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【小説】光の干渉

 昼休み、渡り廊下からふと空を見上げるとシャボン玉が飛んでいた。高校の校舎内でシャボン玉。私は妙にそのシャボン玉が気になった。理科研究部が何か実験をしているだけかもしれないが、私はそのシャボン玉を追って屋上まで来た。そこには1人でシャボン玉を吹いて遊んでいる春日井響子の姿があり、私は心底驚いた。彼女がここにいることもそうだけれど、彼女がたった1人で昼休みを過ごしていることが意外だった。彼女は誰にでも分け隔てなくフラットに接するサバサバした性格と誰もが認める美貌故にいつも人に囲まれている。そんな春日井響子が今日は1人で、しかもシャボン玉で遊んでいる。私は彼女を大人びた人だなと思っていたので、見た目とやっていることのアンバランスさが少し面白かった。
 私と春日井響子は同じクラスではあるが一言も話をしたことがない。いわゆるグループが違うのだ。私は残念ながら文化祭や体育祭で拳を振り上げ盛り上がるグループには属していないし、ああはなれない。というより、なろうとも思わないが近い。だけど、春日井響子はそのグループの中でも違う雰囲気を纏っていて、私は少し彼女に憧れていた。

「一緒にする?」

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