顔は良い方がいい
この大モラル時代に誤解を招きかねない表現をあえてタイトルに据えてルッキズム人間のレッテルを貼られることをあらかじめ阻止するねらいを理解してほしい。
顔は良い方がいい。これは、中顔面だの涙袋だのイエベブルベだのそういうことを言っているわけでは当然ない。
人間はときに、気に入らないやつの粗探しをしたり、鍵アカウントで愚痴を吐き捨てたりする。そしてそんな状況に嫌気がさして自己嫌悪に陥り、世界はまたひとつ悪い方向へ転ぶ。浮世の通例として、基本的には好きな人間の話より嫌いな人間の話の方が酒の肴としては味が濃い。それはそれで良い。
が、
人間は、嫌いな対象の話をしているときより好きな対象の話をしているときの方が顔が良い。そして「嫌い」という感情よりも「好き」という感情の方がかっこいい。これは決定事項であり、人相が人格に直結することは科学的に証明されている。善い人間になりたいとか、優しくなりたいとか、広い心を持ちたいとかの大義じゃなく、シンプルに顔は良い方がいい。
これは生を明るく楽しくあらんとするどんな動機よりも明白でわかりやすく、同時にひどく即物的に感じられるが、我々は所詮物質なのですべては物質から還元されるともいえるし、習慣化すれば結果として善い人間になれるかもしれない。
元気じゃなくても周りから元気に見えていれば元気ということになる。積極的に他人の長所に着目する動機が「顔は良い方がいいから」と不純ストレートフラッシュだったとしてもバレなければ問題ない。勝手にポジティブなラベリングがされ、そうこうしているうちに内面が伴ってくる。
顔は良い方がいい。なぜなら顔は良い方がいいから。
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