振り返れば、2023年
わかっています。振り返りには周回遅れなことは。年末に間に合わなかったので、年が明けて我に帰り開き直り、振り返ります。2023年は東京との行き来も多かった一年だったけれど、紫波町での仕事を結構頑張りました。うん。ここは言い切っておこう。
紫波町図書館10周年記念誌の制作 (ディレクション/編集/執筆)
主にディレクション・編集・執筆・一部イラストで関わらせていただきました。十年間という期間をギュギュッと伝えたいことを凝縮するのはなかなか大変な作業でしたが、制作チームでこねくりまわしてとても素敵な一冊ができました。イラストコラムなどを交えるなど、「図書館の記念誌」の常識からはだいぶ外れたものになりましたが、紫波町図書館を知るための基礎やアーカイブはだいぶ詰まっているかと思います。(こちらからPDFで閲覧できます。)
イベント「本と商店街」(企画/運営)
今年の大きな仕事といえば、2つのイベントたちに尽きる。
2023年6月17日の「本と商店街」。独立系書店、出版社、作家、図書館、まちの書店。さまざまな形で本に関わる人たちがいっせいに集った日。
盛岡のBOOKNERDさん、妙蓮寺の本屋・生活綴方さん。大好きな二つの書店が紫波町の商店街にやってくる。そこを起点に縁が縁を呼んで、想定したよりも大きく、本と商店街と、人と人をつなぐお祭りになった。
この規模のイベントを運営するのは初めてで、さまざまな人の力を借りながらどうにか突貫工事で作り上げた手作り感満載のイベント。反省点や至らない点は数限りなくあれど、いいイベントだったんだな、というか楽しかったんだねぇというのは、この写真に現れていると思う。
イベント「ひづめ百年文化祭」(企画/運営)
そして11月11、12日の「ひづめ百年文化祭」。商店街の中にある、国指定重要文化財の平井家住宅で、郷土芸能のパフォーマンスを中心に、コンサート、マルシェやワークショップなど多様な文化をぎゅっと詰めた二日間。
6月のイベントが初めての運営だ、なんて言っていた舌の根も乾かぬうちにまもなくやってきた大本番。8名の運営メンバーとともに、出演者・出店者のみでも100名を超える規模となり、二日間でのべ900名以上の参加者を迎えた。正直チャレンジ尽くしで数kg痩せたけれど、ここ数年岩手の美味しいもので肥えていたので、ちょうど良かったとも言える。疲れ気味だけど、まあまあいい顔をしているかな。
イベント直後に書いた挨拶文。チームでやっていたおかげか、根底のコンセプトやメッセージ、気持ちはブレなかったと思う。しかし、「私たちが作っていく百年」という言葉が自然と自分から出ていることにはなんだかびっくりする。大きなものを背負うつもりはなく生きてきたけれど、生きていく以上は自分が当事者であるという事実は避けて通れないし、そのほうがきっと面白いのだなと思い知った。
ZINEづくり部屋が爆誕
思えば、「ZINEづくり部屋」が実現したのも2023年だった。
一軒家を借り、その一角にでっかいテーブルを置いて。裁断機とコピー機を導入して作業ができる環境を作った。シーズン2、シーズン3を終えて、参加者は、のべ40名ほど。年齢は10歳から上は80代半ばまでと、あたたかな多様性が心地よい。部員の方々はもとより活発に活動している方が多いのもあって、ゆるやかにつながってたまに会える感じがうれしい。2024年にはなんと遠野に、リソグラフと活版印刷の、「中野活版印刷店」さんが移転してくる。中野さんの力を大いに借りて、私も部員も制作の精度をもっと切磋琢磨していきたい。楽しいことになるぞ。
制作・展示・ワークショップ
さまざまな展示機会にも恵まれました。
Web連載がはじまる
Web連載「ラジオといるじかん」では、文字通り自分がラジオと過ごしている時間のなかで、気になった言葉やできごとを拾っています。大好きなラジオのことをはんこでも残す機会があるのは嬉しいこと。
介護については、自分の経験から思ってきたこと、主に一番苦労していた時の自分が知りたかったことについて書いています。
この連載とも大いに関係している、大事なプロジェクトも開始。それは、介護を経験した人たちの会話から生まれた「銭湯息つぎプロジェクト」。ここで出会った運営メンバーの方達の想いたっぷりの活動についても紹介しています。20〜30代、ひいては10代から介護に触れた、そういう人生を送っている人たちと出会えることは本当にありがたいことだなと思っていて、先の見えない大海原を漂うような気持ちの人に、うっすら道筋を示せたらと思っています。
