見出し画像

「いじめ」とか「○○ハラ」って言葉、犯罪って意識を薄めますよね。

今から15年以上前…私が鍼灸の専門学校に行ってる時の、ある先生の話です。

その先生は鍼灸師で、お坊さんで、武道の高段者。縦にも横にもデカく、顔も強面で威圧感たっぷり。普段は自分の鍼灸院で施術をされている、非常勤講師でした。

鍼灸師って「足裏の米粒」って揶揄されるんです。「食えない」って意味なんですけど…なかなか洒落てますよね(笑)

鍼灸師は基本的に、整骨院で柔整師と同じ事をしながら安月給で働く…みたいな働き方がほとんどです。

学生の大半も、在学中のバイトや就職の際にその事実を知るんです。(まだ、往診や妊活、自律神経治療で食えると知れ渡ってなかった時代です)

そんな鍼灸師ばかりの中、保険診療をせず、実費で院を運営されていたこの先生は、私達鍼灸師の卵にとって雲の上の存在でした。

知識も豊富、技術も確か。トークも上手く、金があり、力と自信に満ち溢れたカリスマ性のある先生。


…という周りの評価とは違い、私はどうも好きになれませんでした。先生に対する第一印象は


『胡散臭い・信用出来ない』

その先生は、毎年担当した生徒全員に「自分の鍼灸院を見学させてやる」と言ってきます。
2人1組になって見学に行かせてもらうんですけど、生徒の方から

「見学させて下さい」

ではなく、先生の方から

「させてやるから来い」

なのが、引っかかりました。



とは言え、整骨院では無い自費治療の鍼灸院。
私の理想とするやり方だったので、ありがたく見学をさせていただく事に。

見学当日、ペアになった友人と最寄駅で待ち合わせし、先生の鍼灸院まで向かったのですが、約束の時間の15分前に到着。
一見、家のように見える平屋の鍼灸院で、チャイムを押そうとしたのですが、なんとなく嫌な気配がしました。

『近所をもう一周しよう』

と友人に提案。

「え?なんで?」

『先生、時間にうるさそうだから』

「は?」



これがなんと大正解。

後日、他の生徒達は軒並み説教されたそうで

「時間を指定した意味が無いだろう!」

と、早くきた生徒全員に怒鳴り散らしたそうです。チャイムを鳴らしても、指定時間までは無反応。何度もチャイムを鳴らした生徒は更に怒られたとか。


この出来事だけみたら「ちょっと変わった人」と思われるかもしれませんが、全員キッチリ洗脳済み。

「自分が悪かった」
「先生に嫌われないようにしなきゃ」

と、みんな必死。
例え理不尽な怒りでも、みんな従います。
先生の授業はみんなピリピリ、先生の前ではみんな良い子。
さっきの授業みたいに寝てたらいいのに、みんな背筋ピーン。

いや、寝てる方がダメですから、一見、理想的な教室なんですけどね(笑)


さて、話は見学の日の事に戻ります。

ほぼ時間ぴったりだったので、時間について私達は何も言われず、中に案内されました。

まず最初にしたのは「誓約書の記入」でした。
見学時に知った内容を外に漏らしません…的なやつ。名前と住所、電話番号を書かされます。
その際、これも嫌な予感がしたのですが、仕方なく書きます。


書き終わり、提出すると、やはり言われました。

「おい、こういうのは固定電話を書くんだ。常識だぞ」

『(やっぱりなー)すみません、家族全員携帯持ってるので、去年に固定電話無くしたんです。』

「なにぃ?…まぁ、でも皆が携帯持つ時代だからな。そういう事もあるか。」


無事に雷回避です。
ちなみに家に固定電話はありました(笑)
なんとなく知られたくなかったので、嘘をついたんです。

残念ながら、一緒に来ていた友人(女の子)は回避ならず黒焦げ…見学前からすでに涙目です。

あとでネタバラシしたら「信じられへん…そんなウソ急に思いつく?」と怖がられました(笑)



