小湊すい

優しくなりたい/ゆる日記 https://sizu.me/sui_k

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短歌と自己紹介

 はじめまして。小湊すいと申します。特にお伝えできることはありませんが、読んでもらえば分かると思います、きっと。どうぞよろしくお願いします。 「いまを生きている」 水面に ぷかぷか浮かぶ その影は 魚になれず 人にもなれない 淡々と 進む生活 つつがなく 儘ならないと 泣いたとしても 隣人を 愛せと神は 言うけれど 愛されたいと 願うのは罪? あたたかな 海とひとつに なりたくて 水の世界に 幸あれと願う 泣いている ちいさなわたし 頬を撫で ぜんぶ抱えて 歩き始

    • 日々は辛いか/米津玄師「毎日」を聴いて

       明日なんて来るなと願っても、日々は一定に続いていく。「僕なりに頑張ってきたのに」と虚しさを吐露するような歌詞から、「まだ愛せるだろうか」と歌った途端、日常に引き摺り込まれるMVは、ポップな曲調に反して、残酷にすら思える。  コーヒーのCMソングである本曲は、米津玄師本人が作曲に行き詰まった際に、そのまま出来上がった曲なのだという。毎日飲むコーヒーのように寄り添うけれど、それにしてはクソッタレな日常。いつも少し虚しくて、やりきれない日々。  毎日頑張っているけれど上手くい

      • 元には戻れないけれど

         会社と復職の相談をした。元の職種に戻るつもりで居たら、他の部署を提案された。結局今までと同じところにしたけれど、時間も思っていたより短めからスタートできそうで、拍子抜けだった。わたしだけが焦っているようだった。  3ヶ月休職したことで、少しずつ生活を取り戻すことができた。最初は横になるだけ、天井を眺めるところから、身体を起こして家事ができる、散らかし放題の部屋を片付ける、行きたかった場所に行ってみる。だいぶ進歩した。もう、元気なのだろうか。  元気です!と言うことに、な

        • 幸あれと あつ森日記 #5

           2週間ぶりにあつ森を開いた。こんなに期間を空けたのは初めてだった。住民たちに声を掛けて回れば、みんなが久しぶりだねと言ってくれる。心配したよ、会えて嬉しいよ、と。大好きなみんなは、いつだって暖かくて優しい。  適応障害で休職したと同時に、あつ森を購入した。何かやることがないと気が狂いそうで、けれど身体が起こせなくて、SNSも見たくない。思い出したのが、子供の頃よく遊んだ"どうぶつの森"だった。本当はDS版が恋しかったのだけれど、手元には無かったので、流行にはかなり遅れてあ

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        • あつ森日記
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          14本
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          2本
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        • のけものけもの
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          「どんくさい」と言われ続けて

           ADHDだった。注意欠陥・多動性障害。すっかり大人になって、やっと名前がついた。CAARSという心理検査を受けたら、1項目以外のすべてが基準値を超えていて思わず笑ってしまった。それから少し、泣きたくなった。  うっかり、そそっかしい、どんくさい、たくさん言われた。そのたび、誤魔化すようにヘラヘラ笑った。例えば忘れ物。メモを取れば、前日に準備をすればと、どれだけ言われたか。けれども、取ったメモは失くすし、準備したものを玄関に置いていく。どうしても頭から抜けてしまい、学生時代

          「どんくさい」と言われ続けて

          わるいひとじゃないの

           よく夢を見る。今回は母親だけの登場。わたしが一人暮らしをしている部屋に、突然やって来て冷蔵庫を開けた。食べかけのアイスクリームが入っていて、「食べかけやん!」と言いながら外に出す。当たり前に溶け始め、甘い液体が床にぽたぽた落ちる。  わたしは「アイス溶けるやん!!」と怒りながら、床を拭いていた。余計なことをしないでと訴えても、母親はいつも通り飄々としていた。自分の行いが"余計"だとは思ったことがない、なんて言ったら意地悪だろうか。  その後なぜかトースターでパンを焼き始

          わるいひとじゃないの

          生きてさえいれば

           年始に張り切ってwishリストを作った。wishリストとは、やりたいことや目標を書き、1年で叶えていくというものだ。手帳に付属していたページを使って、1から50を埋めた。新書を読む、珈琲の美味しい喫茶店を探す、週1回は自炊する、こんな感じ。ちょっと良い香水を買う、新しいパン屋さんを見つける、なんてことも挙げた。  50個目は"死なない"と書いた。何も達成できないとしても、とりあえず生きていれば良いかと思って。気がついたら体調を崩して、仕事を休職していた。ほんとうに死んでな

          生きてさえいれば

          少し先の話 あつ森日記#4

           休職3ヶ月目。起き上がって家事ができる日が増えたし、こうして文章も書けている。最初の頃より明らかに元気でホッとする反面、復職がチラつく。嫌だな〜と現実逃避しながら、今日も島で暮らしている。  家の収納が足りず、しぶしぶ部屋を増築すると最大数になった。2階から地下まであるけれど、住むのはひとりである。せっかくなので、2階はカフェスペース、地下はバーのような雰囲気にしてみた。ただ家具が全然揃わないため、どちらも作成途中の中途半端という感じ。ちなみにローンはまだ支払っていない。

