学芸会に現れたオカマの話

小学校の頃にさ、学芸会ってあったじゃない?
学芸でもなんでもなくて、ちょっとしたミュージカルというか演劇の真似事させられて、一人一回はセリフがあるように割り振られてるせいで冗長なだけだからアタシあんまり良いイメージ無いんだけど、本筋とは関係ないからやめとくわね。
…オカマ口調ってこんな感じで良いのか?声のトーンによるところが大きいから文字で表現するにはわざとらしく語尾を変化させるしかないか。

今の小学生の鉄板ネタ事情がどうなってるかは分からないが、鉄板ネタとして君臨しているウ○コ、チ○コと並び、オカマネタが存在していたように思う。

前述のようにあまり学芸会に良いイメージは無いのだが、強烈なインパクトを残した劇、というか役、というか役者がいて、20年以上経った今でもたまに思い出してしまう。

「みなさぁん♡ 霊界空港へ、ようこそ♡」

最初の登場のインパクトがもう強いのだ。彼はオカマ口調で登場し、クネクネしながら歩き回り舞台の説明の長回しを淀みなく行ったのだ。
そして常に不敵な笑みを浮かべ、ミステリアスな雰囲気を纏ったまま劇は進行し、彼は徹頭徹尾オカマであった。

なぜオカマ口調なのか。

当時の私はどうせふざけたお調子者が勝手にオカマ口調にしたか、女性役に立候補して多数決で役を貰ったかだろうと思い込んでいた。
先日、久しぶりに彼の名演を急に思い出したので、原作はどうなっているのだろうと検索してみた。

検索しようにもあらすじで検索するのは果てしなく難しかった。「女の子が幽霊と体を交換して、色々あって地獄に落とされそうになった挙句、最後は体を返してもらえなくなりそうになる話」では全く原作を発見できなかった。
そこで『霊界空港』というパワーワードである。この作品では、幽霊は空港で天国行きの飛行機を待つのだ。

原作はすぐに見つかった。

デビル
霊界空港の新しく入った役人で、オカマ口調。性悪説の思想を唱えるが、反対に優しい面も持っている。

衝撃が走った。あまりにもびっくりしたので、とてもびっくりした。原作からしてこの役はオカマ口調なのだ。彼はふざけてもいないし、調子に乗って女子の役を奪ったわけでもなかったのだ。彼は至極真っ当にその役を演じていただけなのだ。

作品をよく知らずして冷めた目で彼を見ていたことを恥じ入るばかりである。それでも名演と思わせる彼の演技は正に名演であったのだと、考えを改めざるを得ない。
もし彼と会うことがあれば、あのオカマは名演だったと伝えたい。

そして2020年夏、『夢から醒めた夢』は劇団四季で再演決定とのこと。
あまりにもタイミングが良すぎるので、新型コロナウィルスの騒ぎで中止にならなかったら観に行こうかと思うほどである。

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