このようにして繋がれてゆくから。

思考を使い、計画を立て、それに沿うように行動するよりも遥かに楽に、そして理にかなった方法で点と点が線になっていく。

だから歩んできたあなたの道を愛おしんで受け止めて。

必ず道は続いているから。



おまけー先生へー

あの芝居の終演後、

絶対に次の大会へ進みたいと思っていた私たちに
先生が結果を伝えてくれた時のあの光景を、忘れることはありません

人目もはばからず顔を覆い崩れたとき、部員たちも同じように大粒の涙を拭いました。

普段は厳しい先生が「よく頑張った」と声をかけながら一人ずつ抱きしめてくれたこと

その美しさを、今ならもっと感じられます

そしてそんな瞬間を誰もが経験しているのでしょう

悔しさ、憤り、無念さ、そんな感情をも吸い込みそうな空の美しさ

様々な感情が一時に押し寄せるあの瞬間を忘れることはないでしょう

「それは、人生に真剣に向き合っているからこそ、生まれる悩みだ」

先生のその言葉に支えられていますし、

そんな思いで今も真剣に思春期の子供達をサポートしています。

その当時の私たちに、
そして今悩んでいる人たちにこの言葉を贈りたいです。

10年経っても変わらなかった生き方の軸はきっと、これから先も変わらないでしょう

けれど一つだけ言えること

あなたは確実にパワーアップしているいうこと。

過去は今へのガソリンでもあり、未来へのエンジンでもある

今を生き、未来を引き寄せていきたいですね。

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お付き合いいただきましてありがとうございました😊





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