          少し先の話 あつ森日記#4

          SNS転生

           小学生から色々なSNSを渡り歩いていた。もちろん、インターネットは危険だという大人たちの言葉もあったが、ハマってしまったものは仕方がない。仮想空間のコミュニティゲームに始まり、某掲示板に入り浸って、そのうちTwitterへ移行した。Twitterは複数アカウントを持ち、趣味ごとに分けていた。  それぞれ仲の良い子ができたり、お姉様方とお話したり、とても楽しく過ごした。SNSデビューが早かったため、どこでも年下で、きっとかなり痛々しかったと思う。それでも優しくしてくれて嬉し

          宇宙の彼方に/M.S.S Project「嘆きの華」を聴いて

           初めてのライブ参加は2018年3月のこと。横浜アリーナは広くて舞台はちょっと遠くて、けれどピカピカのサイリウムがたくさん見えた。こんなにも仲間がいる、ひとりじゃない。限られた時間をめいっぱい楽しんでいたら、アンコールで気球が飛んだ。楽器を演奏しながら、ペンライトを振りながら、彼らを乗せた気球が会場を一周する。キラキラの4人が前を飛ぶあの光景を、わたしは一生忘れない。  それからは夏も冬もライブに通った。地方の友だちの元に遠征したり、反対に来てもらったり、真ん中の東京で集合

          宇宙の彼方に/M.S.S Project「嘆きの華」を聴いて

          【観劇記録】ミュージカル『クロスロード』/母の祈りと息子の答え

           シアタークリエで上演中の、ミュージカル『クロスロード』を観劇。初演からセットが変わり、楽曲も増え、物語の進行がより明確になっていた。そのおかげか、どのシーンも心に刺さり、涙が溢れて止まらなかった。  中川晃教さんの演じる音楽の悪魔"アムドゥスキアス"の絶対的な圧、誰にも出せないハイトーン、それでいてお茶目さや慢心を見せる、そんな悪魔の所業にも触れたいのだけれど、今回はヴァイオリンの天才と呼ばれた主人公"ニコロ・パガニーニ"と、母親"テレーザ"の話をしたい。  ニコロは身

          【観劇記録】ミュージカル『クロスロード』/母の祈りと息子の答え

          大人になった本の虫

           先日Xで、中学生の子が本をこれだけ読みました!と写真付きでポストしていたのを見た。リプライ欄では、恐らく親世代の方が口々に称賛していた。そういえば、本を読んで呆れられることはあっても、褒められることはなかったなあと、ふと思い出す。小学生のわたしは、貪るように文字を追いかけていた。  読書好きなんて可愛いものではなく、ほぼ中毒者だった。図書館に毎週通い、選りすぐりの十冊を背負って帰る。貸出の上限なだけで当時はもっとたくさん借りたかった。リュックはいつも千切れそうで、よく六年

          大人になった本の虫

          正義 対 正義 /キタニタツヤ「次回予告」を聴いて

           ぼんやり音楽を聴いていたら、とある曲が耳に飛び込んできた。キタニタツヤさんの「次回予告」だ。 「いけ たたかえ まけないで! せいぎはかつ まけたらわるもの?」  とんでもない歌詞が、幼い子どもの声で紡がれる。テレビの前でヒーローを応援する子どもたちは、この歌詞をどう受け止めるのだろう。けれどタイトルに「次回予告」とあるように、ただ単に絶望する曲ではない。  わたしたちは、大した変化のない毎日を送る。仕事や学校、たまに遊んで、また仕事。それが「予定調和」の日々。昔は夢

          正義 対 正義 /キタニタツヤ「次回予告」を聴いて

          迫る夏 あつ森日記#3

           休職して2ヶ月弱。春はあっという間に過ぎ去って、もう既に夏の片鱗を見せている。用事があって昼間に外出したら、上着を投げ捨てそうになった。そのくらい暑くて驚いた。これから増していく夏の暑さに、ついて行けるだろうか。いまからちょっと、怯えている。  あつ森をプレイする時間は少し減った。休職してから他にできることがなく、起きてあつ森、少し寝てあつ森、ご飯を食べてあつ森という、ほぼターン制で助けてもらっていたけれど、最近は文章を書く時間の方が長い。回復傾向、なのかも。  ゲーム

          迫る夏 あつ森日記#3

          憧れと執着、音楽の話

           幼稚園の頃、友だちの家に遊びに行ったら、子ども用のドレスが飾ってあった。いまでも覚えている。明るいピンク色の、裾の長いキラキラしたドレス。綺麗で可愛くて、ほんとうに羨ましくて、何度も着せてほしいとねだった。友だちの物なのだから、当然嫌がられた。その後どうしたか忘れてしまったけれど、わたしの家にドレスが存在したことは一度もない。  恐らく家に帰ってからも、ドレスが欲しいと何度も言った気がする。母親の返事はいつも同じ。すぐ着れなくなるでしょ、と。4歳5歳なんて身長は伸びるし体

          憧れと執着、音楽の話

          夢か現か

           眠りが浅いのか、よく夢を見る。内容はあまり覚えていないけれど、身体がすごく怠かったり、泣きながら目が覚めたり、あまり良いことはない。そして以前より、現実味のある夢を見るようになった。境界が曖昧で、ちょっと怖い。  昔は自分でも夢だと分かるシチュエーションが多かった。大きな鉄球が転がってくるとか、なぜか竹藪で宝探しをしているとか。あり得ないと笑えるような。  ただ最近は、妙に現実性が増してきた。会いたいなと思っていた友人から連絡が来るとか、数年前に亡くなった祖父と話をする