なんやかんやあって白衣に着替え、最初の患者さんをお出迎えします。

そして先生は患者さんに説明します。

「今日は⚪︎⚪︎専門学校から見学に来られています。⚪︎先生と△先生です。ご迷惑をおかけいたします」

ものは言いようです。私達を利用して、ちゃっかり「専門学校の先生が見学に来る院」に仕立て上げています。なぜこんな時だけ先生呼びをするのか。

で、なんやかんやあって12時、その日最後の患者さんをお見送りしました。


ホッとしたのも束の間、施術室の奥の部屋に通されると、山のような古書がお出迎え。

鍼灸って東洋医学なので、めちゃくちゃ古い文献(漢語)とかがあるんですけど、そういった貴重な本がもの凄い数並んでました。

「これくらい勉強するのは当たり前なんだ
ぞ?」

友人は素直に「すごい…」と、圧倒されています。
天邪鬼な私には「どうだ!驚け!尊敬しろ!」としか聞こえませんが。

そんな中、ふとある本に目が止まりました。
あきらかに異質。この部屋に全く似つかわしく無い。そして用途がわからない。


猫の生態(カラーで可愛い猫の写真たっぷり)



猫好きの私は、もう気になって仕方ない(笑)思わずそちらをしばらく見ていると、先生に気付かれてしまいました。

「何か気になる本があるか?なんでも質問していいぞ」

何も質問なんかありませんでした。
しかし、質問が無いのは、確実に雷です。
そして、当時の私はかなり未熟。
上手い返しも出来ず、正直に今思った疑問を口にしました。

『猫の治療もされるんですか?』


はい、雷(笑)

「こんな貴重な本を目の前にして、なんて本に目を止めるんだ!」

そりゃあ、止まるよ(笑)

「これは患者さんが猫について質問してきたから答える為に買ったんだ!」

どんな患者やねん!
なんで猫の生態について鍼灸師に質問すんねん!
そもそも誰用の本やねん!
猫好きならそんな本買わん!
本気で生態知りたい人なら、その写真たっぷりの本は買わん!

もう色んな事にツッコミたかったですが

『すみません…他の本は先生なら持ってて違和感無いんですけど、あの本だけ先生が持ってて意外だったので…』

「ん?…まぁ、それはそうか。他にはどうだ?治療の事でもいいぞ」

どうやら自尊心を満足させれたみたいです。
雷は一瞬ですみました。セーフ。

数日後には、みんなの前で笑い話にされたので、怒りポイントとしてはそうでも無かったようです。


この日、私に対してそこまでマイナス評価が無かったからなのか、以降の授業でも、他の生徒に比べて明らかに怒られません。

むしろ

「目の付け所が面白い」

「良い感覚してるな」

と、褒められました。先生の技術は確かなので悪い気はしませんが、この先生に褒められても、正直あまり嬉しくありません。

結局、先生への胡散臭さを拭えないまま、先生の授業は終わりました。


数年後、先生は生徒へのセクハラ&パワハラ(アカハラ?)が原因でクビになったそうです。

確かに、若い女性へのボディータッチが異常に多かったんだよなぁ。

先生の院に治療してもらいに通っていた生徒も「実は触られてたけど、当時は言えなかった」って言ってたし。

先生の名前も院の名前も忘れちゃったけど、今はどこで何してるのか。
技術と知識はホンモノだっただけに、惜しい人だった。

…いや、そんな人がいるから、まともな施術家が迷惑するんだよ。
クビなんかじゃなくて、ちゃんと法的に罰されてくれないかな。


二人の障害児の父
すけじろう

開業についての相談・サポート、開業後の営業、書類関係、家探し、全てお手伝いします。
特に、私と同じ障害児育児中の親御さんからのご連絡はとても嬉しいです。
雑談、質問、開業支援の詳細をご希望の方は、ご遠慮なく下記までメールください。

care-rab@outlook.com

無料の個別相談会をやってます。
詳しくは下記の記事、またはメールでお問い合わせください。


障害福祉事業の開業支援関係は、こちらのマガジンにまとめられています。



この記事が参加している募集

業界あるある

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?