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編集者とのやりとりに困ったら読んでほしい、「ライターと編集者のコミュニケーション術」

ライターギルドblanksが主催する「【blanks with】ライター Advent Calendar 2023」の19日目の記事です。



8年ほどフリーランスの編集・ライターとして働き、現在は企業にインハウスエディターとして勤める傍ら、複業で書き物仕事をしている、マチコマキといいます。

今年、私は編集者とライター、両方の立場から仕事をする機会が多くありました。そこで気づいたのは、編集とライターが協力できると、とてもよい記事が出せるということ。

しかし、編集者とライターの付き合い方って、「これ!」というモデルケースがありませんよね。

そこで本記事では、私のこれまでの経験を踏まえて「こんなふうに編集者と関わると良さそうだよ」というノウハウを共有します(私の所属先の見解ではないことを、ご留意ください)。

なお、おもにWeb媒体で仕事をしている、編集者とライターのコミュニケーションを前提としています。

1.原稿イメージをすり合わせる

とくに、はじめての取引では、編集者がどんな原稿をイメージしているか、必ずすり合わせをしましょう。

すでにメディアがある場合、サンプルの記事を共有してもらいます。構成や文体、使う言葉などサンプル記事を参考に執筆すると編集者のイメージとずれが起こりづらいです。

メディアの立ち上げ期でまだ記事がない場合、イメージに近い記事をいくつかピックアップしてもらうと安心です。

また、はじめての案件なら段階を踏んで執筆する方法もおすすめです。

  1. 構成をつくり、確認してもらう

  2. 〆切の2日くらいまでに原稿を8割方仕上げて、ざっと読んでもらう

  3. 2のフィードバックを反映し、原稿を仕上げて提出

段階を踏んで原稿を書いていくと、手戻りが少なく安心ですよ。

2.赤入れの理由を聞く

続いては、赤(朱)入れです。

そもそも赤入れって、ちゃんとした定義がある一方で、人それぞれイメージが違うと思うんですね。なので、ここでは下記を赤入れと定義してすすめます。

朱入れとは、校正・校閲作業において、誤りを指摘したり、加筆や修正の指示を記入したりすること。

【ホームメイト】朱入れ|新聞社用語集

まず編集者は、ライターの原稿の良し悪しをチェックするために赤入れをするのではありません。読者のためにより良い記事にするべく、赤入れをするのです。

赤入れは、読者にとっての記事を良くするための指示だと受け取り、原稿を磨いていきましょう。「自分自身の評価ではない」という認識を持っておくとよいです。

そのため、指示やコメントの内容がわからないときは、モヤモヤ考えずにサクッと聞くことをおすすめします。

余談ですが、私は赤入れをもらうと胃が痛くなってしまうタイプです。ただ、認識を大きく変えるきっかけがありました。

私が尊敬する書き手の結城浩先生が、かつて「編集者からの赤入れは天使が指を指していると捉えるとよいですよ」と語っていたのです。

──そこにイラッとしてしまうのは、どこか「完璧な原稿である」というおごりがあったのでは?

結城先生の問いかけに、私は自分の至らなさを反省し、「よし、もっと良い原稿にするぞ」と赤入れを前向きに受け止める意識づけをするようになりました(結城先生の『数学文章作法』はライティングの上達にとってもおすすめです)。

3.フィードバックや感想がほしいと伝える

とはいえ、「原稿の良し悪しが知りたい」というケースもあると思うんですよね。あと、シンプルに感想がほしいとか。

その場合は、フィードバックがほしい旨を伝えるとよいです。具体的に、どんなところのフィードバックがほしいかも添えます。

4.編集者をもうひとり紹介してもらう

ライターと編集者のやりとりって、クローズドになりやすいです。

Slackやメールでのやりとりでは、できるだけ担当編集者以外の目も入るような環境にするのがおすすめです。

また、担当編集者の上司や同僚を紹介してもらい、連絡先を交換しておくのも良いでしょう。たとえば、編集者が急病で休んでしまった、退職してしまった、という場合。連絡が取れなくて困った、ということも考えられるからです。

なお、私のとある複業先では、担当編集者以外にバックオフィスの担当者とだけつながっているSlackチャンネルがあります。「何かあったら、仕事をしている担当者に気にせず相談してくださいね」という用途ですが、めちゃくちゃ安心感があります!

5.大きな仕事はプロセスで分けて、こまめに請求する

コミュニケーション術からかなり脱線しますが、長期かつ発注金額が大きい案件を受けることになったら、ぜひ参考にしてほしい方法をシェアします。

それは、業務プロセスを作って、業務の完了ごとにきちんと請求することです。

たとえば、「3か月でオウンドメディア立ち上げる」「金額は150万円」という案件があるとしましょう。「オウンドメディアを立ち上げたら150万円請求します」という契約ですすめるのは避けたいところです。

オウンドメディアの立ち上げ、ざっとプロセスを分けただけでも、こんなにやることがあります。

  • オウンドメディアの企画をつくる

    • 打ち合わせをする

    • 企画をブラッシュアップする

    • 企画を確定させる

  • ライターをアサインする

    • ライターを探す

    • テストライティングを行う

    • 契約書を締結する

  • 記事を作成する

    • 構成案をつくる

    • ライターに依頼する

    • 編集する

    • 投稿する

もし私が案件を受けるとするなら、「最初の1か月で企画を確定するので、50万円お支払いをお願いします」「次の2か月で○○と○○を完了するので、50万円お願いします」のように交渉します。

もし企画がなくなってしまったら、のリスクヘッジです。

自分の力が発揮できる相手、環境で仕事をしよう

ライターと編集者のコミュニケーションのすれ違いは、なぜ起きるのか。

それは、期待値ややってほしいこと、できることなど、お互いの思っていることをすり合わせていないからです。

それぞれ、「こうするのが当たり前」というバイアスがあるので、「なんで??」というズレが起きてしまうんですね。

しかし、すべてを言語化するには限界があります。そのため、一定のマニュアルは作成して共有しつつも、仕事をしながらお互いの考えをすり合わせしていくことが求められます。

このすり合わせは、どちらがリードしてやるべきというものではありません。

両方からの働きかけが理想ですが、仕事を依頼しているのは編集側なので、編集から働きかけるのがスムーズですかね。でも、ライターもだまって情報を待つよりは、どしどし確認してみましょう。

すぐにパフォーマンスを発揮できる環境を作るためには、双方に自発的なコミュニケーションが大事だと考えます。

ただ、世の中にはいろいろな人がいます。
どうしても合わない相手ならば、ムリして仕事をする必要はありません。

フリーランスで活動しているなら、なおのこと、自分の力が発揮できる相手、場所を見つける、または作っていきたいものです。

おわりに、お仕事の契約まわりの疑問やトラブルの相談先として、「フリーランス・トラブル110番」をご紹介します。

以前、契約まわりで疑問に感じたことがあり、問い合わせをしたところ、大変わかりやすく、丁寧な回答をいただきました。知識をインプットするだけでも、自信を持ってお仕事できますよ。

本記事が、少しでもお役に立てると幸いです。
では、皆さん良いお年を〜。


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