映画『怪物』を見てきました。
視聴済みを前提とした記事になり、ネタバレを含みます。ぜひ映画館で鑑賞の上いただければ!
以下、感想です。
予告で気になり、もともとはサイコスリルな映画かと思っていました。実際にそれを期待して見に行ったし、序盤もそんな描かれ方だったように思えます。が、後半につれそれはメタ的な引きであり、物語の随所で出てくる「怪物」というワードにミスリードされていたことに気づきます。
各人の視点をザッピングするような場面転換と時系列の遡及が多くありましたが、それぞれのシーンで時間軸のポイントをインプットしてくれるのでストレスはありませんでした。ここが不自然だと観客は物語から置いていかれると思うので、本当に繊細な作品だったなと。
メインの少年二人が本当に素晴らしく。小学生の思春期への自覚ない突入と戸惑い、周囲とのばらつき、同性への愛情と友情の混濁。きっと男なら身に覚えがある人もいるはず。
音楽準備室で髪を撫でるシーンは後から思うとそういうことだったのですね。
「おとこおんな」という言葉があったなあ、と映画を見ながら思い出していました。劇中で描かれるいじめはここに起因しています。ホモへの自覚、あるいはそれを想起させる存在への嫌悪感は、多分原始的で生物的な本能なのだと思います。LGBTのこの時代にこそ、この普遍性を描くことには大きく意味を感じます。
あの年頃にしか感じられない時間の流れ方、あの年頃でしか出せない汗の輝き、世界観の違う友人に盲目的に憧れる感じ、大人の理を知らずに行動する感じ、本当にいいな。
ラストシーンは現実でありながら心象風景さながらであり、サブスク解禁されたらラストシーンを何度も何度も繰り返して見てしまいそう。
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