本づくり・製本を学ぶ
今年は、「本づくり学校」にも通っていた。オンラインでのリモート授業があり、和綴じや上製本、蛇腹製本やフランス装などの手製本技術を美篶堂さんに丁寧に指導いただいている。卒業制作に向けて編集の授業があり、本の内容について公開添削もしてくださったり、活版印刷の授業では組版やフォントについても教えていただくなど、かなり上質で濃いカリキュラム。一番高度な「丸背上製本」は、美篶堂さんのある長野県・伊那で合宿し、丸一日がかりで教えていただいた。リモート参加が中心ながら、東京での授業や合宿にも参加したり。安定して上質な仕上がりを担保する技術はもちろん職人技なのだけれど、学んでみて思ったことは、意外と「手製本って、できてしまうんだ」ということ。美しい本を仕立てるというのは技術が必要なものではあるけれど、決して越えられない高すぎる壁ではないと知れたのは大きな収穫だった。
講演仕事が増えた
岩手にきて顕著に増えたのは「講演」の仕事。介護をテーマにしたご依頼はよくいただき、「働く世代に向けて」「自分を犠牲にしない」というテーマを中心にお話させていただいています。
介護の講演
もりおか女性センター /第一生命盛岡支社/ 紫波町・行政区長研修会
(ストーリーズに「行政区長研修会」の写真をあげたら、
「区長になるの!?」というコメントをもらった。なりません…)
ZINEづくりのトーク
-秋田文化創造館で、ZINEづくり部のお話をしました
地域の仕事
-地域探求講座 -地域貢献や働くことについて学ぶ
@紫波総合高校講演
トークイベントの聞き手
「本と商店街」内トーク聞き手 @紫波町・日詰商店街
-「まちの本屋と図書館」(w/ 栗澤順一、手塚美希)
-「土地の声を聞く」(w/富川岳、安達茉莉子)
型染業・小田中耕一個展「かたちたち」
ギャラリートーク聞き手 @Cyg art Gallery
「MORIOKA CINEMAS and BOOKS」聞き手
@盛岡という星で BASE STATION
(w/ BOOKNERD早坂大輔、くどうれいん)
夜のとしょかん 聞き手@紫波町図書館 (w/くどうれいん)
オンラインの登壇なども含めたら実はもっとあるのだけれど、ひとまず。
いろいろをやってきた結果、増えてきたつながりを結ぶ機会があった。大好きな人たちを呼ぶお祭りを組み立てることは大変だったけれど、それは「これは自分にしかできない仕事だったなぁ」と何度も思えた。その中でも今年は、企画運営や聞き手、サポートなど裏方に近い仕事が多かったのも特徴で、それも思いのほかやりがいがあった。
「Pokus omyl(ポクス・オミル)」予報
今年の幕開けはとにかく壮絶だ。いったいどんな年になるのか、まだあまり想像がつかない。やりたいと思っていることは、インスタに書いている通りなのだけれど。
選択と積み重ねのほかに、ふつふつと感じていること。それは、無駄を増やしたくないということ。これはものづくりをする人としては矛盾した感情で、精神衛生上危険もはらむことなのだけれど。十年以上はんこ作家として活動して、さらにはいろんなところを旅して興味のままに動いている私は、もうじゅうぶんに、ものをたくさん所有している。新しいものを集めるというよりも今あるものを使って何ができるかを考えることも、今の自分のミッション。「再利用」という前提だけでなく、自分にしっくりくる形で作品に昇華できたら良い。それは、制作環境を自分のものだけではなく公的にシェアするということも含んでいる予報。
大事にしたいキーワードや活動はあれど、この先をどう作っていくかは模索中。チェコ語で、トライ&エラー、つまり試行錯誤のことを、「Pokus omyl(ポクス・オミル)」という。2024年も、ポクス・オミルの一年にしたい。
さっそく、ポクス・オミル2024年の幕開けは、こちら。
2024年が動き出す
そして1/21(日)は妙蓮寺にて、「本や街」に参加します。こちらは、六月に紫波町で行った「本と商店街」の妙蓮寺編。名前は少し変わったけれど、込められた気持ちは同じ。
振り返りつつ、さっそく前を向く予定がもりもりなのはありがたいこと。
2024年も、やっかいにいくぞ。
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